上記学術集会が11月15日(日)、京都烏丸コンベンションホールにて行われ、聴講してまいりました。
玉川病院時代の大先輩、米沢の加藤雅和先生に、今年、この研究会の存在を教えていただいたちょうどその頃、NHKスペシャル『腰痛治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~』で流れたギックリ腰の患者さんに対するエコーガイド下での生理食塩水を用いた筋膜リリースや、ためしてガッテン『注射で治す 肩こり治療革命』での筋膜リリースの映像をみて「これはすごいもんだ!実際のリリースによる治療は当然すごいが、癒着筋膜が剥がれていく映像を見せながら行えることで、『可視化』という視覚的効果も与えられるすばらしい治療法だ」と感心していた時でした。今年9月に行われた似田先生主催の現代針灸科学研究会には加藤先生もスカイプで参加され、MPS治療について詳しくご説明いただいたことで更に興味を深め、MPS研究会に入会しました。
エコーの使い方など習ったことがなく初学の身ではありましたが、この学術集会には絶対行っておくべきだとの思いに駆られての参加でした。
MPS研究会は、医師・理学療法士・鍼灸師など医療に携わるさまざまな職種の先生方が集まっておられます。
この日のプログラムは
(1)木村裕明会長のご挨拶
(2)情報通信技術担当役員から最近の総括
そして11時から本格的な講習の開始。
(3)エコー勉強会
「よしむら鍼灸治療院」の吉村亮次先生
【気胸のスクリーニング】
・肋骨の深さ、位置を知る(肩甲間部)
・胸膜までの深さを知る(肩甲間部)
・気胸頻度の高い位置を知る(肺尖、肺下縁)
・胸膜の動き
など。また、ドップラー機能を用いた見方なども解説いただきました
(4)ランチョンセミナー
理学療法士の山崎瞬先生から、刺さない鍼「ソマセプト」のご紹介と使い方の実演をしていただきました。
(5)シンポジウム
「腰痛患者と膝痛患者の診断」
鍼灸師の先生が2名が前に出て、モデルの方に対しそれぞれ問診、診察して原因を探り発表する。
※「ドクターも大勢いる中での診察診断。勇気あるなぁ…」と二人の先生に感心。心の中で拍手。
圧巻だったのはそのあと。弘前大学総合診療部の小林只先生と理学療法士で鍼灸師の銭田良博先生お二方の補足、というか解説。その完璧なまでの罹患筋診断。思わず感嘆のため息がもれました。もっともっとしなければいけない勉強が山ほどあるなーと、嬉しくなりました。
その後小林先生は腰痛モデルさんに、口を開けたり閉じたりしての後屈のしやすさしにくさの変化を聞き、対象となる外側翼突筋への注射(時間がなかったので鍼ではなく注射でのリリース)で改善させるというテクニックをみせてくださいました。
これをみて、そういえば玉川病院時代にいろいろな症状に対して遠隔にあたる「頭のツボ」や「耳のツボ」、「手のツボ」や「足のツボ」、「顔のツボ」など反応点をみつけ、そこに鍼をしたり灸をしたりして直後効果や症状改善しないか観察していたことを思い出しました。当時は理論や理屈でなく「体のあちこちをくまなく探して症状が変化するポイントを探す」という、効率は悪いけど見つかるとすごく楽しい臨床もしていました(そしてそれを科内勉強会、鍼灸臨床生情報会で発表)。※臨床を全部そんな感じでやっていたわけではありません
今回の小林先生の技術を拝見して、当時やっていて理屈がわからなかったことも、これから十分説明がつくようになってくるんだろうなと感じました。ファシア、トリガーポイント、アナトミートレインなどなど、もっともっと深く勉強していかなければなりません。
そして最後は関西医療大学の黒岩共一先生のご講演。
「観察研究から推測するTP(トリガーポイント)像」
トリガーポイントに鍼が当たった時に患者さんが発する「あっ!それ!」について、さまざまな角度からの分析をお話くださいました。
あっという間の6時間。第17回学術集会は来年6月くらいとのことでした。
せっかく京都まできたのに観光なし。会場のある駅から京都駅までは2駅。電車に乗ってしまったらあとあと後悔しそうだったので歩いていくことにしました。
歩き始めはまだ青く明るかった空。駅に近づくにつれオレンジに染まる夕焼け空と黒く映る建物のコントラストの美しさに心を洗われながら今日の充実感をひしと感じたのでした。