857話)井戸を掘る

整地と平行してすすめたのが井戸掘りです。太さ30㎝、長さ2.5mほどのスチールの銛(もり)を地中に打ち込んでいきます。ワイヤーでつり上げては、重力にまかせて打ち下ろすわけですね。穴のなかに始終、水を流し込みます。すると穴の底では土がどろどろになります。それをときどき、細長い鉄製のバケツのようなものでくみ出します。そうやってちょっとずつ掘りすすむわけですね。

経験のある人たちが電流をつかって水脈をみつけるんですけど、地中のことが完全にわかるわけではありません。私たちはこれまで農村で3本、緑化拠点で5本、合計8本を掘り、最終的にはすべて成功させましたが、途中で行き詰まってやりなおしたこともあったのです。不安な気持ちは毎回、ぬぐうことはできません。

このときもトラブルにであいました。68mほど掘ったところで、機械が故障し、休んでいるうちに穴のなかの土が崩れ落ちました。そのままやりなおしてもいいのですけど、場所を移し、より大型の機械に換えて掘り直したのです。そのほうが早いとの判断でした。

最終的に146mを掘り、1時間あたり40m3ほどの水をうることができました。単純な作業の繰り返しですが、それがけっこうおもしろくて、私はしょっちゅう見物していました。ついに自分の家の庭に井戸を掘ろうと思い立ったくらいです。
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