JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

施術料金について

2013-03-08 | お知らせ


【 施術料金 (平成25年4月1日~)レギュラー会員 】
※4月以降に当院を初診で受診された方は自動的にレギュラー会員となります



◎指圧マッサージ・整体  60分 4,500円
 ※整体は90分以上~  90分 6,500円 
                120分 8,500円

◎鍼灸治療       初診料  なし
                1 回 4,100円
              (使い捨て鍼代300円含む)

※往診について(移動の所要時間によって変わります) 
 自転車  で往復10分以内の近距離 +  700円
 車・バイクで往復30分以内の遠距離 +2,250円
 車・バイクで往復60分以内の遠距離 +4,500円

◎足裏マッサージ(院内のみ)
足湯5分+足裏~ふくらはぎマッサージ30分2,500円
足湯5分+足裏~ふくらはぎマッサージ45分3,500円

                     

【潤天堂 特別登録会員施術料金】
※レギュラー会員と特別登録会員について

◎指圧マッサージ・整体  60分 3,800円
 ※整体は90分以上~  90分 5,700円 
                120分 7,600円

◎鍼灸治療         初診料  なし
                  1 回 4,100円
              (使い捨て鍼代300円含む)

※往診について(移動の所要時間によって変わります) 
 自転車  で往復10分以内の近距離 +  700円
 車・バイクで往復30分以内の遠距離 +2,000円
 車・バイクで往復60分以内の遠距離 +3,800円

◎足裏マッサージ(院内のみ)
足湯5分+足裏~ふくらはぎマッサージ30分2,200円
足湯5分+足裏~ふくらはぎマッサージ45分3,000円






                    

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きょうの健康4

2013-03-05 | きょうの健康
ご存知 Eテレの(月)~(木)午後8時30分~8時45分放送の番組。その道のスペシャリストの医師が出演・解説されます。一般の方にもわかりやすく、最新の情報が得られるよい番組です。ぜひご覧ください。

不定期かもしれませんが、放送にあった内容について簡単な問題をつくってみます。
興味のある方はチャレンジしてください。解答は最下段にセットしておきます。スクロールしてください。

2月25日~27日(※28日は除く)のテーマは「脳腫瘍」「円形脱毛症」「ノロウィルス」

脳で発生する代表的な腫瘍4種類。
1.神経膠腫(グリオーマ)→( 1 )にできる腫瘍。2.髄膜腫→脳を包んでいる( 2 )の細胞が増殖し、腫瘍になる。3.下垂体腫瘍→脳のすぐ下に位置し、ホルモンを分泌している「下垂体」に腫瘍ができる。4.シュワン細胞腫(神経鞘腫)聴神経や三叉神経など( 3 )神経に腫瘍ができる。髄膜腫や下垂体腫瘍、シュワン細胞腫など脳の周辺組織からできる脳腫瘍は多くが良性脳実質から発生する神経膠腫悪性の場合がほとんど

脳腫瘍のサインとして「起床時の強い( 4 )」「気分が悪くないのに起こる( 5 )」「初めての( 6 )」「体の片側だけに起こるしびれや運動マヒ」がある。

脳腫瘍の主な治療は「経過観察」「手術」「放射線治療」「薬物療法」。腫瘍が大きくても経過観察でよい時もあれば、小さな腫瘍でも手術が必要な時もある。悪性である神経膠腫の場合、腫瘍が脳の内側に染み出すように広がるため、境界がはっきりせず手術範囲がわかりにくい。近年、このような脳腫瘍の手術を安全に行うため、手術中に(腫瘍と脳の境界を調べるために)「MRI検査」や「病理検査」を行ったり、(脳の機能への影響を調べるための)「覚醒下手術」という方法を組み合わせ、情報をリアルタイムに確認する「( 7 )手術」と呼ばれる方法が行われている。
また、手術後に、取りきれなかった腫瘍を死滅させる目的で放射線治療が行われる。最近では( 8 )や( 9 )などの「定位放射線治療」が普及している。
従来、脳腫瘍に薬物療法は効果が低いとされていたが、( 10 )という抗がん剤の効果が再評価されたり、( 11 )という新しい抗がん剤が登場し効果が期待されている。

円形脱毛症は、免疫の異常で起こる( 12 )と考えられている。攻撃の対象を間違えた( 13 )が、毛根を異物と認識して攻撃することで起こる。なぜこの免疫異常が起きるのかははっきりわかっていない。
脱毛範囲が( 14 )%以上だと重症と診断される。( 14 )%未満の軽症の場合、自然に治ることもあるので3~4ヶ月様子をみることもある。軽症でも発毛してこなかい場合や重症の場合は治療が必要。
軽症の場合は進行期でも固定期でも( 15 )薬の内服と外用ステロイドによる治療が基本。固定期で脱毛の範囲が狭い場合、ステロイド薬の注射を行うこともある。
重症の場合も、固定期では( 15 )の内服と外用ステロイド薬が基本。さらに重症の場合はステロイド薬の内服が検討される。
進行期には3日間だけ集中してステロイド薬を大量投与する「パルス療法」が入院して行われる。
重症の固定期で治療の効果が見られない場合「局所免疫療法」が行われることがある。※局所免疫療法=薬剤を塗って意図的に頭皮にかぶれを起こし、炎症を抑えるために集まったTーリンパ球に、毛根を攻撃しているTーリンパ球による炎症も抑えさせる治療

ノロウィルスによる感染症は、とくに( 16 )月~( 17 )月に多発する。寒さを好み、さらに( 18 )に強い。症状が治まってからも約2週間は便とともにウイルスが排泄されることにも注意が必要。
食品や人の手などを介して体内に入り、( 19 )で増殖する。1~2日間の潜伏期間を経て強い吐き気、( 20 )、( 21 )、腹痛などを起こす。発熱、頭痛、筋肉痛を伴うこともある。乳幼児や高齢者が感染すると( 20 )や( 21 )などにより脱水症状を起こし、重症化するケースがある。飲食物からの感染では( 22 )などの二枚貝が原因となることが知られているが、衛生管理が徹底してきたため最近では減少傾向にある。しかし生で食べたり加熱処理が不十分だとウイルスが死滅せず感染することがあるので注意が必要。
人から人への感染経路には、感染者の便や嘔吐物に触れた手を介して口から体内に入る( 23 )感染、吐いた時にウイルスを含む飛沫が飛び散り、その飛沫を吸い込む( 24 )感染、適切に処理されなかった嘔吐物が乾燥し、舞い上がって空中を浮遊するウイルスを吸い込む( 25 )感染などがある。

ノロウイルスを死滅させる抗ウイルス薬は存在しない。対症療法が中心。
症状が軽い場合は自宅で安静。嘔吐があるときは吐き気どめの坐薬を用い、吐き気が収まったら水分・塩分を少量ずつこまめに補給して( 26 )を起こさないように気をつける。
嘔吐が続く間は食事を無理に摂る必要はない。水分・塩分を少しずつとり、症状が落ち着いたらお粥などをとるようにする。下痢止めは使わない。

手洗いは手指のすみずみまで丁寧に洗う。指先、指の間、爪の間、手首なども十分に行う。
床などに嘔吐したときは使い捨てのマスクや手袋を着用し、ペーパータオルなどで静かに拭き取った後、家庭用の「塩素系漂白剤」で消毒する。拭き取った嘔吐物や手袋などはポリ袋に密閉して捨てるようにする。








解答:

1.脳実質 2.くも膜 3.末梢 4.頭痛 5.嘔吐 6.けいれん発作 7.情報誘導 8.ガンマナイフ 9.サイバーナイフ 10.二ムスチン塩酸(ACNU) 11.テモゾロミド 12.自己免疫疾患 13.T-リンパ球 14. 25  15.抗アレルギー 16. 11 17. 3 18.乾燥 19.腸管 20.嘔吐  21.下痢 22.かき 23.経口 24.飛沫 25.空気 26.脱水症状 

 



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2. なぜ「これ」は健康にいいのか?

