JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

肩こりを考える

2019-05-24 | 臨床・治療

肩こりを感じさせる要因ていったいなんなんだろうか。
つらい肩こり「感」を、治療後楽にしてあげることはできる。問題はいかに継続的に肩こりを感じさせないようにしてあげられるか。

再発の原因は、解剖学的に「ここを緩めてあげられていないから表面的に緩めてもまた引き起こされる」だけなのだろうか。

長年この業界に身を置いて、この症状を訴える人に多数出会い臨床を通して感じることは、つらいと感じとるセンサー「閾値」の低下が関与しているようにも思える。

肩に触れてみて「硬いなぁ」と思った方でも肩こり感を感じていない人もいるし、肩が柔らかいのに強い肩こり感を感じている人もいる。

単純に「肩こり=僧帽筋の緊張」と言われることが多いようだが、解剖学的にみてもそれだけではないとは思う。後頚部や肩甲骨周りの浅層・深層、大胸筋や小胸筋、前鋸筋など胸郭につく筋、鎖骨、烏口突起周り、場合によっては顔面部や頭部、股関節周囲、下肢・上肢をやらないと改善しない場合もある。

その方が日頃どういう姿勢でいることが多く、どこを酷使し緊張を強いられているのか、またそこから連動して遠隔部に症状を引き起こしているのではと考えて介入していかねばならないことも多い。

でも、筋・筋膜を実際に緩めてその場で楽になっても、日頃の誘発原因をつきとめてそこから改善するようにしなければ、また緊張を起こし戻る。

私はほとんど肩こりを感じたことがない。
運動ができていない今でも感じない。
枕があろうがなかろうが、敷きマットが固かろうが柔らろうが、極端な話板の間に寝ても、起床時に肩こりを感じることはまずない。肩こりのつらさを感じたのは、記憶の中では一度だけ(これも不思議な体験で長くなるので、後日別に記事にします)。

なんでなのかなと考えると(あくまでも私の場合)、

①大学時代に取り組んでいた空手(当時は稽古中に際しては軍隊のような行動・精神)により自律神経のバランス(スイッチング)の取り方が鍛えられたのではないかと思うこと

②よく笑うこと

③泣く、笑う、感動するなど、感受性を豊かに育ててもらえたこと

この3つが特に大きく寄与しているように思える。

「緊張と緩和」の時間を意識的に持つことが大事だと、自分の身体を通して感じられる。

よく笑うことが大事なのは、たびたび院のブログにも書いているが、笑うことが閾値を上げることに大きく寄与しているように思える。

感動することも大事。
何かしてもらうことを当たり前と思わず、嬉しく感謝の気持ちを持つことは自分の感情を豊かにさせてくれる。
そして、素晴らしいと思える方に出会えることはとても大切。50年生きてきて、さまざまなシーンで心から尊敬できる方に出会えてきたことは心の宝物になっている。

余談が長くなってしまいましたが、閾値を上げるために何が必要なのか、ここからも考えていきたいと思っている。

閾値は複合的な要素を含むと思うので、単一要因で考えられないかもしれないが、個々のデータを取れたらなぁと思う。

例えば①に関しては自衛隊の方々の肩こり率。
規律正しい生活を送っている自衛隊の方々がどのくらいの率で肩こり感を感じているのか。
※思うに、精神的緊張を強いられた環境下で、身体も鍛えている方々は、その緊張下においてもふと力を抜くコツが経験上身についてくるように思える(空手の合宿中に学んだ経験から)。

②は、面白いことに天才的な「お笑い芸人さんでデータを」と思ったが、複合する要素が大きすぎて参考にするにはむずかしいかなと思える。

③の要素を持つ方を選出するのはむずかしい…

何か良い方法はないだろうか。

玉川病院東洋医学科に在籍していた時は、「胃腸を整え、消化・吸収機能を良くして筋肉の質をよくし、凝らない筋肉をつくる」ことがコリを作らない根本治療だと考えていた。

もちろんこれは基本的な大事な事だが、肩がこる方で胃腸系は問題ないと言われる方も多い。

それ以外にも要因を考えていかなければならない。

単に姿勢の問題なのか(同一姿勢を長時間続けない注意や、負担のかかる姿位をとらない)、自分でよくストレッチをすればよい問題なのか。

同じような考えを持つ方がいたら、是非集まってお話しする時間を設けていきたいと思う。

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