無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

連句通信120号

2007-10-21 17:37:27 | Weblog
連句通信120号
2007年10月21日発行


 秋の一日、昭島にある昭和の森に吟行連句を楽しみました。お天気も上々空気は澄んで美味しい料理に舌鼓を打ち、楽しいひとときを過ごしました。

二句表「車屋の車座」
               膝送り
  車屋の車座でなす月見かな      坂本統一
   襟元すぐる爽やかな風       梅田 實
ウラ
  うり坊の縞の段々濃くなりて     古賀直子
   学園祭のテント暮れゆく      星 明子
  首相辞め組閣人事の茶番劇      藤尾 薫
   くり出す銀座はずむ夜咄      玉木 祐
  湯ざめして中年狸呑み直し      太田六魚
   ハンサムなれば襤褸もファション  杉浦和子
ナオ
  身を賭して抱きつく隙を窺ひつ    峯田政志
   遮那王ひらりと欄干に飛び       統一
  鳴きやんでじっと動かず油蝉        實
   巫女正座する月の宵宮         直子       
  未だ知れぬ空を探査の「かぐや」船    明子
   珍石収集病膏肓             薫
ナウ
  リハビリのジャンケン負けて花盛り     祐
   梵鐘供養町々の影           六魚



二句表「滴を」

  酌む酒に月が滴を落とすかな     六魚
   一輪挿しに挿す笹竜胆       和子
ウラ
  秋場所の新参力士色めきて      政志
   浪速の虎もまけじと競ふ      統一
  次々と馳走平らげ満腹し        實
   恵方詣の布袋にっこり       直子
  鉄棒に股引干してホームレス     明子
   苦心惨憺映画完成          薫
ナオ
  確りと抱かれついに大女優       祐
   人こそ知らね鵺の啼く頃      六魚
  夏羽織配所の月は青白く       和子
   単身赴任読書三昧         政志
  漢方の万能と知る連珠飲       統一
   気にする勿れ年の所為だよ     實
ナウ
  夢のパリ夢の如くに花吹雪      直子
   ゴルフコースに黄蝶白蝶      明子

2007年 9月25日 首尾


二句表「古代まぼろし」 膝送り
                     
  
  銀漢や古代まぼろし卑弥呼の忌    坂本統一
   確り叩き残り蚊の月        玉木 祐

  今年絹なよらかに着る人のゐて    古谷禎子
   身の上話ほだされてつい      杉浦和子
  だまされたふりでだましたふつか酔い 古賀直子
   北窓塞ぐ民宿の村         星 明子
  訪れて波騒ぐ海都鳥         藤尾 薫
   幽霊船はありやなしやと        統一
ナオ
  名画座は今パチンコ屋六区街        祐
   凶のおみくじ結ぶ境内         禎子
  連句日和言葉探しの明易し        和子
   月に送った絵扇の風          直子
  橋いくつ川の流れに棹さして       明子
   とかくこの世は生きにくいもの      薫
ナウ   
  半被着て長屋の花見打ちそろい       祐
   放屁一発若駒スタート         執筆
  2007年9月1日 首尾 
         永山公民館学習室

二句表「表と裏」


    曼珠沙華人の表と裏を見た     玉木  祐
     水澄む流れに浮かぶ白雲     梅田  實
 ウ
    月昇る月見団子に酒添えて     藤尾  薫
     同窓会は女性上座に       古賀 直子
    電脳で運勢占い吉と出る      おおた六魚
     はまちは鰤に孫は総理に     杉浦 和子
    集い来る有象無象の帰り花     峯田 政志
     色即是空なむあみだぶつ         祐
ナオ
    新幹線故郷の町通り抜け          實
     二人で遊んだ浜辺なつかし        薫
    うすものにシャネルの五番の仇っぽさ    直
     キスマークにも夏の月光ゲ        六
    去年から止まったままの鳩時計       和
     ポチ袋には万札を折り          政
ナウ
    紅白の幕をめぐらし花の宴         實
     縄でくくらる豆腐温か         執筆
   