2013-03-05 | 臨床・治療
(つづき)

どんなに体にいいことをしている人でも、もともと自律神経のバランスのいい人でも、睡眠が不足すると一発で自律神経にバランスは崩れる。睡眠不足の時に鍼治療をしたら効果はどのように変化するか実験。気持ちのよい鍼治療を受けた後、体が暖かくなったりねむくなったりした時に体温を測ると実際に上昇していた。自律神経を計測したところ、やはり鍼治療には副交感神経を上げる効果があった。ところが睡眠不足だと、鍼を打っても副交感神経は上がってこなかった。


鍼治療が痛みの軽減に効果があることはWHOでもある程度認められているが、その調査結果にはばらつきが多く、なぜ鍼を打つと痛みが軽減されるのか、効果にばらつきがあるのか詳しいメカニズムはわかっていなかった。でも、鍼治療で痛みが軽減されるのは、副交感神経が上がることによって血流が改善されるためだとすれば、なぜ治療効果にばらつきがあるのかも説明できる。睡眠不足だと鍼を打っても副交感神経があがってこないから。鍼治療に限らず、どんな医学的治療を受けるときでも、睡眠不足だとその効果は半減してしまう。

受験や試験の前に徹夜で勉強する人がいるが、本当に実力を発揮したいなら前日は充分な睡眠をとることが大切。自律神経の乱れによる血流悪化の影響は全身に及び、筋肉のみならず脳の機能も低下してしまう。

深酒は睡眠不足と同じくらい自律神経のバランスを崩す。アルコールは一種の興奮剤なので交感神経を刺激し、副交感神経を低下させる。深酒は体内に長くアルコールが残ることになるので、その間ずっと交感神経が刺激され、血管の収縮も長時間つづく。また、アルコールの分解・解毒の過程で水分が使われるので体は脱水が進む。
脱水は血管にもダメージを与える。血管の収縮に脱水が加わると、血液の濃度はさらに濃くなり、さらに血流は悪くなる。このドロドロ血液が収縮した血管を通るとき血管の内皮を傷つける。予防としてはお酒を飲むときは同量の水を飲むこと。

飲酒による頭痛は脳の血流不足が原因。お酒を飲むときに同量の水を飲むようにすると脱水の程度が軽くすむので頭痛を防ぐことができるとともに、血管のダメージも軽減することができる。

お酒を飲みすぎると、気持ち悪くなって吐いてしまうことがあるが、あれは消化器の動きを司る副交感神経が極端に低下することによって腸が麻痺し、動かなくなるので逆流してしまう。冷たい水を飲むと「胃結腸反射」を誘発するので腸が麻痺するのを防ぐことができる。ゆっくりでも腸が動いていれば吐き気もおきずにすむ。また、腸管が動いていれば副交感神経も刺激されるので、副交感神経の極端な低下を多少防ぐことができる。

深酒をしてしまった翌朝はどうしたらよいか → 朝起きた時にコップ一杯の水を飲む。朝食はそのあと。食事は基本的に副交感神経を上げるが、睡眠不足のときはただ単に食事をしても副交感神経はたいして上がってくれない。「寝起きの水」を食事の前に飲むことによって下がりきって反応しにくくなっている副交感神経が上がってきてくれる。

深酒をした翌朝、だるさや疲労感を感じる原因も「脱水」。体は脱水を起こすと細胞がそれぞれの持つ水分をこれ以上減らさないようにするため血管との連絡口を閉じてしまう。細胞が守りの状態に入ると末梢の血管は水分が不足し血流が極端に悪くなる。体はこうした危機的な状況になると大切な部分、具体的にいうと心臓と脳への血流を確保するため、交感神経が優位になって末梢の血管を収縮させる。この結果生じる末梢の血流不足が「疲労感」の原因。
普段から脱水に気を付けなければいけないのが高齢者と子供。高齢者が脱水しやすい理由は二つ。一つは血管の老化。もう一つは血液量の減少。血液は心臓というポンプが押し出す力で体中を循環しているといわれているが、じつは心臓のポンプ機能だけで血液循環が行われているわけではない。実際には血管がたえず収縮と拡張を繰り返すことで、心臓のポンプ機能を助けている。年をとって血管が老化すると血管自体が硬くなるので、この収縮と拡張が充分にできなくなる。結果、心臓に負担がかかるとともに、一回の拍動で送り出せる血液の量が減ってしまう。また、高齢者は食事量の減少や細胞の保水力の低下によって血液の量そのものも減少する傾向にある。この状態で脱水が起きれば、体はすぐに危機的な状態になってしまう。

これに対し、子供が脱水を起こしやすいのは細胞外液が多いから。子供は70~80パーセントが水分。子供も成人も細胞の中に蓄えられている水(細胞内液)の量はほぼ同じ。子供は細胞の外側にある細胞外液の量が多く、大人では全体の20パーセント程度だが、子供は40~50パーセントもある(子供の肌はプルプルで水をはじくというがその原因が細胞外液)。細胞外液というのは、細胞の外側にあるため、浸透圧の関係で汗をかいた時にとても失われやすい。もともと細胞外液の少ない成人では汗をかいても失われる水分量は少ないうえ、普段から細胞外液の少ない状態に慣れているので脱水に耐える力も大きいが、細胞外液の多い子供は、汗とともに体内水分量が一気に減ってしまい短時間で深刻な脱水状態になりやすい。本人がのどの渇きなど脱水の症状を感じてから水分補給をしたのでは間に合わない危険性がある。こまめな水分補給を心掛ける。

便秘の人は朝一番にコップ一杯の水を飲む。これは寝ている間に失った水分を補給するという意味もあるが、それ以上に大切なのが「胃結腸反射」を誘導するということ。胃腸は副交感神経の支配下にあるのでそれらを動かすことによって副交感神経を刺激することができる。つまり胃腸を動かすと副交感神経を高めることができる。朝は日内変動によって副交感神経優位から交感神経優位に切り替わる時間帯。この時に適度に副交感神経を刺激することによって副交感神経の下がりすぎを防ぎ、自律神経のバランスを整えることができる。

