不妊の原因は半数が男性側にあるということが近年わかってきています。
昨夜の放送は「精子」に焦点をあてたものでした。
見逃した方のために要約を。
集まったのは20~50代の男性9人。
ー精子の濃度と運動率を調べますー
自然妊娠が可能な精液の目安はWHOによると
濃度 1500万/ml
運動率 40%
ある20代の男性は濃度3億、運動率93%と素晴らしい結果。
また、ある40代の男性は濃度は3億とよかったが、運動率が38%と基準値をやや下回った。
※動いているものはすごい勢いで動いているが、動いていないものもいっぱいあった
50代半ばの男性は濃度180万、運動率4.5%であった。
原因としての指摘は「精子というもの自体が年をとるごとにデータが悪くなる」とのことだった。
30代の男性も濃度550万、運動率8%とともに大きく基準値を下回っていた。
生活習慣が精子に関わってきて、精子の状態が悪くなっている可能性がある。
結果、自然妊娠が可能とされる基準値を9人中5人が下回っていた。
都内の施設での調査では、3年で564人を対象に精子の濃度・運動率を調べたところ
97人(17%)と、「6人に1人」が基準以下であった(平均年齢35歳)。
一方、中国でも深刻な結果が出ている。
精子バンクでの検査結果で7割が基準を下回っていた。
食品添加物、大気汚染などの環境要因、ライフスタイルなどが原因とみられている。
また、最近の研究ではあらたなリスクが判明した。
『 見た目が元気な精子でも中身が老化している場合がある 』
獨協医科大学埼玉医療センターの岡田主任教授は、精子の「ある能力」について研究している。
男性も35歳以上で細胞分裂を促す精子の力が衰えている人たちが存在する。
なぜ衰えるのか→中にあるDNAが損傷していて細胞分裂が正常に進まない。
損傷したものが30%を超えると自然妊娠は難しいといわれている。
40代の男性では濃度や運動率に大きな問題はなかったが、損傷率が高く30%を超えていた。
「濃度」や「運動率」だけでなく、今後は『質』というものの検定が大事になってくる
年齢的に子供ができにくくなるのは女性だけではなく、男性にも責任の一端がある。
獨協医科大学埼玉医療センター講師の小堀氏は
DNAの損傷の原因として
(1)環境の変化(PM2.5が精子に悪影響を及ぼすという一つのデータもある)
(2)ライフスタイルの変化(肥満、睡眠不足、タバコなど)
身体にかかってくる老化のストレスが精子、DNAを傷つけるのではないか。
【不妊原因の比率】
男性のみ 24%
男女両方 24%
女性のみ 41%
不明 11%
男性関与の不妊比率は合わせれば48%にのぼる
【精液検査はどこで受けられる?】
泌尿器科→知っているひと少ない
産婦人科→自ら足を運ぶ男性は少ない
今、スマホを用いて精液を観察できる簡易キットもある
【精子の劣化は改善するのか】
現時点で科学的根拠のあるものは少ないが、ライフスタイルを変えていくことで精子の状態が改善する可能性がある
【日常生活で気をつけること】
(1)禁煙すべし
(2)禁欲は間違い
(3)ブリーフよりトランクスを
(4)妊活の時期はサウナを控えよ
(5)膝上にのせてのPC操作はダメ
(6)自転車に注意
(7)育毛剤(飲み薬)に注意
(3)~(5)は熱の影響を考慮。精巣は熱に弱い。あたためすぎないように。
(6)サドルのあたる部分→会陰部(陰のうの下)の細かい血管がダメージを受ける可能性
(7)ホルモンに影響する可能性
【精子の減少や老化がある場合の不妊治療対策】
人工授精 1~ 3万円
体外受精 25~50万円
顕微授精 30~60万円
【石田純一 東尾理子夫妻の例】
夫が50代という厳しい状況で不妊治療に挑んだ。
夫の精子に加齢による衰えが発覚。運動率悪くて、奇形率高くて、量が少なくて。
5回の体外受精と2回の顕微受精を経て2人の子どもを授かった。
現在第3子を妊娠中。
夫婦2人で不妊治療に積極的に向き合ってきた。
「なぜ子供が欲しいのか」ということをあらためて考える。
すぐに治療に行くことに抵抗がある方はカウンセラーに相談を。
NPO法人 Fine(ファイン)
【治療を前向きに進めていくための必要なポイント】
・男女のズレに気をつける
→ 問題があると、女性は「感情を共有したい」(共感)。男性は「問題を解決したい」。
お互いわかりあって話し合う。
・治療以外の会話も楽しむ
・夫婦で納得した結論を。
まずは精液の検査を!
※静脈瘤が原因の場合、男性不妊も治療できる