1196話)60kgをかついで

生活燃料のための伐採の話をもう一回。立花先生の植物園構想に端を発して、自然林がみつかってからのことです。私たちもそれをぜひみたかったのですね。で、李向東さんに「遠いのか?」ときくと、「不遠!2里的」という返事が返ってきました。中国の1里は500mですから、2里は1km。それだったら気軽にいけるでしょう。

歩いても歩いてもたどり着けません。あきらめて、またの機会をつくりました。今度は山のようなタキギを背負った老人が、急な斜面を飛ぶように走ってくるのに出会いました。きくと、120斤(60kg)はあるといいます。それだけのタキギを山側の障害物にあたらないよう、谷側に長く突き出し、バランスを崩した状態でかついでくるのですよ。

カラマツの枝にまじって、ナラやシラカンバの枝があります。まちがいなく自然の森林があるようです。どこからとってきたかきくと、かけおりてきた山をさして、あの山を越えたもう一つ先の山、との答え。今回も着けそうにありません。

弁当を用意して、朝暗いうちに宿を発ちました。ふもとの村に車を停め、歩き始めました。ガイドにやとった村の人が、弁当のほかにビールまで背負子にいれて運んでくれます。「あるのはうれしいけど、ビールは必要ない」というと、「いや、ゆっくり歩くから平気だ」といいます。

しばらく歩くとガイドはみえなくなり、遅れた私たちを気づかって、背負子を背負ったまま引き返してきます。歩く速度も、持久力も私たちとはちがうのです。

流れの消えた谷の底を歩き、藪こぎを繰り返して、片道4~5時間をかけ、やっとたどり着いたのが碣寺山の山頂でした。

「近くて遠きはいなかの道」と言ったのは立花先生でした。その逆に「遠くて近きは男女の仲」なんだそうです。写真はそのときのものではありません。
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