JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

第3回不妊鍼灸ネットワーク公開講座in東京 2016.9.19

2016-09-23 | 不妊治療

9月19日、不妊鍼灸ネットワークの第3回公開講座が今回は東京で開催されました。

【プログラム】

「不妊鍼灸とキャリアの継続について」
乙部由子先生(名古屋工業大学男女共同参画推進センター 博士


「不妊と免疫 発展編」
中村一徳先生(不妊鍼灸ネットワーク会長)


「不妊鍼灸と未来」
中村一徳先生


「不妊が与える心理的影響について」
平山史朗先生(東京HARTクリニック 生殖心理カウンセラー/臨床心理士


約6時間にわたる講演はあっという間でした。

それぞれが不妊治療を扱う者として知識としてもっておくべき大切なことをお聴きすることができました。


【なかでも今回特に印象に残った内容】

(1)子宮内膜が正常に脱落膜化しないと内膜の機能がしっかり働かず、本来着床が許可されないはずの異常胚が着床してしまうことがあるということ(これが不育症の原因にもなっているのでないかと)。
最近はルティナスという膣座薬(黄体ホルモン※プロゲステロン)がでてきた。きちんと子宮に作用して子宮の内膜の脱落化を正常化させ、正常な受精卵を着床させる働きに役立っているという報告があるとのことだった。

(2)脱落膜に浸潤している免疫細胞はNK細胞が70%、マクロファージが20%、T細胞が10%。NK細胞が70%もあったら胎児攻撃されまくりかと思いきや脱落膜中の免疫細胞は末梢血中の細胞とは性質が異なり、表出しているCDの違いによって決定される。各免疫細胞は諸種のサイトカインやホルモンから特殊な性質が誘導され、かつ特定のサイトカインを放出して、その相互作用で妊娠が継続されるということ。

(3)HLA(ヒト白血球抗原)の夫と妻の違いが大きいほど異物とみなされ抗体が働く。抗体が遮断抗体(母体の夫系抗原に対する免疫反応を抑制する抗体)だったとしたら妊娠しやすくなる(似ていると遮断抗体は作られにくい)。

(4)精漿に含まれている成分を樹状細胞が取り込み、それをペプチド化して近隣のリンパ節に提示する。すると制御性T細胞が子宮に誘導されやすくなる→父親特異的抗原性免疫寛容が成立


免疫は深い。深すぎる。。



勉強の後は場所を移して懇親会。

人見知りでお友達をつくれない小生は今回勇気を出して声をかけて何人もフェイスブックでお友達登録させていただきました。






中村先生の写真をいただいてしまいました。ごめんなさい。


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『妊娠できる卵子は…』

2016-09-23 | 不妊治療


出産ジャーナリストの河合蘭先生が興味深い記事を書かれていました。



『妊娠できる卵子』は1年に3個だけ~自然妊娠を待っていい期間は~


























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折り返し電話の番号表示について

2016-09-08 | お知らせ
診療時間内に院にお電話をいただいた際、治療中でどうしても手が離せない時があります。
そのような時は、かけられる状態になってからなるべく早めにお掛け直しさせていただいております。
また、往診などで院を不在にしている時に電話が入ると、私の携帯電話に転送されるようになっております(転送費用は潤天堂負担です)。

いずれの場合においても、私の携帯電話からお掛け直しする場合が多く、皆様に表示される電話番号が「044…で始まる院からの電話」ではなく「090-9133…で始まる携帯番号」が表示されることがあります(※フル番号は「私の名刺」もしくは「潤天堂の予約券」に記載されております)。こちらの番号をご登録いただけると院から(小宮から)の電話だとわかりやすくなります。お手数をおかけして誠に恐縮ですが、何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