年をとると便秘になる人が多いが、これは副交感神経の低下が原因。便秘外来にくる患者さんたちに、まず最初にやっていただくのは「朝一番のコップ一杯の水」。私の治療法で便秘を改善した多くが、たんに便秘が改善するだけでなく、ほかにも「冷えがよくなった」「頭痛がしなくなった」「活力が湧いてくるようになった」と、さまざまな健康効果を申し出られる。なぜ便秘を改善することで全身の健康状態がよくなるのか。ひと言でいえば「よい状態の血液を送り出すのが腸だから」。そして、よい血液を送り出すためにもっとも大切なのは血流。私たちは食事から栄養分を吸収し、その栄養を含んだ血液を全身に行き渡らせることで全身を構成している60兆個の細胞を養っている。その栄養豊かな血液をつくっているのが腸管。腸の血管から吸収された栄養分が肝臓へ行き、肝臓から心臓へ行き心臓を経て全身の細胞へ栄養分が送られる。この大切な腸の血流の良し悪しを決めるのは腸の「蠕動運動」。腸の動きが悪くなると、腸の中で「うっ滞」が生じてしまう。腸管の血流が悪くなれば、充分な消化ができなくなり、必要な養分の吸収もできなくなる。栄養がきちんと吸収されないと食べ物のカスが大量に腸管の中に残り、腐敗し、腸内環境を悪くする。
腸内環境が悪くなると、腸内の悪玉菌が増え、腸の消化吸収能力はさらに悪くなる。こうした汚れた腸からは汚れた血液しかつくれない。だから腸が悪いと全身の調子が悪くなる。この状態では薬の効きも悪くなる。消化吸収能力がよくなれば腸内環境もよくなる。腸内環境がよくなると腸の動きがよりスムーズになるので、副交感神経も上がりやすくなる。副交感神経のレベルが上がると血流がよくなりきれいな血液が全身をスムーズに循環する。

腸内環境が悪いと太りやすくなる。消化吸収が悪くなるのになぜ太るのか。腸が汚れているとそこから肝臓に運ばれる血液も汚れたものになってしまう。汚れた血液はどこへ行くのかというと、肝臓から心臓へ運ばれて全身へ行き渡り、脂質代謝を悪化させることで内臓脂肪としてたまっていく。つまり摂取カロリーが同じでも、腸内環境が悪いとそれだけ太りやすくなる。消化吸収が悪いと脂肪が蓄えられるのに、全身の細胞は充分な栄養が行き渡らない低栄養状態になってしまうので、疲れやすくなったり、新陳代謝が悪くなったりする。さらに腸内環境が悪いと自律神経のバランスが崩れやすくなるので精神的にもイライラして怒りっぽくなる。

ダイエットしたいなら、まずはできるだけ腸内環境をよくすること。太る最大の原因は食べ過ぎだが、たいして食べていないのに便秘がちで太っているという人は、まず便秘を治療することから始めるとよい。便秘がよくなるだけで痩せる人はたくさんいる。運動不足が主な原因だが、それだけでは説明がつかない部分もある。そこに自律神経のバランスの乱れからくる腸内環境の悪化があると考える。事実、太っている人の自律神経を計測するとほとんどの人がバランスを崩している。腸を動かし、腸内環境を改善するためには副交感神経を高めることが大切だが、単に副交感神経だけを高めればいいかというと、実はそんなに単純ではない。副交感神経が過剰に高くても交感神経が過剰に高くても、どちらも便秘になるから(前述)。太っている人の自律神経は、実はバランスが悪いだけでなく、交感神経も副交感神経も、どちらも低下している人がとても多い。自律神経全体のレベルが低いうえバランスが悪いので体にとっては最悪な状態。交感神経も副交感神経もどちらも高いレベルでバランスをとることが体にとってもっともよい状態。

自律神経をコントロールする重要なポイントの一つが、腸内環境をよくし、その働きを安定させることであることであり、そのために有効なのが「朝一番のコップ一杯の水」と「食前のコップ一杯の水」、そして乳酸菌をとること。そうしたものの効果を高め、自律神経のバランスを安定させるために習慣化していただきたいのが「食生活の改善」と「運動」。食事は1日3回がよいが、これはしっかり3回食べなければいけないということではない。運動不足の現在人は1日3回しっかり摂ったら栄養過多で太ってしまう。1日3回を勧めるのは「食事=腸への刺激」という意味。1日に1回しか食事をしないということは、1日1回しか腸に刺激を与えないということなので、腸の動きが悪くなってしまう。だから腸に刺激を与えるという意味で1日3回の食事を勧めている。ダイエットなどで食事量を制限している人は、食事をとらなくても水でもお湯でもお茶でもいいので必ず何か飲んだほうがよい。胃にある程度水分が入れば、その重みで腸に圧力がかかるので腸は動く。しかし、水分しかとらないより食べた方がよい。なぜなら食事をすると体温が上がるし、噛むことで脳が刺激されるから。また、ものを食べると心が落ち着くという効果もある。
欠かすことなく食べてほしいのは「朝食」。朝食は三度の食事の中で特に大切といわれている。でもそれは、必ずしも朝にたくさん食べた方がいいということではない。午前中から体力を使うような仕事の人はしっかり摂ることは必要。ごく普通の運動量ならたくさん食べる必要はない。頭脳労働者となれば逆に朝食をできるだけ軽くしたほうがよい。ちなみに、私の朝食はコップ1杯の水と、バナナ1本とパン1枚だけだが、それでも栄養は充分足りる。朝食の目的は大きく三つ。(1)副交感神経を上げること。(2)血流が上がること。ものを食べると吸収の過程で肝臓が働くので肝臓に多くの血液が流れる。その血液が全身にめぐることで全身の血流がよくなる。(3)慌ただしい朝に「余裕を生み出す」ということ。慌ただしい時間帯に、たとえほんの15分程度でも、落ち着いて座り、ものを食べるということで「余裕」が生まれる。

食後(昼食後)に眠くならない食べ方。食後、睡魔に襲われるのは副交感神経が上がるから。食事をすると胃腸が動くので誰でも副交感神経が上がるがちょっとした工夫で副交感神経の上げ方をコントロールすると食後の眠気を抑えられる。ポイントは2つ。①食前に300~500cc程度の水を飲む②腹八分目の量を、できるだけゆっくり時間をかけてとること。食事をすることで交感神経が一気に高まるが、食後、消化器官が動き出すことで一気に副交感神経優位に「急転換」する。食後の眠気はこの「急転換」が原因。この急転換を防ぐのが先の2つのポイント。食事の前に水を飲むことで胃結腸反射が誘発され、腸が動き、副交感神経が高まる。そしてゆっくり食べることで、食べている間に副交感神経が上がってくる。食後に一気に副交感神経優位に急転換するのは、食事によって交感神経が急に高くなったことに対するリバウンドなので、ゆっくり食事をすることで交感神経の急上昇を抑えながら副交感神経を高めることができる。また、昼食を腹八分目に抑えるのは、満腹まで食べてしまうとどうしても消化吸収に大量の血液が使われ、脳の血流が不足するのを防ぐため。食事というのはたくさん食べれば食べるほど栄養が吸収されるというものではない。吸収力は、食事の量ではなく腸管のコンディションで決まる。腸内環境がよければ、食事の量は少なくても午後の活動に必要な栄養は充分に吸収できる。早食いと食べ過ぎは居眠りのもと。

