連句通信125号2008年9月6日発行
二句表「海酸漿」
留守番や海酸漿を鳴らす夜 薫
染帷子でよれる長いす 六魚
ウ
ノロ鹿の白頭山を駆けぬけて 明子
瓢箪のそこ撫でる両の手 祐
太鼓打つ野外演奏月踊る 統一
稲刈り終えた山の湯治場 薫
佐平次は居残りなれど酒は飲み 魚
潰し島田の受ける流し目 明
ナオ
名優のホストクラブに入り浸り 祐
凍て月溶けて流れる乳房 一
結氷の青き造形美しき 薫
あれこれ想う夢のまた夢 魚
割引のショートケーキを食べに食べ 明
百鬼夜行に遭って株買う 一
ナウ
狛犬の阿吽の口に花一片 祐
昼蛙啼く棚田数枚 魚
二〇〇八年六月一五日 関戸ワークショップ
『雨の音』
七変化あたりの翳や雨の音 六魚
暗証番号替えて夕涼 祐
ウ
のんびりと電脳ケーム遊ぶらん 薫
窓辺に群れてあきつゆらゆら 政志
月見つつ幼き頃を語り合い 明子
千曲の紅葉デジカメに撮る 實
嫣然とうなじを染めて酌む地酒 直子
鏡の部屋に湯舟透明 六魚
ナオ
夫婦して世界一周クルーズに 祐
倫敦塔に仰ぐ凍月 薫
外套を着けて云いたり名台詞 政志
ガソリン代は天井知らず 明子
永らえば浮つ沈みつ世の習い 實
ゆーらりゆらり渡る吊り橋 直子
ナウ
猿の真似うまいぞ花は散り急ぎ 祐
蛙けろけろ喜んでゐる 六魚
二〇〇八年 七月五日 於ヴィータ
二句表「夏の宵」
余生にも風吹き通る夏の宵 星 明子
馬を冷して帰る唄声 おおた 六魚
ウ
のれんからもれる匂いに足とめて 梅田 實
松茸飯はとんとごぶさた 古賀 直子
仰ぎ見る十三階に望くだり 玉木 祐
人目忍んで鞍馬火祭 藤尾 薫
牛若のようなイケメンついと行く 峯田 政志
豪華ホテルのダブル予約し 實
ナオ
疑惑あり女刑事の踏み込みて 明子
月も凍てたる洞爺湖の坂 直子
全国の方言飛交う白い息 實
邯鄲男演ず宰相 政志
この世では酒を何石呑んだやら 六魚
御座敷芸はプロの腕前 薫
ナウ
コロボックル乗ってみたいな花筏 祐
笑顔揃えて長閑に帰る 執筆
平成二十年 七月五日 於 関戸公民館
二句表「星の色」 膝送り
ジギタリス南南西の星の色 祐
蟻はせかせか仕事熱心 薫
ウ
職辞して手彫如来に挑むらん 政志
秋の茄子にお変わりをして 明子
赤い羽根つけて座った月見客 實
遠くでどんと威銃鳴る 直子
思わずにすがりつきたる固き腕 六魚
木村(きむ)拓哉(たく)に恋追いかける彼 祐
ナオ
ホスト等の百鬼夜行の歌舞伎町 薫
チンタの酒に冴える月影 志
紅玉の指輪みつめて暖炉燃え 明
とうに忘れた般若心経 實
拍子木の艶もしっとり手に馴染む 直
道遠くして銭はほどほど 魚
ナウ
今日一日先ずは歌おう花の宴 薫
川の流れに蝶のひらひら 執筆
二○○八年 七月五日 於関戸公民館
二句表「葛まんじゅう」
おもたせの葛まんじゅうにしばし涼 薫
海水着着てはしゃぐ子の声 祐
ウ
教壇にチョークが一つ転がりて 明子
霧の深さに迷う路地裏 直子
宗匠の尺八の音に月も澄み 實
船が頼りの島の地芝居 政志
濡れごとの急所は此処と口伝する 六魚
駆け落ち婚は親譲りにて 薫
ナオ
酒飲んでぶすと拗ねてるお嬢さん 祐
十二単衣にかくす凍月 明
犯人はうちの三毛猫障子穴 直
読経の声は本堂に満ち 實
卒寿の父米寿の母を従えて 志
表の紋は殿の拝領 魚
ナウ
黒楽にお薄いただく花の下 祐
雲雀名乗りて空へとあがる 執筆
平成二十年 七月二十日 於関戸公民館
二句表『藪の中』の巻
白百合のすっくと立てる藪の中 星 明子
麦稈帽を飛ばす強風 古賀直子
ウ
扁額に七言絶句揮毫して 梅田 實
舟下りする秋の長江 峯田政志
添乗員ケータイ連絡済ます月 おおた六魚
湯殿の奥は紅葉色づき 藤尾 薫
団体戦勝って庭球決勝戦 玉木 祐
薫りに惑いいらずことのは 明子
ナオ
ジンフィズの匂う口づけ熱々と 直子
犬の遠吠え冴える繊月 實
剣道の寒中稽古きりもなし 政志
テレビゲームはいつも楽々 六魚
相続の争いシビア魑魅魍魎 薫
騙し絵のごと人が来る原 祐
ナウ
園児らのさよなら三角花吹雪 直子
棚の蚕の餌を食む音 執筆
平成二十年 七月二十日 於関戸公民館
