無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

9月無名会

2009-09-27 20:59:38 | Weblog
無名会9月2009年10月16日発行



歌仙「白磁のグラス」
         

  なみなみと白磁のグラス夜長かな     山田藤子
   13階にのぼる涼月          玉木 祐
  秋の波盥の船を浮かべいて       おおた六魚
   おとぎ話はおしまいにする       古賀直子
  痺れ足どうにか伸ばし立ち上がり     宮澤佳子
   ざっくり編んだながい襟巻         藤子

  散りかかる雪に響ける寛永寺         六魚
   相合傘のお相手はだれ           直子
  恋ほどの重たい荷物知らで過ぐ         祐
   メールの文字はハートだらけで       佳子
  逢ってきて取りに行かない忘れ物       藤子
   妖怪の夢色々の森             六魚
  月の面にどんとぶつかる川開         直子
   氷しらたま母の自慢で            祐
  潰瘍の見舞にもらうマンが本         佳子
   不破の関旅人もなき花の雨         六魚
  巣立ちの鳥をはやす子供等          直子
ナオ
  いただいた剃刀貝を刺身にす          祐
   スタイリストは指の魔術師         佳子
  平日の市民広場に一輪車           藤子
   教会の坂掃いている爺           六魚
  先生の趣味は読書と落葉焚          直子
   柊咲いて香る裏庭              祐
  深水の美人画模造買いこんで         佳子
   ネイルアートの今様小町          藤子
  首相夫人華やぐ色の過去もあり        六魚
   巴里紐育そして倫敦            直子
  ビル渡る名月やたら早送り          佳子
   爽やかに打つイチローの球          祐
ナウ
  秋晴れの小径に赤い靴はいて         藤子
   象の水飲む音の聞こえる          六魚
  アナログの体重計は故障中          直子
   和服着ることなくて歳とる          祐
  花と餅今も昔も墨堤に            藤子
   素潜り海女の籠にいっぱい         佳子

     平成21年9月5日  於 関戸公民館



   二十韻 「ライスカレー」
         

 秋晴れやシルバーウイークライスカレー        梅田 實 
  刈萱の原のぼり来る月               玉木 祐
 瓜坊が二匹三匹顔出して               宮沢佳子
  テレビ画面にうつる友達              古賀直子

 しとやかなお国訛りに驚いた                實 
  癖になったか騙される恋              峯田政志  
 置去りのケータイそっと盗み見て           藤尾 薫
  酒壺提げて露地をふらふら             星 明子
 張り込みの刑事着ぶくれ大欠伸               直
  ねぐらで熊はひとり熟睡                 實
ナオ
 おしゃべりのおばさん隣バスツアー             祐
  うふふニコニコケーキバイキング             薫
 太めでも愛することは変わらない              佳
  水着姿で俄然大持て                   志
 月高く玫魂咲ける砂の丘                  明
  達筆で書く竹光の銘                   志
ナウ
 声明は庫裏まで響く朗々と                 薫
  春の野辺にて遊戯する児等                實
 花守は散りゆく花を惜しみつつ               佳
  おぼろの空を渡りゆく鳥                 祐

  平成21年9月20日 首尾於 聖跡桜が丘関戸公民館


連句通信134号

2009-09-17 15:14:22 | Weblog
連句通信134号2009年9月17日発行
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好きな花は幼い時の思い出と繋がっている事もあるような気がします。
皆様はいかがですか?
今回の巻頭は祐さんにお願いして現代俳句について記して頂きました。
(素人の筆者はなるほどーと、大変勉強になりました。)
次にいつも二句表がメインの無名会ですがここのところ歌仙を巻いています。
折しも高橋豊美先輩が座に加わられた巻もありまして、
叉違ったテイストある内容にもなっております。
皆さん、歌仙の魅力にはまりつつあります。どうぞご覧下さい。

現代俳句(三橋 敏雄の俳句から)  玉木  祐
 現在、俳句には流れとして 日本伝統俳句協会と、俳人協会、現代俳句協会の三つの柱がある。
 現代俳句協会の会員が詠む俳句が必ずしも、現代俳句とは限らない、なぜなら俳人協会の方の句にも、両方に共通している句を見るからだ。
 ところで現代俳句とは、「第二次大戦後から、今日までの俳句を指す。昭和二十一年発表された桑原武夫の俳句第二芸術論の衝撃から現代俳句は出発した。花鳥諷詠の系脈、人間探求派の思想性への意欲、新興俳句の詩的追求が三本の軸となって現在に至っている。」と俳文学大辞典にある。その内の現代俳句協会に私は所属しているに過ぎず、会員である事から協会の発行している雑誌が送られてくる。(毎月一回一日に出され平成21年9月現在通巻496号)。
 そもそも俳句の始めは連句の発句からであり、子規の俳句革新により俳句に独立させたのが現在の俳句一般と覚えている。
 わが師三橋敏雄は、「俳句とは、連句の季の句、雑の句にいたるまで、五七五を詠う詩であり季が無くとも、俳句である」。と常に話された。ただし季を入れることは、季の持つ普遍性により、初心者には、俳句になりやすい。無季俳句も季語に変るテーマが有れば、成り立つ事も教えられた。これからの新しい分野を開拓するのは、無季句でテーマを確りと絞り、その辺りを模索してみるのも一つの方法かも知れぬ。ともいわれた。その三橋俳句をここに掲げてみる。