肥満というと、食べ過ぎ、運動不足によるカロリー過多が原因とされているが、交感神経の低下も肥満を招くことが最近の研究であきらかになってきている。交感神経が低下すると代謝量が減るので太ってしまう。交感神経を高めるもっとも簡単な方法は心拍数が上がるような運動すること。肥満改善に運動が有効なのは、運動によって余分な脂肪がエネルギーとして消費されるという直接的な理由もあるが、それとともに、交感神経が上がり、基本的な代謝量そのものが上がるというメリットもあるから。生活習慣の改善も大切。不規則な生活は自律神経を乱してしまう。実際太っている人の自律神経を測ると交感神経も副交感神経も、自律神経全体の活性が低下してしまっている。太っている人はよく汗をかくが、実はこれも自律神経の活性が低下していることが原因と考えられる。自律神経が低下してしまうと、体の組織が水分をうまく吸収できなくなるので体の外に水分が出てしまう。これが肥満した人たちの異常なほど多い汗の正体。


ダイエットというと、食事を抜くなど極端な食事制限をする人が多いが、食事を抜くと腸が動かなくなるので、自律神経のバランスが崩れ、かえって悪い結果を招くことになる。自律神経の活性を落とさずに、でも、できるだけ早く結果を出したいという人に勧めているのが、昼の食事を中心にし、朝と夜の摂取カロリーを大幅にカットするダイエット法。極端な言い方をすれば、朝と夜は水分やヨーグルトだけで、昼をしっかり食べるという方法。朝と夜は摂取カロリーを抑えるために食事はとらない。でも腸を刺激して副交感神経は高めておくことは必要なので、胃結腸反射を誘発させるために充分な水分をとり、また、ヨーグルトで腸内環境を整えておく。この方法であれば昼食は満足するまで食べても太る心配はない。このダイエット法を実践すると、自律神経のバランスを崩すことなく驚くほどスピーディに痩せることができ、ダイエットにありがちなイライラや疲労感も少なくて済む。

運動するなら朝と夜どちらがよいか。昔から「朝、早起きして運動するのがいい」と考えている人が多いが、私はあえてこの「朝の運動」には反対。生理学的な理由として、(1)ケガしやすい(2)疲れてしまう(3)あとに仕事が控えているというストレスから運動の効果が下がってしまうから。朝というのは交感神経がとても高い時間帯なので、血管が収縮し、うっ血している。血管が収縮すると筋肉は硬くなるので体は硬くなる。体の硬いときの運動はケガにつながりやすい。大学の運動部の合宿でも、早朝の練習は避け、午前10時頃から練習を始めるところが増えてきている。朝の時間帯は、一日の中でも脳が最も冴えている時間帯。その時間に無理に硬く動きにくくなっている体を動かすことに時間を費やすことは時間の無駄。朝は体でなく頭を使うべき時間帯。

お勧めする運動の時間帯は「夜」。夕食後から寝る1時間前までに30分~1時間ほどゆっくり歩くことが理想。夜は副交感神経が優位になる時間帯なので、交感神経を刺激する「運動」は矛盾しているようだがそうではない。なぜなら「激しい運動をしなさい」と言っているわけではないから。自律神経を整えることを目的とした運動は「ウォーキング」程度、高齢者なら「散歩」くらいでよい。心拍数が上がり、呼吸がハァハァと荒くなるほどの激しい運動は逆効果。また、夜の運動であれば体の疲れはデメリットにならない。一日働いて疲れているのに、さらにまた運動までして疲れるのか、と思うかもしれないが、昼間の仕事の疲労と夜の運動による疲労は意味が少し違う。昼間の仕事の疲れはおもに頭脳活動による精神的疲労。デスクワークの人が退社時に感じている肉体疲労はうっ血によるものなので、夜にウォーキング程度の軽い運動をすると、血流がよくなるのでかえって疲れがとれるようになる。夜の適度な運動は、末梢の血管を開く。実験でも、夜運動した方が眠りの質がよくなる結果がでている。さらに、夜運動すると、首の痛みや肩こり、腰痛なども大きく軽減されることもわかっている。これらは全身の末梢の血管の血流がよくなることによる副産物といえる。


緊張をとりたいとき、落ち着きを取り戻したいとき、私たちは「深呼吸」をする。なぜ深呼吸をすると心が落ち着くのか。それは末梢の血流量が増加するから。心に余裕があったり、安心しているとき、人の呼吸はゆっくり深くなる。緊張すると無意識のうちに速く浅い呼吸に変わる。回数でいうと、余裕があるときの呼吸は1分間に15~20回程度。緊張すると20回以上に増える。こうした呼吸の差は自律神経のバランスの差になって現れる。ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経を刺激するので、血管が開き末梢まで血流がよくなる。そして血流がよくなると筋肉が弛緩するので体はリラックスする。高くなったテンションを抑えたいとき、もっともよいのは筋肉をコントロールすることだが、筋肉をコントロールしているのは血流で、血流をコントロールしているのは自律神経。現段階で自律神経を確実にコントロールしているのは何かというと「呼吸」である。

「ゆっくり深い呼吸」の方法。別名「一対二の呼吸」。ゆっくり一数える長さで息を吸い、その倍の時間をかけて息を吐く。これだけ。「腹式」とか「回数」とか「鼻でなのか口でなのか」とか、いろいろ考えてはいけない。いろんなことを意識してしまうことで自律神経のバランスがくずれてしまうから。人は繊細な作業をするときに「息を止める(詰める)」傾向がある。なぜならすごく細かい作業をするときは、呼吸による些細な体の動きさえ邪魔になることがあるから。それでも、持てる力をすべて出しきりたいなら息を止めては絶対にいけない。一流の外科医は決して呼吸を止めない。彼らは呼吸を止めるのではなく呼吸のリズムに合わせて指先を動かしている。

交感神経が過剰に優位になっているときは「ゆっくり深い呼吸」でバランスを整えることが有効だが、では、副交感神経が過剰になって自律神経のバランスが崩れているときはどうしたらよいのか。これも呼吸で改善できる。副交感神経が過剰になってバランスが崩れている状態とは、心も体も弛緩しすぎている状態、わかりやすくいえばモチベーションが上がらないとき。がんばらなければいけないのにやる気が出ない、どうしてもモチベーションが上がらないというときは、先ほどとは逆に「浅く速い呼吸」をして交感神経を刺激するとよい。胸で浅い呼吸をハァハァすればよいが、やり方がいまいちわからない人は、両手を上げて「バンザイ姿勢」をとり、浅い早めの呼吸をする。この状態だと、いやでも胸式呼吸になるので交感神経が上がる。でも、呼吸で交感神経、副交感神経を刺激するポイントは胸式か腹式かではない。最重要ポイントは息を吐くときのスピードにある。胸腔には圧力を感知する「圧受容体」があり、息を吐く時間が長ければ長いほどこの圧受容体に圧力がかかり続けることになる。圧受容体には静脈の血流をコントロールする働きがあるので、圧力のかかる時間が長ければ長いほど静脈に流れる血流量が増え、副交感神経が刺激される仕組みになっている。緊張したときや焦ったとき、パニックを起こしそうなときは「ゆっくり息を吐く呼吸」をし、やる気が出ないときは「速く短く息を吐く呼吸」をすることで自律神経のバランスを整えることができる。





