朝6時、携帯が鳴る。
寝室で娘と寝ている奥さんから。
「どうしたの?」
「イロ(娘)が鼻血がでちゃって止まらない。きてくれる?」
「わかった」
部屋に行くと奥さんが娘の小鼻の部分をおさえている。
シーツにはかなりの出血が広がっていて、パジャマにも付着。
こんなちいさなからだでこんなにたくさん…と思ったら急に心配になって胸が苦しくなってきた。
でも、父親が動揺したら娘は不安になると思い、平静を装い
「だいじょうぶだよすぐ止まるよ。えらいね、もうちょっとで止まるからね」
と、わざとゆっくりした口調で声をかけながら奥さんとバトンタッチして鼻をおさえた。
しかしなかなか止まってくれない。
おそらくはキーゼルバッハ部。圧迫止血の目安は15分くらいと言われているが、15分を過ぎても離すとツーッと出てきてしまう。
不安がよぎる。
血小板が少ないんじゃ… まさか白血病だったらどうしよう。
短時間の間にいろいろ考えてしまう。
30分くらいしてようやく止まってきた。
ひと安心
ふだん仕事では動揺したり焦ったときほどわざとゆっくり行動したりゆっくり話すように心がけ、慌てる様は見せないようにと気をつけているつもりではあるが、こと子どもに関してはその冷静さは保てないだろう感じた。もう少しで慌てふためく姿を家族に晒してしまうところだった。
よく言う「熱性けいれん」などを目の当たりにしたら、絶対落ち着いてなんかいられないと思う。いつかおこりうるその時を想定して奥さんとよく話し合っておく必要さを痛感した。