連句通信120号
2007年10月21日発行
秋の一日、昭島にある昭和の森に吟行連句を楽しみました。お天気も上々空気は澄んで美味しい料理に舌鼓を打ち、楽しいひとときを過ごしました。
二句表「車屋の車座」
膝送り
車屋の車座でなす月見かな 坂本統一
襟元すぐる爽やかな風 梅田 實
ウラ
うり坊の縞の段々濃くなりて 古賀直子
学園祭のテント暮れゆく 星 明子
首相辞め組閣人事の茶番劇 藤尾 薫
くり出す銀座はずむ夜咄 玉木 祐
湯ざめして中年狸呑み直し 太田六魚
ハンサムなれば襤褸もファション 杉浦和子
ナオ
身を賭して抱きつく隙を窺ひつ 峯田政志
遮那王ひらりと欄干に飛び 統一
鳴きやんでじっと動かず油蝉 實
巫女正座する月の宵宮 直子
未だ知れぬ空を探査の「かぐや」船 明子
珍石収集病膏肓 薫
ナウ
リハビリのジャンケン負けて花盛り 祐
梵鐘供養町々の影 六魚
二句表「滴を」
酌む酒に月が滴を落とすかな 六魚
一輪挿しに挿す笹竜胆 和子
ウラ
秋場所の新参力士色めきて 政志
浪速の虎もまけじと競ふ 統一
次々と馳走平らげ満腹し 實
恵方詣の布袋にっこり 直子
鉄棒に股引干してホームレス 明子
苦心惨憺映画完成 薫
ナオ
確りと抱かれついに大女優 祐
人こそ知らね鵺の啼く頃 六魚
夏羽織配所の月は青白く 和子
単身赴任読書三昧 政志
漢方の万能と知る連珠飲 統一
気にする勿れ年の所為だよ 實
ナウ
夢のパリ夢の如くに花吹雪 直子
ゴルフコースに黄蝶白蝶 明子
2007年 9月25日 首尾
二句表「古代まぼろし」 膝送り
銀漢や古代まぼろし卑弥呼の忌 坂本統一
確り叩き残り蚊の月 玉木 祐
ウ
今年絹なよらかに着る人のゐて 古谷禎子
身の上話ほだされてつい 杉浦和子
だまされたふりでだましたふつか酔い 古賀直子
北窓塞ぐ民宿の村 星 明子
訪れて波騒ぐ海都鳥 藤尾 薫
幽霊船はありやなしやと 統一
ナオ
名画座は今パチンコ屋六区街 祐
凶のおみくじ結ぶ境内 禎子
連句日和言葉探しの明易し 和子
月に送った絵扇の風 直子
橋いくつ川の流れに棹さして 明子
とかくこの世は生きにくいもの 薫
ナウ
半被着て長屋の花見打ちそろい 祐
放屁一発若駒スタート 執筆
2007年9月1日 首尾
永山公民館学習室
二句表「表と裏」
曼珠沙華人の表と裏を見た 玉木 祐
水澄む流れに浮かぶ白雲 梅田 實
ウ
月昇る月見団子に酒添えて 藤尾 薫
同窓会は女性上座に 古賀 直子
電脳で運勢占い吉と出る おおた六魚
はまちは鰤に孫は総理に 杉浦 和子
集い来る有象無象の帰り花 峯田 政志
色即是空なむあみだぶつ 祐
ナオ
新幹線故郷の町通り抜け 實
二人で遊んだ浜辺なつかし 薫
うすものにシャネルの五番の仇っぽさ 直
キスマークにも夏の月光ゲ 六
去年から止まったままの鳩時計 和
ポチ袋には万札を折り 政
ナウ
紅白の幕をめぐらし花の宴 實
縄でくくらる豆腐温か 執筆
平成19年9月16日
於 関戸公民館第三学習室
二句表『空の色』
空の色土に移して桔梗かな 六魚
今日か明日かと聞く百舌の声 和子
ウラ
独り身もすて難き味弓張りに 政志
大胆に髪染めてむらさき 祐
次々にペアを望まれ休めない 實
愛しい人の好きな牡蠣鍋 薫
ふるさとは酒屋に三里しづり雪 直子
男子出関杳と名もなく 六魚
ナオ
団十郎襲名披露あざやかに 和子
逆玉の輿やまぬ憧れ 政志
クルーズでビキニの肌をおしげなく 祐
雲の切れ目にのぞく夏月 實
絵の中に駱駝の隊商すぎゆきて 薫
ジョギングに鳴るポシェットの鈴 直子
ナウ
徳利さげ花を尋ねて途中下車 和子
猫の子何匹逃げ水を追ふ 執筆
07年9月16日
ヴィータ会議室
二句表「鳥になりたや」 膝送り
こんな日は鳥になりたや秋高し 杉浦和子
金木犀の匂い馥郁 古賀直子
ウラ
書き割りのような三日月登り来て 玉木 祐
