号外05)水が枯れる

 大同市の南東85キロ、広霊県苑西庄村の井戸は、次々と枯れていました。1997年の時点で水が出るのは4本で、合計バケツ100杯。その水を、住民150人と家畜で分け合っているのです。隣村までもらい水に通うこともありました。
 見るに見かねて井戸掘りに協力しました。幸い、水は出ましたが、深さ176メートル。コップで回し飲みしながら、村の長老が「こんなきれいな水は見たことも飲んだこともない」と大泣きし、私の手を離しません。私ももらい泣き。
 親しくなった井戸掘り隊隊長の話では、高所の村はどこも水が枯れているそう。井戸を掘るのは、緊急避難になっても、解決にはなりません。
 私たちの調査では、農村の1人1日あたりの水使用量は21の村の平均で23.8リットル、少ない村は15.6リットル。風呂やシャワーはなく洗濯もめったにしません。洗い物をした最後の水は家畜の飲み水。水の少ない村ほど急激に水が減っているようです。
 広大な範囲で、河川という河川から水がなくなりました。大同市の中央部を流れる桑干河で最後に流れを見たのは1997年夏で、その後は水がありません。河底の全面がトウモロコシ畑になったところもあります。大小のダムも干上がりました。
 広い中国のこと、そういう地方があっても不思議ではありません。でも大同は北京から車で3時間、桑干河は北京の重要な水源です。オリンピックを控えた北京は膨張に次ぐ膨張。大丈夫でしょうか?
【写真】苑西庄村の176mの井戸の通水式。水道管から勢いよくでる水をコップにくんで回し飲みした。
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