朝は副交感神経優位から交感神経優位に切り替わる時間帯。しかしこの時間帯は交感神経が優位になるとはいえ、夜の余波で副交感神経も比較的高いレベルにあるので脳が最も活性化する時間帯。この時間帯に最も適するのは、物事を深く考えたり、発想力を必要とする仕事をすること。朝の通勤電車では、本や新聞を読むようなインプット作業より、より頭を使うようなたとえば英語の勉強をしたり、企画を通すための作戦を考えたり、できるだけ頭を使うことを集中して行ったほうがよい。とくに語学の勉強は朝にとても適している。なぜなら朝は自律神経のバランスがいいので、耳の調子もよく、英語のヒアリング能力が一段とアップするから。

手をぎゅっと握りしめると副交感神経は下がる。それと反対にちょっとした動作で副交感神経を上げる方法がある。それは「笑い」。大笑いしなくてもよい。ほんの少し微笑むだけで効果がある。実験では、心からの笑顔はもちろんのこと、たとえ作り笑顔であっても、口角を上げれば副交感神経は上がった。これはまだ仮説だが、口角を上げる動作が顔筋の緊張をほぐし、心身にリラクゼーション効果をもたらすのだと考えられる。「笑うと副交感神経が上がる」ということは副交感神経が上がればリンパ球の活性が上がり、免疫力が高まることがわかっているので、笑えば、たとえそれがつくり笑いであっても免疫力が上がるということになる。実際、「笑い」によって、免疫力に対して重要な働きをもつNK細胞が活性化することも証明されている。笑顔と反対に、緊張を高め、副交感神経を下げてしまう表情が「しかめっ面」。仕事で疲れて帰ってきても、かわいい子供の寝顔を見るとその日一日の疲れが吹っ飛ぶというが、それも子供の寝顔を見たときに自然と笑顔になっているから。

医者が笑顔でいるかいないかで、患者さんの治りが早くなったり遅くなったりする。対峙する人の影響を無意識だったとしても必ず受けている。笑顔で接すれば相手も笑顔になり、深刻な表情で接すれば相手も深刻な気持ちになる。表情が変われば自律神経のバランスが変わり、自律神経のバランスが変われば血行や免疫力が変化するから当然治るスピードも変わる。笑顔で接するというのは、相手の不安を取り除くことにつながる。だから笑顔で接するということは医者が患者さんの副交感神経を上げる最も良い方法の一つといえる。深刻な顔をして診察室に入ってきた患者さんが、笑顔になって帰っていく。それができればその日の治療はもう成功したようなもの。実際、軽い症状であれば、不安が取り除かれただけで患者さんの状態もよくなっていく。

反対に、交感神経を高め自律神経のバランスを崩してしまう最悪の習慣は「怒り」。怒りは交感神経を過剰に緊張させ、血管を収縮させる。血管が収縮すると血球破壊が生じるので血液はドロドロになってしまう。つまり、怒れば怒るほど体内では血液がドロドロに汚れていく。起こることが体に与えるダメージは他にもある。それはホルモン調整機能が低下してしまうこと。交感神経が活発になると、体をアクティブにするため、さまざまなホルモンが分泌される興奮物質のドーパミンやエピネフリンなどがその代表。交感神経が高くなればなるほどこうしたホルモンが分泌されるが、ホルモンの出すぎは大きな危険をはらんでいる。なぜならこうしたホルモンには「フィードバック機構」が備わっており、あまりに出すぎるとその反動で必要な時にホルモンが出なくなってしまうから。
私は忙しくてイラついたときなどに「あっ、いけない、いけない、にっこり、ゆっくり」と意識することが増えていった。笑顔でゆっくり話すことが身についてくると、物事がスムーズに進んでいくようになった。ゆっくりしゃべるようにしただけで、相手も自分も冷静に話ができるようになるから不思議だった。そして冷静に話ができるようになると腹が立つことも、イライラすることも少なくなるので、自分自身とても気持ちがいい。

ゆっくり話したり、ゆっくり動いたり、ゆっくり運転したりする最大の効果は「呼吸がゆっくりになる」ことだった。ゆっくりした深い呼吸は、副交感神経を高め、自律神経のバランスを整える。怒ったり、イライラしたり、焦っていたり、興奮したりしているときは交感神経が過剰に優位になっているので、呼吸は浅くなる。そうしたときに怒鳴ればさらに交感神経が刺激され、自律神経のバランスはより悪化してしまう。

特別な場合の怒りは別だが、私たちが日常の中で感じる「怒り」に関していえば、人前で怒鳴りつけるような怒り方をするのは、怒るほうの「自己満足」にすぎない。もし本当に相手のためを思うなら、ほかの人のいない別室に呼んで怒ればいい。人前で怒るというのは、怒っている自分を、あるいは怒られている相手を周囲の人たちに見せつけているだけ。相手が素直に反省できないのはもちろん、怒った自分もスッキリするどころか不快な気分になるだけ。頭ではわかっていても、自律神経のバランスが崩れてしまうと、冷静さも判断力も低下するので、感情の抑えが利かなくなってしまう。そのため、怒鳴らずゆっくり話さなければと思っていても、感情を抑えてゆっくり話すということがなかなかできなかった。私のような怒りっぽい人間が怒らなくなるためには、もう一つのステップが必要だった。それは「自分の行動を客観的に見直す」という作業。つまり怒ってしまったあとに、そのときの自分を分析する。自己分析と状況判断を何度か繰り返していると、怒ることが悪い結果しか招かないことが、頭で理解するだけでなく、心から納得できるようになる。人は、自分が今どのような状態にあるのか認識できると、その瞬間に交感神経が下がる。

自律神経のバランスはとても不思議な力を持っている。バランスがいい人は、その本人にとっていいだけでなく、実は周囲のいる人たちにもいい影響を与えている。そして逆に自律神経のバランスの悪い人はその人にとって悪いだけでなく、周囲の人たちにも悪影響を及ぼしてしまう。つまり自律神経のバランスは伝染する、ということ。組織のメンバーを選ぶときは、才能や勤勉さも大切だが、それ以上に自律神経のバランスのよい人を選ぶことが大切。実際、組織の中に一人、自律神経のバランスのいい人がいると、その組織全体のパフォーマンスが向上する。

いい音楽や美しい風景に接すると心が穏やかになる。これは副交感神経が上がり、自律神経が整うから。私は「口調」にもこうしたいい音楽と同じ力があると思っている。どのような言葉を使うか、言葉選びも大切だが、それ以上にその言葉をどのような口調で伝えるかが重要。



名医と呼ばれる一流の外科医から学んだ、つねに実力を出せるようになるためのヒント二つ。一つは、手術前の勉強量の多さ。一流の外科医は、一つの手術のまえに行う準備がふつうのドクターとは格段に違う。わかりやすい例を挙げるなら、ごく普通の外科医が教科書を一冊読んでから手術に入るとしたら、一流の外科医は十冊の本を読んでから手術に臨んでいる。勉強量の差が手術の時に「余裕」の差となって現れる。十冊の本を読んでから臨むと、多くの症例を勉強しているので、自分はどんなことが起きても対処法がわかっているという「心の余裕」が生まれる。この「余裕」が「安心感」につながるので、緊張はあっても「あせり」が消える。ここでいう「勉強」はスポーツでいえば「練習」と同じ。








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1. なぜ「これ」は健康にいいのか?

