無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

連句通信125号

2008-08-24 22:59:27 | Weblog
連句通信125号2008年9月6日発行


二句表「海酸漿」

  留守番や海酸漿を鳴らす夜      薫
    染帷子でよれる長いす      六魚

  ノロ鹿の白頭山を駆けぬけて     明子
   瓢箪のそこ撫でる両の手       祐
  太鼓打つ野外演奏月踊る       統一
   稲刈り終えた山の湯治場       薫
  佐平次は居残りなれど酒は飲み    魚
   潰し島田の受ける流し目       明
ナオ
  名優のホストクラブに入り浸り    祐
   凍て月溶けて流れる乳房      一
  結氷の青き造形美しき        薫
   あれこれ想う夢のまた夢      魚
  割引のショートケーキを食べに食べ  明
   百鬼夜行に遭って株買う      一
ナウ
  狛犬の阿吽の口に花一片       祐
   昼蛙啼く棚田数枚          魚

二〇〇八年六月一五日 関戸ワークショップ


『雨の音』

  七変化あたりの翳や雨の音      六魚
   暗証番号替えて夕涼         祐
ウ 
  のんびりと電脳ケーム遊ぶらん     薫
   窓辺に群れてあきつゆらゆら    政志
  月見つつ幼き頃を語り合い      明子
   千曲の紅葉デジカメに撮る      實
  嫣然とうなじを染めて酌む地酒    直子
   鏡の部屋に湯舟透明        六魚
ナオ
  夫婦して世界一周クルーズに      祐
   倫敦塔に仰ぐ凍月          薫
  外套を着けて云いたり名台詞     政志
   ガソリン代は天井知らず      明子
  永らえば浮つ沈みつ世の習い      實
   ゆーらりゆらり渡る吊り橋     直子
ナウ
  猿の真似うまいぞ花は散り急ぎ     祐
   蛙けろけろ喜んでゐる       六魚

   二〇〇八年 七月五日  於ヴィータ


二句表「夏の宵」

  余生にも風吹き通る夏の宵      星  明子
   馬を冷して帰る唄声       おおた 六魚

  のれんからもれる匂いに足とめて   梅田  實
   松茸飯はとんとごぶさた      古賀 直子
  仰ぎ見る十三階に望くだり      玉木  祐
   人目忍んで鞍馬火祭        藤尾  薫
  牛若のようなイケメンついと行く   峯田 政志
   豪華ホテルのダブル予約し         實
ナオ   
  疑惑あり女刑事の踏み込みて        明子  
   月も凍てたる洞爺湖の坂         直子
  全国の方言飛交う白い息           實
   邯鄲男演ず宰相             政志
  この世では酒を何石呑んだやら       六魚
   御座敷芸はプロの腕前           薫
ナウ
  コロボックル乗ってみたいな花筏       祐
   笑顔揃えて長閑に帰る          執筆
 
平成二十年 七月五日  於 関戸公民館


二句表「星の色」      膝送り

  ジギタリス南南西の星の色          祐
   蟻はせかせか仕事熱心           薫
ウ 
  職辞して手彫如来に挑むらん        政志
   秋の茄子にお変わりをして        明子
  赤い羽根つけて座った月見客         實
   遠くでどんと威銃鳴る          直子
  思わずにすがりつきたる固き腕       六魚
   木村(きむ)拓哉(たく)に恋追いかける彼   祐
ナオ 
  ホスト等の百鬼夜行の歌舞伎町        薫
   チンタの酒に冴える月影          志
  紅玉の指輪みつめて暖炉燃え         明
   とうに忘れた般若心経           實
  拍子木の艶もしっとり手に馴染む       直
   道遠くして銭はほどほど          魚
ナウ
  今日一日先ずは歌おう花の宴         薫
   川の流れに蝶のひらひら         執筆

        二○○八年 七月五日  於関戸公民館


二句表「葛まんじゅう」

  おもたせの葛まんじゅうにしばし涼      薫
   海水着着てはしゃぐ子の声         祐

  教壇にチョークが一つ転がりて       明子
   霧の深さに迷う路地裏          直子
  宗匠の尺八の音に月も澄み          實
   船が頼りの島の地芝居          政志
  濡れごとの急所は此処と口伝する      六魚
   駆け落ち婚は親譲りにて          薫
ナオ
  酒飲んでぶすと拗ねてるお嬢さん       祐
   十二単衣にかくす凍月           明
  犯人はうちの三毛猫障子穴          直
   読経の声は本堂に満ち           實
  卒寿の父米寿の母を従えて          志
   表の紋は殿の拝領             魚
ナウ
  黒楽にお薄いただく花の下          祐
   雲雀名乗りて空へとあがる         執筆

    平成二十年 七月二十日   於関戸公民館


二句表『藪の中』の巻

  白百合のすっくと立てる藪の中     星 明子
   麦稈帽を飛ばす強風         古賀直子

  扁額に七言絶句揮毫して        梅田 實
   舟下りする秋の長江         峯田政志
  添乗員ケータイ連絡済ます月     おおた六魚
   湯殿の奥は紅葉色づき        藤尾 薫
  団体戦勝って庭球決勝戦        玉木 祐
   薫りに惑いいらずことのは        明子
ナオ
  ジンフィズの匂う口づけ熱々と       直子
   犬の遠吠え冴える繊月           實
  剣道の寒中稽古きりもなし         政志
   テレビゲームはいつも楽々        六魚
  相続の争いシビア魑魅魍魎          薫
   騙し絵のごと人が来る原          祐
ナウ      
  園児らのさよなら三角花吹雪        直子
   棚の蚕の餌を食む音           執筆
 
平成二十年 七月二十日   於関戸公民館

 
二句表 「地球の一点」の巻    

  病んでいる地球の一点猛暑かな   玉木  祐
   氷あずきの匙は銀色       古賀 直子
ウラ
  来客に藏の濃絵(だみえ)取り出した 峯田 政志
   車座になり邯鄲をきく      藤尾  薫
  空澄みて湖渡る月に酔う      星  明子
   今年こそゆく金毘羅祭          祐
  石段にミユール片っぽ落ちている      直
   すらりと伸びた脚にどきどき       實
ナオ 
  よろけ縞ぽっと脱ぎ捨てしなだれて     志
   器ふたつに悩む冬月           六
  クリスマスヅリー黒々五番街        六
   断続してるピストルの音         實
  認知症かなりきついと噂され        志
   通帳札束抱えて寝いる          薫
ナウ
  山門の花散るままに掃きもせず       明
   千鳥足にて歌ううららか         實

 平成二十年 七月二十日 於 関戸ワークショップにて


十二調「一筆添える」

 礼状に添える一筆蝉時雨      古賀直子
  そっと薫らす香水の色      おおた六魚

 こんなにも元気な妣が夢に出て   玉木 祐
  あねさんかぶり蕪の種蒔く    藤尾 薫
 月の庭子役並んだ村芝居        直子
  仙台萩の声の悲しき         六魚
 キオスクの笹かまぼこが好きだった    祐
  コートのポケットコニャック潜ませ   薫
 時々は落語聴いてた李太白       六魚
  五輪勝利を願う柏手          直

 狛犬の阿吽と浴びる花吹雪        祐
  遙か野原にゆれる陽炎         薫

二〇〇八年八月二日 ベルブ会議室