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神奈川県鍼灸師会

2016-09-04 | 雑件
本日18時30分から関内で神奈川県鍼灸師会の納涼会でした。
20名くらいの参加で、楽しく盛り上がりました。
一次会ですでに足元おぼつかないくらいに酔ってしまったので残念ながら二次会の参加は見合わせ。
いやー楽しかった。残念だったのは服部先生(オヤビン)、石田伸先生、金子太也先生、吉田志郎先生が参加されてなかったこと。
また飲みましょうね!
ちなみ車内で眠ってしまい蒲田でお目覚め。川崎に戻っています。よかった蒲田で気がついて。


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遠隔穴での改善の思い出

2016-09-04 | 臨床・治療
15年くらい前の話。
雨の中125ccのスクーターで走行中、交差点の左折時にマンホールの蓋で前輪が滑り激しく転倒。左肩を強打した。その時は「すぐに起きなきゃ」という思いと恥ずかしさからすぐに立ち上がり、バイクを起こして道路わきまで移動させたが、アドレナリンがでていたせいかその時肩は少し痛む程度しか感じなかった。幸いバイクは動いたので乗車してそのまま帰宅した。
翌朝、肩の激痛で目が覚めた。おそらく寝返り。起き上がって腕を動かそうとすると、激痛で可動域が制限されている。腕を(前にも横にも後ろにも)体幹から離せないような状況のまま仕事をこなし、時間が空くと自分の右手で左肩や肘に鍼をしたり灸をする日々が続いた(状態としては重症の五十肩のような動きしかできないような感じ)。
1カ月くらい自分で治療を続け、90度くらいまでは前と横には上がるようになった。
その頃、月一回神奈川県鍼灸師会の保険部のレセプトチェックのお手伝いをしていて、当時の事務所になっていた伊藤昌芳先生の治療院に伺った際、肩痛の経緯を話したところ

「そんなの俺が治してやるよ〜」

と言われ、

正直なところ「いやいや、外傷性のマジなやつなので、炎症の鎮静も待たないといけないだろうから即効性を期待するよりはこまめに治療して消炎作業をするしかないと思う。なによりも、気を使って『効いたような気がします』と言うのも苦手な性格」なので、困って「いや大丈夫です、大丈夫です!」と言って断ろうとしたが

「大丈夫だよ、やってやるよ〜」

と言っていただき、結局治療してもらう事になった。

「僕、嘘つけないので変化がなかったら『変わりません』ってはっきり言います」と、かなり失礼なことを申し上げたうえではじめていただいた(失礼なことを言ってすみませんでした)。

最初に動きのチェックをし、治療はMP鍼?のようなものを患側の手背部や手首の後面に貼り付けて(わずか2〜3ヶ所。刺したかな…?刺さないでテープで貼り付けただけのような気がします)、

「はい、じゃあ動かしてみて」

といわれた。

「え? これで?」

(いやむりむり…ちょっと数カ所触った程度の刺激でこの1ヶ月の苦痛に変化を起こせるとは思えないよ…)と内心思いつつ、こわごわ上肢をを前方に挙げていくと…


「あららららら…」

180度まで全く問題なくスムーズにあげることができました(外転は145度くらいまで改善)。これには本当にびっくりしました。
この伊藤先生の神業については今でも臨床仲間や患者さんによく話しています。

これを機に、可動域制限を有する肩関節周囲炎に対し「局所で対応できるもの」「遠隔穴で対応できるもの」「両方必要なもの」に加えて「鍼だけで対応できるもの」「お灸も入れたほうがよいもの」いろいろ検討しながら診るようになりました。

最近、遠隔穴を使った興味深い症例があり(まだ経過観察中)、はっきりと治療効果に繋がっていくようなら許可を得て報告していきたいと思っています(痛みの度合いから考えてそんなに簡単に問題解決するか難しいところですが、考え方や診方としてみても少し参考になると思いますので)。



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『不妊治療を考えたら読む本』

2016-09-01 | 不妊治療



『不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる妊娠への近道~』

 浅田義正 / 河合蘭 著 (ブルーバックス)


不妊治療をこれから考えている方、すでに治療を受けられている方、いずれの方にもお勧めです。
これから学ぶ方にはこの本の内容はわかりやすく整理されていて理解しやすいですし、受診中の方には頭の中が整理されると思います。

目次だけ見ても勉強になります。

ということで目次だけご紹介。


第1章
不妊治療大国・日本の現実ー治療を受けても妊娠できない国だった?