2013-03-05 | 臨床・治療
すでに読まれている方も多いかもしれません。
最近読んだ中でとくに面白く勉強になった本です。個人的に特に目を引いた部分を抜粋しましたが、自律神経に興味がある方は購入して一冊まるごと読んだほうがよい内容です。

順天堂大学医学部教授 小林弘幸 サンマーク出版 定価1400円+税



なぜ、「これ」は健康にいいのか? (抜粋) 順天堂大学医学部教授 小林弘幸

「私たち人間の体は、活動的な日中は交感神経が支配し、夜、リラックスするときには副交感神経が支配するというように、相反する働きを持った二つの自律神経が、交互に身体を支配することで身体機能が保たれている」このような説明が一般的だった。この言い方だと、私たちの体は交感神経と副交感神経が、きれいにスイッチングされていることで動かされている印象を受けるが、実際はそうではなく、体が最も良い状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方が高いレベルで活動しているときだった。両方高いレベルといっても、アクティブな状態では「交感神経がやや優位」、リラックスした状態では「副交感神経がやや優位」というようなバランスのシーソー状態が生じている。しかし、あくまでも「やや優位」なのであって、どちらか一方に大きく偏っては絶対にいけないものであった。

どういうときに人は病気になりやすいか → 交感神経活動レベルが異常に高く、副交感神経活動がきわめて低いとき。この状態が持続すると体のあちこちに不調が現れる。逆の場合、副交感神経活動レベルが高くて、交感神経活動レベルが低すぎる場合は、うつ病の傾向にあるといえる。
交感神経も副交感神経も活動レベルが低い場合は、疲れやすく、やる気も起きない状態で、健康状態はよくもなく悪くもなくといったところ。

自律神経のバランスを意識的に整える。コントロールするポイントは「ゆっくり」。「ゆっくり」を意識し、ゆっくり呼吸し、ゆっくり動き、ゆっくり生きる。そうすると下がり気味の副交感神経活動レベルが上がり、自律神経のバランスが整いはじめる。

調査では交感神経のレベルには、加齢による変化も男女差も、ほとんどみられなかった。驚いたのは副交感神経に関するデータ。副交感神経のレベルは、予想通り加齢とともに緩やかに下降していたが、男女ともにガクッと急降下する時期があった。その年代が男性は30歳を過ぎたあたり、女性が40歳を過ぎたあたりで、男女それぞれ(自覚的な)体力低下がみられる時期と一致した。私たちが実感していた「急激な体力の低下」は副交感神経が急降下したことによる「自律神経のバランスの乱れ」が原因だった可能性が強まった。

男性の副交感神経が女性より10年も早く下がることが判明した今、平均寿命の性差に「自律神経の低下時期」が深く関係していることは大いに考えられる。副交感神経が低下すると、血管の老化が進み、同時に免疫力も低下し、体は病気になりやすい状態になってしまうから。


郷ひろみさんの若さは「副交感神経を上げる日々の努力」の賜物。郷さんの若さは見た目だけのものではなく、俊敏さや柔軟性といった運動能力はもちろん内臓年齢から血管年齢まですべてが若い。

トレーニングを心掛けている人の多くは筋肉さえ鍛えていればいいと思っているが、それは誤解。いくら筋肉を鍛えても、筋肉は筋肉、あくまでも「肉の塊」。筋肉を動かす神経や、筋肉に栄養を供給している血管などを適切な状態にコントロールすることが必要。このコントロールを可能にするのが自律神経の力。

自律神経を意識的にコントロールしないと、人生の質は10年でおよそ15%ずつ低下していく。

10代の自律神経のバランスがいいのは、基本的に副交感神経のレベルが高いからだが、それ以上に10代と20代で自律神経の力の差になっているのは「回復力」の早さの違い。

自律神経で最も大切なのは、交感神経と副交感神経のバランスだが、このバランスは主に副交感神経が上下することでとられている。めまぐるしく上下する副交感神経を、できるだけ高い状態で維持することが心身の健康を保ち、体の潜在能力を引き出すカギになる。

季節によっても自律神経のバランスは変動する(自律神経は気温の影響を受けるから)。
私たちの体には、夏は副交感神経が優位になりやすく、冬は交感神経が優位になりやすい傾向がある。この変化には血流が関係する。

秋から冬にかけて気温が下がっていくと、寒さを感じた体は体温を上げるために血流を増やそうとして交感神経を優位にして血圧を上げる。

寒いから風邪をひくのではない。問題は気温の低さではなく、気温の「変化」。
交感神経が優位になると顆粒球(白血球の一種)が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増える。
秋から冬にかけては交感神経が優位になるので、顆粒球は増えるがリンパ球は減ってしまう。この「リンパ球の減少」がウイルスや細菌への抵抗力を下げてしまう。
逆に春になって暖かくなってくると、リンパ球が増えるので感染症は減るが、うつ病などメンタルな病気が増える。

現代人の自律神経のバランスの崩れ方としては、交感神経が過剰に優位になるケースがほとんどだが、ごく一部、交感神経が低く、副交感神経が異常に高く、それが原因で体調を悪くしてしまっている人たちがいる。それは「うつ病」を患っている患者さんたち。
自律神経のバランスが、交感神経に大きく傾くかたちで体調を崩すと感染症になりやすくなり、副交感神経に大きく傾くかたちで体調を崩すとうつ病などメンタルな病気になりやすくなる。

気温だけでなく気圧も自律神経に影響。気圧の急激な変化が自律神経のバランスを崩す。

梅雨時の晴れ間に虫垂炎の患者さんが増えるのはなぜか→梅雨時は全体的に気圧の低い日が続くので、副交感神経が優位な状態が続くが、その晴れ間は逆に交感神経が上がって、副交感神経が急激に低下する。この急激な変化がリンパ球の急激な減少を招き、感染症にかかりやすい状態をつくり、虫垂炎を発症しやすくなる。

ウォーキングのほうがジョギングよりはるかに健康効果は高い。ジョギングは運動量が大きいため、どうしても呼吸が速く、浅くなり、副交感神経のレベルを下げてしまう。とくに中高年は、そもそも副交感神経が低下しているので、それをさらに下げるような運動は健康維持効果があるどころか、かえってからだを老化へと追いやる可能性がある。健康効果を望むのであればウォーキング程度の軽い運動で充分。より具体的にいうなら、きちんと横隔膜を上下させて行う「深い呼吸」をしながら行える程度の運動がよい。呼吸が浅くなってしまうような運動はよくない。

焦るとミスが増えるのは、「せかせかした動き」が副交感神経を低下させ、自律神経のバランスを崩してしまうから。
古代インドで生まれたヨガ→古代の人たちはなぜ「深い呼吸」がいいのか理由はわからなくても、それが自分の心身に宿る潜在能力を引き出す最良の方法、つまりゆっくりした呼吸が自律神経のバランスを整える最良の方法だということを、経験を通して知っていた。

体を大切にするというのは、からだを休めるということではない。からだが本来持っている機能を充分に働かせることができる状態に整えるということ。

自律神経がどのような状態にあるときがベストなのか→交感神経と副交感神経の両方が高い状態にあるとき。多くの人は交感神経が高めの状態にあるといえる。そして副交感神経が下がったままの状態で生活している人が圧倒的に多い。つまりは、「副交感神経を高い状態に保つこと」が健康な人生を生きることにつながり、自分の能力を最大限に発揮できるように導いてくれる。

