号外09)県の林業局長夫妻

 大同の南60キロ、渾源(フンユェン)県の林業局長・温増玉(ウェンヅォンユィ)さんと森林消防の赤い小型四輪駆動車で造林地を回り、町まで帰ってくると食堂は閉まっていました。おかげで自宅に招かれ、夕食をごちそうに。私の宿から近いことを知り、味をしめて毎朝通いました。アワかジャガイモの主食にハクサイの漬物がつくくらい。
 温さんのその日の予定が会議だと、私は帰って独自の日程を立てます。村に行く予定があれば、頼み込んで同行させてもらいました。この地方の農村になじんだのは、そのおかげです。
 連日押しかけるのは私だけですが、入れ替わり誰かが相談ごとにきています。信頼のある人なんだなと私は考えました。
 温さんはそういうお客や自分の運転手に酒やタバコを振る舞います。つれあいの郭玉香(グォユィシャン)さんは道路に面した土間で小商いをしていました。その売り物を勝手に持ち出すのです。私が「売れるのより、温さんが人にあげるものの方が多い」というと、郭おばさんが言いました。「客が多いのは幸せなことだし、老温はあの性格でしょ。小売りで買うより卸で仕入れる方が安いと思って店を始めたんです。儲けようなんて最初から考えていません」。こういう人だから私を受け入れてくれたのです。
 温さんは定年退職しました。彼の家には友人が集まって、いつもにぎやかです。郭おばさんは脳出血で半身が不自由になりましたが、以前と同じように私を迎えてくれます。残念なのは、2人とも農村なまりがきつくて言葉を聞き取れないこと。
【写真】渾源県の林業局長夫妻。この人たちとの出会いが初期になかったら、私はここまで深入りしなかったと思う。
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