田舎芝居の鬘歪める おおた六魚
資金繰りあちこち奔走経営者 藤尾 薫
少し咳き込むシャイロック 峯田政志
寒鰤をさばく包丁研ぎ直し 直
漁師の息子IT企業に 薫
ナオ
青い眸の彼女をつれて帰国せり 祐
パントマイムのうんと濃い恋 魚
くちなわの遂に衣を脱ぎ捨てて 志
破れた壁に夏の月影 實
四人目も男の子です祝い酒 直
ゼンマイ時計今日もチクタク 和
ナウ
道を説く人をめぐりて花吹雪 實
吾は関せず亀の看経 薫
2007年9月16日
於関戸公民館学習室
二句表「ジーパンの穴」
秋麗ジーパンの穴堂々と 古賀直子
コスモスの原よぎる人影 梅田 實
ウラ
十五夜を五重塔に仰ぐらん 藤尾 薫
谷中を抜けて彫刻館へ 玉木 祐
子供等の歓声遠く風の間に 星 明子
残る紅葉に村起こし成り 峯田政志
かの女も交す結納年の暮 實
ハマの酒場で探す源氏名 直子
ナオ
六条の御息所に魘されて 祐
莫を大きく育てる事に 薫
焼酎を呑み比べして倒れ伏し 政志
ビルの窓より月の涼しく 明子
目出度さも中くらいなり父定年 直子
悪口いわぬ知恵もついたり 實
ナウ
つれだちて善男善女花盛り 薫
シャボン玉吹くおさんの下駄に 祐
2007年10月6日首尾 於永山公民館学習室
二句表「秋のセル」 膝送り
迸る饒舌楽し秋のセル 峯田政志
犬の散歩に付いた草の実 玉木 祐
ウラ
待ちわびる名残の月に雲さして 古賀直子
力車の幌はかたく下ろされ 星 明子
遠離る三味の爪弾き懐かしく 梅田 實
炬燵の中で触れる彼の手 藤尾 薫
海鳴りの激しき日なり鰤お越し 祐
青道心のめざす補陀落 志
ナオ
よくやるよ謹慎一途髷を切り 明
くすくす笑い寄席の帰り路 直
路地裏の行水照らす二十日月 祐
じじばば一緒に飲む生ビール 薫
その名前思い出せない人増えて 實
大臣候補変わり映えせず 明
ナウ
絨毯の色も褪せたり花御殿 實
どこやら哀し春蝉の声 薫
2007年10月6日於ベルブ永山
2007年10月21日発行
秋の一日、昭島にある昭和の森に吟行連句を楽しみました。お天気も上々空気は澄んで美味しい料理に舌鼓を打ち、楽しいひとときを過ごしました。
二句表「車屋の車座」
膝送り
車屋の車座でなす月見かな 坂本統一
襟元すぐる爽やかな風 梅田 實
ウラ
うり坊の縞の段々濃くなりて 古賀直子
学園祭のテント暮れゆく 星 明子
首相辞め組閣人事の茶番劇 藤尾 薫
くり出す銀座はずむ夜咄 玉木 祐
湯ざめして中年狸呑み直し 太田六魚
ハンサムなれば襤褸もファション 杉浦和子
ナオ
身を賭して抱きつく隙を窺ひつ 峯田政志
遮那王ひらりと欄干に飛び 統一
鳴きやんでじっと動かず油蝉 實
巫女正座する月の宵宮 直子
未だ知れぬ空を探査の「かぐや」船 明子
珍石収集病膏肓 薫
ナウ
リハビリのジャンケン負けて花盛り 祐
梵鐘供養町々の影 六魚
二句表「滴を」
酌む酒に月が滴を落とすかな 六魚
一輪挿しに挿す笹竜胆 和子
ウラ
秋場所の新参力士色めきて 政志
浪速の虎もまけじと競ふ 統一
次々と馳走平らげ満腹し 實
恵方詣の布袋にっこり 直子
鉄棒に股引干してホームレス 明子
苦心惨憺映画完成 薫
ナオ
確りと抱かれついに大女優 祐
人こそ知らね鵺の啼く頃 六魚
夏羽織配所の月は青白く 和子
単身赴任読書三昧 政志
漢方の万能と知る連珠飲 統一
気にする勿れ年の所為だよ 實
ナウ
夢のパリ夢の如くに花吹雪 直子
ゴルフコースに黄蝶白蝶 明子
2007年 9月25日 首尾
二句表「古代まぼろし」 膝送り
銀漢や古代まぼろし卑弥呼の忌 坂本統一
確り叩き残り蚊の月 玉木 祐
ウ
今年絹なよらかに着る人のゐて 古谷禎子
身の上話ほだされてつい 杉浦和子
だまされたふりでだましたふつか酔い 古賀直子
北窓塞ぐ民宿の村 星 明子
訪れて波騒ぐ海都鳥 藤尾 薫
幽霊船はありやなしやと 統一
ナオ