どうすれば副交感神経を高くすることができるか→1.副交感神経を下げることをやらない2.副交感神経があがることを積極的に行う。この二つに共通するキーワードが「ゆっくり」。


自律神経の働きは、一方が高くなるともう片方は低くなる「シーソー」のような関係にあるといわれることが多いが、実はこれは正しい表現ではない。実際には次の四つのパターンがある。
(1)交感神経も副交感神経も高い
(2)交感神経が高く、副交感神経が極端に低い。
(3)交感神経が低く、副交感神経が極端に高い。
(4)交感神経も副交感神経も低い。

一番良いのは(1)。反対にもっともパフォーマンスがでないのが両方とも低い(4)。(4)は非常に疲れやすく体力もないが、バランスは悪くないので健康状態はさほど悪くない。心身に病的な状態が現れている人の自律神経を測ると、まず間違いなく(2)か(3)。二つの自律神経の差は多少であれば心身にとてもいい状態といえる。たとえば、スポーツ選手やビジネスマンなど活動的でパフォーマンスの高い人の多くは、交感神経がかなり優位な状態。また、周囲のみんながインフルエンザで倒れても、一人ぴんぴんしているような免疫力が高い人は、たいてい副交感神経が若干優位な人。

交感神経と副交感神経の理想のバランスは1対1。どのくらいの範囲が「若干」かというと、どんなに差がついても1対1.5まで。

車にとってアクセルとブレーキは、どちらのほうが大切といえるものではない。車を運転しているときにアクセルを思いきり踏み込むためには、ブレーキがきちんと利くことが必要なように、交感神経がその機能をめいっぱい働かせるためには副交感神経がきちんと働いていることが必要。両方の自律神経がともにきちんと機能している状態、それが(1)の「交感神経も副交感神経も高い」状態。自律神経の状態では「高さ=機能の活性度」も大切だが、それ以上に大切なのが「バランス」。活性度は高いにこしたことはないが、「片方だけ極端に高い」のはとても危険。
(2)は「アクセルは軽く踏み込むだけでスピードが出るけれど、ブレーキが利かない車」のよう。
(3)は「アクセルを踏んでも踏んでもスピードが上がらないのに、ブレーキの利きが異様にいい車」。
どちらも事故を起こしやすい危険な車ということがわかる。

一般的に更年期症状は女性ホルモン「エストロゲン」の減少といわれているが、必ずしもそれが原因のすべてとは言い切れない。更年期症状も自律神経の乱れがあると症状が重くなる。

原因不明の頭痛や不整脈も、交感神経が極端に優位になっていたことが原因だったのだとわかった。
※交感神経が過剰に優位になると血管も過剰に収縮するので、同時に血圧も必要以上に高くなり、血圧が異常に高くなったことで頭痛が起き、心拍数が多い状態が長く続いたために不整脈を誘発していた。

「パニック障害」も、交感神経の過剰優位が継続的に生じることが、発症と深く関わっている。

他にも、うつ病やそう病などメンタルな病気のほとんどが自律神経の乱れと深く関わっている。

健康な人が病気になる原因は、大きく分けて二つしかない。一つは「免疫系のトラブル」、もう一つは「血管系のトラブル」。どちらも自律神経の働きと深く関わっている。

風邪をひきやすい人とひきにくい人。何が違うかというと「免疫力」の高さが違う。

免疫は、外部から侵入してくる異物に対して働くだけなく、体の中で生じる異物からも守ってくれている。その筆頭が「がん」。健康な人でも毎日何千個ものがん細胞が生まれているが、がんにならずにすんでいるのは免疫システムがそれらを排除してくれているから。極端なことをいうと、風邪をひきやすい免疫力の低い人は、がんにもなりやすいといえる。

免疫の中心を担っているのは「白血球」。細菌など比較的大きめな異物を処理する「顆粒球」と、ウイルスなどそれよりも小さな異物を処理する「リンパ球」がある。交感神経が優位になると「顆粒球」が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増えるという特性がある。自律神経のバランスがよいと白血球のバランスもよくなるが、自律神経のバランスが崩れると白血球のバランスも崩れてしまい、免疫力が下がる。
交感神経が優位になり顆粒球が増えると、基本的には感染症に対する抵抗力が高くなるので免疫力は上がるといえる。ところが、交感神経が過剰に優位な状態が続くと事情が変わる。顆粒球は異物を取り込み、自ら持つ分解酵素と活性酸素によって処理する。顆粒球の数と体内に侵入してくる細菌のバランスがいい時は問題ないが、あまり細菌がないのに、交感神経が過剰に優位になることで顆粒球が増えすぎてしまうと健康維持に必要な常在菌まで殺してしまい、かえって免疫力を下げることになる。使われない顆粒球が残ってしまうことも問題。顆粒球の寿命は2~3日と短いうえ、顆粒球は死ぬときに「活性酸素」をばらまいて細胞を傷つけてしまう。
副交感神経が優位になると、リンパ球が増えるので、基本的には抗原に対する反応が早くなり、ウイルスに感染しにくくなるので、やはり免疫力は上がる。ところがリンパ球の増えすぎもよくない。副交感神経が過剰に優位な状態が続きリンパ球が増えすぎると、抗原に敏感になりすぎて、ほんのわずかな抗原にも反応してしまう疾患「アレルギー」を起こしやすくなる。ただし、自律神経の変化が免疫の状態に反映されるまでにはある程度タイムラグがある。自律神経はちょっとした刺激ですぐに変化するが、それが瞬間的に免疫に影響するわけではない。

自律神経のバランスがいい範囲内であれば、交感神経が優位になると血圧が上がり、「血流が速く」なる。同様に副交感神経が優位になると血管は弛緩、つまり広がるので「血流が多く」なる。方向性は多少異なるが、どちらも血流がよくなるといえる。ところが優位性が過剰になってしまうと、どちらも血流は悪くなってしまう。交感神経が過剰に優位だと血管の収縮が進みすぎて体に充分な量の血液がめぐらなくなってしまう。副交感神経が過剰に優位だと血管が弛緩しすぎて血流が滞ってしまう。つまり血栓ができやすい体の状態をつくりだしてしまうことになる。どちらがより体に悪いのかというと、交感神経が過剰に優位になったとき。血管の内皮細胞を傷つけてしまうから。血管が収縮するということは細くなってしまうということ。細くなった血管の中を赤血球や白血球、血小板などがすごい勢いで流れていくとき血管内皮細胞を傷つけてしまう。その傷に血小板や赤血球がひっかかり、血栓化する。

筋肉が硬くなったとき、私たちはその「凝り」をとるために揉んだりマッサージしたりするが、実はあれは筋肉がほぐれるから凝りが解消するのではない。筋肉を揉むことでそこに走っている毛細血管の血流が促され、その結果として凝りが解消されている。問題は「筋肉」ではなく「血流」にある。足裏マッサージで全身の体調がよくなるのは、心臓から遠く、もっとも血流が悪くなりやすい足の裏をマッサージすることで、毛細血管に生じた血流の停滞「うっ血」が解消されるから。うっ血が解消されることにより栄養の供給と老廃物の排泄がスムーズにいくようになるので、むくみがとれ、全身の状態もよくなる。