* かもめ来よ天金の書をひらくたび (昭和十年)
* 少年ありピカソの青の中に病む (昭和十年)          
* いっせいに柱の燃ゆる都かな (昭和二十年)
* すれちがふ戦艦我等稼ぐなり (昭和三十年)
* 昭和衰へ馬の音する夕かな (昭和四十年)
* 手をあげて此の世の友は来りけり (昭和五十年)
* 井戸は母うつばりは父みな名なし (昭和六十年)


 制作順に一句づつ無季俳句をあげたが、次に季語の入った句を二、三上げて置く。
* むささびや大きくなりし夜の山
* 夜枕の蕎麦殻すさぶ郡かな
* 裏富士は鴎を知らず魂まつり
* 桃採の梯子を誰も降りて来ず
* 戦争と畳の上の団扇かな
* 戦争にたかる無数の蠅しづか
* みづから遺る石斧石鏃しだらでん


 現代俳句について書く様にと依頼されたが、初めにも書いたように俳句については、それぞれの結社でそれほど顕著の差は見られないように思える。三橋敏雄の句から現代俳句の一端を汲み取ってお読みいただければと思う。


アブチロン


歌仙「百日紅」
         
   どんよりと雲蒸す日なり百日紅        山田藤子
    子燕守る親の沈黙             宮澤佳子
   川音に音階のあり遊びいて          玉木 祐
    積木くずしを又はじめから         古賀直子
   食パンに穴あきのあり芋名月            祐
    赤い羽根つけジーンズの胸           直子

   一生(いっせい)をちょっと使って秋深し      佳子
    つなぐ手をひきふさぐ唇            藤子
   お茶大出妻は神様仏様              直子
    賽銭なげるうしろ列なし             祐
   ブラバンの世界大会北京にて           佳子
    酒まんじゅうで目もと赤らむ          藤子
   呼び込みの声を嗄らして年の市          直子
    氷柱の数に繊月の数              佳子
   オートバイ講習の檄陸橋に            祐
    ガム噛みながら空振り三振           直子
    来る人も去る人もいる花吹雪           藤子
    紙風船が寝顔くすぐる             佳子
ナオ
    陽炎に猫の飛び出す港町              祐
    面舵いっぱいとってヨーソロ          直子
   乾杯は八海山ときめており             祐
    寸の段差に足をとられて            藤子
   新水着鏡の前でポーズして            佳子
    選挙宣伝夏空の下                 祐
   襷がけ夫唱婦随が身上で             直子
    死しても扶養されて愛され            祐
   夢に見た宇宙旅行が現実に            佳子
    鉄腕アトム高値落札              直子
   無月なり座敷わらしの長い舌           藤子
    民族学を夜長繙く                祐
ナウ
   千振りを入れて鉄瓶煮え滾り           佳子
    無病息災みんなしあわせ            直子
   雨傘をステッキにして寄席通い          藤子
    鰹節いまだこだわりの店             祐
   去りかねて花の舞をば惜しみつつ         佳子
    ひと休みする青き踏む靴            直子


     平成21年8月1日起首8月5日満尾  
             於関戸公民館第2学習室(一部文韻)
               

ジギタリス            


     歌仙 「空理空論」        高橋豊美捌 

  空理空論机上に冷ゆるマスカット   高橋豊美
   雲離れたる有明の月        梅田 實
  冬支度畳の色を気にかけて      宮澤佳子
   遅刻しそうで今日も駆け足     玉木 祐
  ケイタイの絵文字ニッコリ笑い顔   古賀直子
   閑古鳥鳴き聞き惚れる人      峯田政志

  集まれば噂の尽きぬ泥鰌鍋         實
   赤門前で配るアジビラ          豊
  十時まで根津権現で待ってます       祐
   そっと近づきぎゅっと抱きつく      佳
  フルフェース連続バイクひったくり     志
   地に足つかぬ暮らしぶりなり       直
  若旦那太鼓持ち連れ冬田面         豊
   焚火に当たる黒い人影          實
  サッカー場静粛の刻覗く月         佳
   息子はいつも平均点で          祐
  そこそこの幸せでよし花見酒        直
   伊予柑ゼリーおすすめの味        志
ナオ
  対岸の山にかかれる遠霞          實
   坂道の町古時計巻く           豊
  アトリエのピエロの顔に描く涙       祐
   採用試験チャンスもなくて        佳
  愛犬に添い寝をされて三尺寝        志
   今年の麦の出来は最高          直
  豊かなる肉置きの女にこやかに       豊
   身心ともに満たされし夜         實
  祝福のシャンペンの泡消えてゆき      佳
   踏んでしまった地雷のしっぽ       直
  僧となり緬甸(ビルマ)の月を見送りて   祐
   励ますがごと吹ける爽籟         志
ナウ
  演説に立ち止まる人鉦叩き         實
   頑固は遺伝けちは病気で         豊
  取りあえず何に使おう当たり籤       祐
   お化粧ののりいいの、ほんとに!     佳
  とことわの戦なき世は花の夢        志
   太公望の竿に春風            直


  連衆 高橋豊美 梅田 實 宮澤佳子 玉木 祐 古賀直子 峯田政志
  平成二十一年八月十六日首尾 於 無名会 聖蹟桜ヶ丘 関戸公民館

涼しくなって叉咲き出しました~。
eatable flower ナスターチューム(編集:kon)