名画座は今パチンコ屋六区街 祐
凶のおみくじ結ぶ境内 禎子
連句日和言葉探しの明易し 和子
月に送った絵扇の風 直子
橋いくつ川の流れに棹さして 明子
とかくこの世は生きにくいもの 薫
ナウ
半被着て長屋の花見打ちそろい 祐
放屁一発若駒スタート 執筆
2007年9月1日 首尾
永山公民館学習室
二句表「表と裏」
曼珠沙華人の表と裏を見た 玉木 祐
水澄む流れに浮かぶ白雲 梅田 實
ウ
月昇る月見団子に酒添えて 藤尾 薫
同窓会は女性上座に 古賀 直子
電脳で運勢占い吉と出る おおた六魚
はまちは鰤に孫は総理に 杉浦 和子
集い来る有象無象の帰り花 峯田 政志
色即是空なむあみだぶつ 祐
ナオ
新幹線故郷の町通り抜け 實
二人で遊んだ浜辺なつかし 薫
うすものにシャネルの五番の仇っぽさ 直
キスマークにも夏の月光ゲ 六
去年から止まったままの鳩時計 和
ポチ袋には万札を折り 政
ナウ
紅白の幕をめぐらし花の宴 實
縄でくくらる豆腐温か 執筆
平成19年9月16日
於 関戸公民館第三学習室
二句表『空の色』
空の色土に移して桔梗かな 六魚
今日か明日かと聞く百舌の声 和子
ウラ
独り身もすて難き味弓張りに 政志
大胆に髪染めてむらさき 祐
次々にペアを望まれ休めない 實
愛しい人の好きな牡蠣鍋 薫
ふるさとは酒屋に三里しづり雪 直子
男子出関杳と名もなく 六魚
ナオ
団十郎襲名披露あざやかに 和子
逆玉の輿やまぬ憧れ 政志
クルーズでビキニの肌をおしげなく 祐
雲の切れ目にのぞく夏月 實
絵の中に駱駝の隊商すぎゆきて 薫
ジョギングに鳴るポシェットの鈴 直子
ナウ
徳利さげ花を尋ねて途中下車 和子
猫の子何匹逃げ水を追ふ 執筆
07年9月16日
ヴィータ会議室
二句表「鳥になりたや」 膝送り
こんな日は鳥になりたや秋高し 杉浦和子
金木犀の匂い馥郁 古賀直子
ウラ
書き割りのような三日月登り来て 玉木 祐
田舎芝居の鬘歪める おおた六魚
資金繰りあちこち奔走経営者 藤尾 薫
少し咳き込むシャイロック 峯田政志
寒鰤をさばく包丁研ぎ直し 直
漁師の息子IT企業に 薫
ナオ
青い眸の彼女をつれて帰国せり 祐
パントマイムのうんと濃い恋 魚
くちなわの遂に衣を脱ぎ捨てて 志
破れた壁に夏の月影 實
四人目も男の子です祝い酒 直
ゼンマイ時計今日もチクタク 和
ナウ
道を説く人をめぐりて花吹雪 實
吾は関せず亀の看経 薫
2007年9月16日
於関戸公民館学習室
二句表「ジーパンの穴」
秋麗ジーパンの穴堂々と 古賀直子
コスモスの原よぎる人影 梅田 實
ウラ
十五夜を五重塔に仰ぐらん 藤尾 薫
谷中を抜けて彫刻館へ 玉木 祐
子供等の歓声遠く風の間に 星 明子
残る紅葉に村起こし成り 峯田政志
かの女も交す結納年の暮 實
ハマの酒場で探す源氏名 直子
ナオ
六条の御息所に魘されて 祐
莫を大きく育てる事に 薫
焼酎を呑み比べして倒れ伏し 政志
ビルの窓より月の涼しく 明子
目出度さも中くらいなり父定年 直子
悪口いわぬ知恵もついたり 實
ナウ
つれだちて善男善女花盛り 薫
シャボン玉吹くおさんの下駄に 祐
2007年10月6日首尾 於永山公民館学習室
二句表「秋のセル」 膝送り
迸る饒舌楽し秋のセル 峯田政志
犬の散歩に付いた草の実 玉木 祐
ウラ
待ちわびる名残の月に雲さして 古賀直子
力車の幌はかたく下ろされ 星 明子
遠離る三味の爪弾き懐かしく 梅田 實
炬燵の中で触れる彼の手 藤尾 薫
海鳴りの激しき日なり鰤お越し 祐
青道心のめざす補陀落 志
ナオ
よくやるよ謹慎一途髷を切り 明
くすくす笑い寄席の帰り路 直
路地裏の行水照らす二十日月 祐
じじばば一緒に飲む生ビール 薫
その名前思い出せない人増えて 實
大臣候補変わり映えせず 明
ナウ
絨毯の色も褪せたり花御殿 實
どこやら哀し春蝉の声 薫
2007年10月6日於ベルブ永山