今回の「腰がすごい痛い」も大変勉強になった。
この症例のような激烈な腰痛でいきなり鍼灸院に来院する方はあまりいないと思うが(いるとすれば前にギックリ腰などの強い痛みを劇的に治してもらったとか、つらい症状をとってもらったことがあるという方の場合はもしかしていらっしゃることがあるかもしれませんが)、施術者として知っておくに越したことはない勉強になる症例だった。
時系列で辿っていくと頭から腰へ痛みが移動していることがわかった。原因は「くも膜下出血」によってまず特徴的な頭痛が起こり、その後血液が髄腔を通り腰まで下がって炎症を起こし痛みをおこしたものだった。
※痛みが上から下へ移動するものとしてもう一つは大動脈解離がある。大動脈は胸から腰につながっていて解離をおこすと痛みが上から下へ移動することがある。
くも膜下出血の特徴は「頭痛が発症した瞬間のことをよく覚えている」ことや、身体所見としてケルニッヒ徴候が陽性になる。
※ケルニッヒ徴候
仰臥位で股関節と膝関節を90°屈曲した状態から下腿を135°まで一気に伸展させる。腰から脳までつながっている髄膜が刺激され、瞬間的に頭痛を感じれば陽性
この症例では脳内で出血した血液が、ソファでうたた寝をしている間に流れ落ち腰部で炎症を起こしたと考えられる。
ドクターG 林先生より
「くも膜下出血はマヒも出ないしシビレも出ないので問診が命。話の聞き方がとても重要」
どのように聞くか→「頭が痛くなった瞬間何をしていたか」
腰が痛いとき腰周りのことだけにとらわれてはいけない。詳細な問診をして時系列に並べ立てて症状の流れを掴みとり総合的に考えなければいけないなと改めて思った。
ドクターG 2014バックナンバー