高血圧、高脂血症、糖尿病という三つの病はいずれも症状が全身に及ぶ怖い病気だが、これらの病気が全身症状になるのは、これらがいずれも血管の内皮細胞を傷つける病気だから。これらの患者さんの自律神経を計測すると、全員において交感神経が過剰に優位になっていた。治療法の主流は投薬と生活習慣の改善だが、投薬は対症療法にすぎないうえ、血管の状態が回復しない限りその効果も高くは望めない。大切なのは生活習慣の改善、それも副交感神経を上げる生活習慣を取り入れるかたちでの「改善」が重要。実際に自律神経のバランスが改善されると病状はおもしろいように回復していく。なぜ副交感神経が上がると病状がよくなるのか。最大の理由は、血管が弛緩して広がり、血流が改善されることで、隅々の細胞まで血液が行き渡るから。諸悪の根源は血管の過剰な収縮による血流の悪化。

糖尿病の治療では食事のコントロールは必要不可欠だが、食事を改善しても、交感神経が過剰に優位な人は治療があまりうまくいかない。なぜなら血流が悪いと膵臓や腎臓など糖尿病と深く関わっている諸臓器の機能が改善しないから。まずは副交感神経を高め、血流をよくし、諸臓器が持てる力を発揮できる状態にしてあげなければ、せっかくの食事のコントロールも投薬も効果は半減してしまう。

本来は、丸くきれいな形をした赤血球が、自律神経のバランスの悪い人の血液では、変形したりくっついてしまったり、なかには完全に壊れてしまっているものもあり、充分な酸素を運ぶことができない質の悪いものになってしまっている。

最近、体温を上げることが免疫力を高め健康な体をつくるとして、健康アップに着目した健康法が人気だが、これも実は末梢血管の血流をよくすることがカギとなる。末梢血管の血流がよくなれば、体温は自然と上がるから。

体温を上げるためには筋肉を増やすことも大切だが、いくら筋肉を増やしても末梢の血流が悪ければ効果は半減してしまう。そもそも筋肉をコントロールしているのは自律神経なので、自律神経のバランスが悪い状態で筋トレを行うと、筋肉を増強するどころかかえって傷めてしまう危険がある。

運動前のウォーミングアップの本来の目的は、筋肉をほぐす目的ではなく、血流をよくして「体を暖めること」こと。自律神経のバランスのいい人は、わざわざそんなことをしなくても末梢の血流もよく、血流がよければ体の隅々まで暖まっている。

強度の便秘に苦しんでいる方の多くも自律神経のバランスの乱れが原因。自律神経のバランスのいい人は腸の状態がよく、自律神経のバランスの悪い人は腸のバランスも悪い。同じく、腸の状態のいい人は自律神経のバランスが整いやすく、腸の状態の悪い人は自律神経のバランスも整いにくい。

交感神経が過剰だと「腸が動かなくなるタイプの便秘」になり、副交感神経が過剰だと「腸が収縮するタイプの便秘」になる。

私は強度の便秘患者さんに対しても、基本的には下剤は処方しない。下剤をいくら服用しても根本的に治すことはできないから。便秘を治すということは腸管の蠕動運動がきちんとリズミカルに行われるようにするということ。腸管の動きをよくするために乳酸菌を主成分とする整腸剤を処方している。ヨーグルトを勧めることもよくあるが、ビフィズス菌など腸内の善玉菌を増やすのに役立つ乳酸菌を多くとると、便秘によって悪玉菌が増えてしまっていた腸内細菌の状態が、善玉菌の多い「いい状態」に変化していく。腸内細菌のコントロールができると運動や食事の効果が上がることはもちろん、自律神経のバランスを整える力もアップする。

なぜ腸内細菌のバランスがよくなると自律神経が整いやすくなるのか。最大の理由は腸における栄養吸収がよくなり、その結果、血液の状態がよくなるから。

便秘治療でなぜ糖尿病や高脂血症、腎臓疾患や肝臓の数値もよくなるのか。腸内環境と自律神経のバランスがよくなって、きれいな血液が体の隅々まで行き渡るのだから、私にいわせれば病気がよくなっていくのは当たり前の結果だった。

私たちの体はすべてつながっている。ある一部分だけに問題が生じるということはない。認識できるかたちで現れた病気は部分的なものでも、それはたまたまそこが弱くて最初に影響が現れたということにすぎない。血液の質を決める腸内細菌のバランスと、その血液を全身にめぐらせる血流をコントロールしている自律神経のバランス。この二つのバランスを同時に整えることが、病気を治し、健康を維持する最良の方法。

「余裕」を持った行動をしているかどうかが、実は自律神経のバランスに大きな影響を及ぼす。

自律神経のバランスは日内変動や暑さ寒さといった外的環境によって、また、運動や食事などの行動によっても変化するが、それら以上に影響を与えるものが精神状態。


時間に余裕があると、心に余裕が生まれる。心に余裕があれば副交感神経が高まるので、たとえ予期しないアクシデントが起きたとしても、正しい判断に基づく最善の対応策をとることができる。

たった30分、時間に余裕を持って行動するだけで、その日一日すべてうまくいく。いつも時間に追われているような行動をしていると、交感神経が上がった状態のまま、副交感神経が下がりっぱなしとなり、それが精神的健康のみならず、身体的健康さえも害していく。

最近、いろいろな本の中で「朝は能力が高まる」と書かれている。なぜ朝は能力が高いのか。理由を一言でいうと自律神経のバランスがいいから。とくに充分な睡眠を経て自然に目覚めた朝の自律神経のバランスは最高。さらに朝が特にいいのは、交感神経が上がっていく時間帯なのでモチベーションが高い時間帯だから。

早起きを活かせない二つの要因。一つは睡眠不足。睡眠不足は自律神経のバランスを著しく狂わせる。普段どんなに自律神経のバランスのいい人でも、徹夜してしまうと翌朝は副交感神経はほとんど上がってこない。6~7時間程度の睡眠は必要。もう一つは朝すべきことを予め決めていない場合。実際、朝活に失敗している人の多くはこちらのケース。朝の高い能力を活かせるか活かせないかは、前日の夜に「翌朝すべきこと」を決めているかいないかで決まる。朝にすべきことが決まっていれば、何も迷うことなくすべきことをすぐに始められる。この迷いのない「安心感」が交感神経の過剰な上昇を抑え、自律神経のバランスをいい状態に保つことができる。ただし、無意味な早起きは無駄。自分がすべきことに必要な時間、それにちょっとだけ余裕をみた時間だけ早起きすれば充分。

万が一寝坊してしまったときは、どうやって自律神経を整えればよいか。それは「ゆっくり歯みがきすること」。寝坊したときはちょっとしたパニックに陥り、目の前の状態が見えない状態になる。そこで歯みがきの時間だけゆっくりすることを心掛ける。歯みがき程度であれば、急いでやったとしても、ゆっくりやったとしてもたいした時間の違いはない。せいぜい2分くらい。このわずかな時間、出かけるタイミングを遅らせてでも一度ゆっくりした行動を意識する。それだけで呼吸が安定し、自律神経が安定し、冷静な物事の判断ができるようになる。









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