・24人に1人が体外受精で生まれている
・検査をしても原因が見つからない理由
・出産できる限界は何歳?
・日本は不妊治療の出産率が低かった!
・妊娠できない不妊治療が大量に行われている

第2章
命のはじまりーここまでわかってきた卵子の世界

・不妊治療を理解するためにいちばん大切なこと
・生命はこうして始まる
・妊娠の鍵を握る女性ホルモンの波
・排卵期におりものが増える理由
・〝恋人モード〟から〝母親モード〟に切りかわる
・基礎体温を記録すると月経周期が見える
・出産に至る確率は4回に1回
・毎日30個の卵子が消えていく
・目覚めてから半年かけて排卵に至る
・排卵するたった一つの卵子はどのように選ばれるか?
・排卵する卵子がいちばん良いとは限らないー体外受精の戦略
・精子の作られ方と男性不妊
・受精のプロセス

第3章
不妊検査の最新事情

・「不妊症」の意味
・異常が見つかったほうが早く妊娠する?
・検査の種類
・超音波検査でわかるトラブル
・血液検査でわかること
・「卵子の在庫」を調べる検査
・30歳になったらAMH検査を受けるべき?
・基礎体温の計測は必須ではない
・精子の数は日によって10倍も差が出る
・男性不妊は泌尿器科の専門医がいる施設へ
・男性が原因の不妊は約半数

第4章
一般不妊治療と卵巣刺激法

・妊娠しやすい日はいつか?-タイミング法
・タイミング法の受診スケジュール
・人工授精は高齢妊娠なら2回前後を目安に
・体外受精へのステップアップ
・排卵誘発剤とはどんな薬か
・さまざまな卵巣刺激法

第5章
体外受精と顕微授精

・ノーベル賞受賞までの長い道のり
・体外受精・顕微授精がすすめられる人は?
・体外受精にもさまざまな方法がある
・ひとつの良好胚盤胞を得るには13個の卵子が必要
・あえて弱い刺激法を選ぶこともある
・薬を使う3つの目的
・自己注射の方法
・新しい「アナログ薬」の仕組み
・「アンタゴニスト法」の治療スケジュール
・卵巣刺激法の選び方
・薬を使わない自然周期は妊娠率が低い
・採卵から検卵まで
・胚の培養は体内と同じ低酸素環境で行う
・胚の評価方法
・精子は首を押さえると動かなくなる
・顕微授精の増加


第6章
胚の移植と凍結

・採卵した周期は妊娠率が低い
・半永久的に胚を凍結保存できる理由
・独身なら卵子凍結しておくべき?
・胚を2つ移植するか、1つ移植するか
・いよいよ卵子がなくなってきたときの〝最終手段〟
・40代の胚で妊娠率を上げるコツ
・子宮内膜を妊娠しやすい状態に整える
・妊娠判定
・どんな方法でも、その人に合った方法がいちばん


浅田義正
医学博士、医療法人浅田レディースクリニック理事長。1954年愛知県生まれ。名古屋大学医学部卒。同大医学部産婦人科助手などを経て米国で顕微授精の研究に携わり、1995年名古屋大学医学部付属病院分院にて精巣精子を用いたICSI(卵細胞質内精子注入法)による日本初の妊娠例を報告する。2004年に勝川で開院。2010年には浅田レディース名古屋駅前クリニックを開院。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。

河合蘭
出産ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。カメラマンとして活動後、1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院等の非常勤講師も務める。著書に『未妊ー「産む」と決められない』(NHK出版)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。
2016年『出生前診断』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。






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