平成19年9月16日 
          於 関戸公民館第三学習室


二句表『空の色』   

  空の色土に移して桔梗かな      六魚
   今日か明日かと聞く百舌の声    和子
ウラ
  独り身もすて難き味弓張りに     政志
   大胆に髪染めてむらさき       祐
  次々にペアを望まれ休めない      實
   愛しい人の好きな牡蠣鍋       薫
  ふるさとは酒屋に三里しづり雪    直子
   男子出関杳と名もなく       六魚
ナオ
  団十郎襲名披露あざやかに      和子
   逆玉の輿やまぬ憧れ        政志
  クルーズでビキニの肌をおしげなく   祐
   雲の切れ目にのぞく夏月       實
  絵の中に駱駝の隊商すぎゆきて     薫
   ジョギングに鳴るポシェットの鈴  直子
ナウ
  徳利さげ花を尋ねて途中下車     和子
   猫の子何匹逃げ水を追ふ      執筆

        07年9月16日
ヴィータ会議室


二句表「鳥になりたや」  膝送り

    こんな日は鳥になりたや秋高し    杉浦和子
     金木犀の匂い馥郁         古賀直子
ウラ
    書き割りのような三日月登り来て   玉木 祐
     田舎芝居の鬘歪める       おおた六魚
    資金繰りあちこち奔走経営者     藤尾 薫
     少し咳き込むシャイロック     峯田政志
    寒鰤をさばく包丁研ぎ直し         直
     漁師の息子IT企業に           薫
ナオ
    青い眸の彼女をつれて帰国せり       祐
     パントマイムのうんと濃い恋       魚
    くちなわの遂に衣を脱ぎ捨てて       志
     破れた壁に夏の月影           實
    四人目も男の子です祝い酒         直
     ゼンマイ時計今日もチクタク       和
ナウ
    道を説く人をめぐりて花吹雪        實
     吾は関せず亀の看経           薫

     2007年9月16日
                 於関戸公民館学習室

   
二句表「ジーパンの穴」

  秋麗ジーパンの穴堂々と       古賀直子
   コスモスの原よぎる人影      梅田 實
ウラ
  十五夜を五重塔に仰ぐらん      藤尾 薫
   谷中を抜けて彫刻館へ       玉木 祐
  子供等の歓声遠く風の間に      星 明子
   残る紅葉に村起こし成り      峯田政志
  かの女も交す結納年の暮          實
   ハマの酒場で探す源氏名        直子
ナオ
  六条の御息所に魘されて          祐
   莫を大きく育てる事に          薫
  焼酎を呑み比べして倒れ伏し       政志
   ビルの窓より月の涼しく        明子
  目出度さも中くらいなり父定年      直子
   悪口いわぬ知恵もついたり        實
ナウ
  つれだちて善男善女花盛り         薫
   シャボン玉吹くおさんの下駄に      祐

    2007年10月6日首尾 於永山公民館学習室

   


二句表「秋のセル」  膝送り

   迸る饒舌楽し秋のセル       峯田政志
    犬の散歩に付いた草の実     玉木 祐
ウラ
   待ちわびる名残の月に雲さして   古賀直子
    力車の幌はかたく下ろされ    星 明子
   遠離る三味の爪弾き懐かしく    梅田 實
    炬燵の中で触れる彼の手     藤尾 薫
   海鳴りの激しき日なり鰤お越し      祐
    青道心のめざす補陀落         志
ナオ
   よくやるよ謹慎一途髷を切り       明
    くすくす笑い寄席の帰り路       直
   路地裏の行水照らす二十日月       祐
    じじばば一緒に飲む生ビール      薫
   その名前思い出せない人増えて      實
    大臣候補変わり映えせず        明
ナウ 
   絨毯の色も褪せたり花御殿        實
    どこやら哀し春蝉の声         薫

    2007年10月6日於ベルブ永山