無名会9月 2011年10月6日発行
涼しくなりました。時に肌寒く・・・。
時は過ぎ行くですね。
最初は歌仙です。3日の会では時間が足りず裏まで。名残の表からは文韻で。
歌仙「青虫」
菜の中の青虫出でて厨事 三秋 薫 自
涼も新たに窓を吹く風 初秋 直子 場
雲切れて覗く半月淡くして 三秋 實 場
誰が弾くやら下手なマズルカ 薫 他
お稽古をさぼる言い訳けなんとしよう 直 自
暖炉の前に蹲る犬 三冬 實 場
ウ
嬉々としてして雪合戦の童たち 晩冬 薫 他
あの背あたりに狙い定める 直 自他
丸顔と瓜実顔の見初めあい 實 自他
ラストダンスはわたくしにして 薫 自
駆け込んだ駅を去りゆく終電車 直 自
そうだそうだと同僚と愚痴 實 自他
あれこれと政治談議に泥鰌鍋 薫 他
菖蒲満開柳川の月 直 場
戦友は山峡の湯に集いたる 實 自他
馬上の剣にあげる祝杯 薫 自他
粗削り円空佛と花を浴び 晩春 直 自
腰をおろして憩う耕人 三春 實 他
ナオ
汽笛鳴らし沖行く船に春の雨 三春 薫 場
金門橋を渡りきったよ 直 自
留学はフルブライトで箔付けて 實 他/自
老人クラブ多士済々で 薫 他
売り声の威勢を競う年の市 仲冬 直 場
おとなしやかに葉牡丹の鉢 晩冬 實 場
お見合いは大正ロマンの矢絣で 薫 自
触れてごらんよ着痩せする性質 直 自他
さてここが思案しどころ首傾げ 實 自
新発売の湿布よく効く 直 場
開かれた机の日記月照らす 三秋 薫 場
到来の古酒したたかに飲み 晩秋 實 自
ナウ
竹林の賢者に憧れ秋の末 晩秋 薫 自
虎のパンツがもう乾く頃 直 場
朝刊をメガネはずして読んでいて 實 他
太極拳の動作ゆるやか 薫 他
同窓会おいでを待つと花便り 晩春 實 自他
夢ふるごとく降れる淡雪 三春 直 場
平成23年9月 3日起首(桜ヶ丘ヴィータにて)
9月22日満尾(20句目より文韻)
二十韻「ゴッホの夜」
馬鈴薯を食べる灯やゴッホの夜 六魚
簾収めし縁照らす月 直子
蓑虫の来てもの申す厠にて 祐
宇宙の息を聴いてゐる刻 六魚
ウ
福耳の形いいねと褒められる 直子
あの頃彼は高校生で 祐
音楽の教師は白き指細く 六魚
クレッシェンドに募る片恋 直子
島よりの霜月鰈送られ来 祐
侘助活けた窓の翳りて 六魚
ナオ
坊さんの読経メリハリよく響き 直子
紀ノ川下る舟で一献 祐
色事も仕事も鬼となる夢を 六魚
カンカン帽で気障に迫られ 直子
天心の月の浜にて西瓜割り 祐
怪獣の尻尾波を切りゆく 六魚
ナウ
ばば様を載せて運んだ救急車 直子
春山スキー峠越えする 祐
ワシントン花浴びて立つ儀仗兵 實
仔猫三匹かたまって寝る 六魚
2011年9月18日 関戸公民館
十和田湖近くの草原
群がり咲く野菊
(9月19日)
十和田湖近くの山林にひっそり
ギンリョウソウ(9月19日)