二句表 「地球の一点」の巻
病んでいる地球の一点猛暑かな 玉木 祐
氷あずきの匙は銀色 古賀 直子
ウラ
来客に藏の濃絵(だみえ)取り出した 峯田 政志
車座になり邯鄲をきく 藤尾 薫
空澄みて湖渡る月に酔う 星 明子
今年こそゆく金毘羅祭 祐
石段にミユール片っぽ落ちている 直
すらりと伸びた脚にどきどき 實
ナオ
よろけ縞ぽっと脱ぎ捨てしなだれて 志
器ふたつに悩む冬月 六
クリスマスヅリー黒々五番街 六
断続してるピストルの音 實
認知症かなりきついと噂され 志
通帳札束抱えて寝いる 薫
ナウ
山門の花散るままに掃きもせず 明
千鳥足にて歌ううららか 實
平成二十年 七月二十日 於 関戸ワークショップにて
十二調「一筆添える」
礼状に添える一筆蝉時雨 古賀直子
そっと薫らす香水の色 おおた六魚
こんなにも元気な妣が夢に出て 玉木 祐
あねさんかぶり蕪の種蒔く 藤尾 薫
月の庭子役並んだ村芝居 直子
仙台萩の声の悲しき 六魚
キオスクの笹かまぼこが好きだった 祐
コートのポケットコニャック潜ませ 薫
時々は落語聴いてた李太白 六魚
五輪勝利を願う柏手 直
狛犬の阿吽と浴びる花吹雪 祐
遙か野原にゆれる陽炎 薫
二〇〇八年八月二日 ベルブ会議室
二句表「海酸漿」
留守番や海酸漿を鳴らす夜 薫
染帷子でよれる長いす 六魚
ウ
ノロ鹿の白頭山を駆けぬけて 明子
瓢箪のそこ撫でる両の手 祐
太鼓打つ野外演奏月踊る 統一
稲刈り終えた山の湯治場 薫
佐平次は居残りなれど酒は飲み 魚
潰し島田の受ける流し目 明
ナオ
名優のホストクラブに入り浸り 祐
凍て月溶けて流れる乳房 一
結氷の青き造形美しき 薫
あれこれ想う夢のまた夢 魚
割引のショートケーキを食べに食べ 明
百鬼夜行に遭って株買う 一
ナウ
狛犬の阿吽の口に花一片 祐
昼蛙啼く棚田数枚 魚
二〇〇八年六月一五日 関戸ワークショップ
『雨の音』
七変化あたりの翳や雨の音 六魚
暗証番号替えて夕涼 祐
ウ
のんびりと電脳ケーム遊ぶらん 薫
窓辺に群れてあきつゆらゆら 政志
月見つつ幼き頃を語り合い 明子
千曲の紅葉デジカメに撮る 實
嫣然とうなじを染めて酌む地酒 直子
鏡の部屋に湯舟透明 六魚
ナオ
夫婦して世界一周クルーズに 祐
倫敦塔に仰ぐ凍月 薫
外套を着けて云いたり名台詞 政志
ガソリン代は天井知らず 明子
永らえば浮つ沈みつ世の習い 實
ゆーらりゆらり渡る吊り橋 直子
ナウ
猿の真似うまいぞ花は散り急ぎ 祐
蛙けろけろ喜んでゐる 六魚
二〇〇八年 七月五日 於ヴィータ
二句表「夏の宵」
余生にも風吹き通る夏の宵 星 明子
馬を冷して帰る唄声 おおた 六魚
ウ
のれんからもれる匂いに足とめて 梅田 實
松茸飯はとんとごぶさた 古賀 直子
仰ぎ見る十三階に望くだり 玉木 祐
人目忍んで鞍馬火祭 藤尾 薫
牛若のようなイケメンついと行く 峯田 政志
豪華ホテルのダブル予約し 實
ナオ
疑惑あり女刑事の踏み込みて 明子
月も凍てたる洞爺湖の坂 直子
全国の方言飛交う白い息 實
邯鄲男演ず宰相 政志
この世では酒を何石呑んだやら 六魚
御座敷芸はプロの腕前 薫
ナウ
コロボックル乗ってみたいな花筏 祐
笑顔揃えて長閑に帰る 執筆
平成二十年 七月五日 於 関戸公民館
二句表「星の色」 膝送り
ジギタリス南南西の星の色 祐
蟻はせかせか仕事熱心 薫
ウ
職辞して手彫如来に挑むらん 政志
秋の茄子にお変わりをして 明子
赤い羽根つけて座った月見客 實
遠くでどんと威銃鳴る 直子
思わずにすがりつきたる固き腕 六魚
木村(きむ)拓哉(たく)に恋追いかける彼 祐
ナオ
ホスト等の百鬼夜行の歌舞伎町 薫
チンタの酒に冴える月影 志
紅玉の指輪みつめて暖炉燃え 明
とうに忘れた般若心経 實
拍子木の艶もしっとり手に馴染む 直
道遠くして銭はほどほど 魚
ナウ
今日一日先ずは歌おう花の宴 薫
川の流れに蝶のひらひら 執筆
二○○八年 七月五日 於関戸公民館
二句表「葛まんじゅう」
おもたせの葛まんじゅうにしばし涼 薫
海水着着てはしゃぐ子の声 祐
ウ
教壇にチョークが一つ転がりて 明子
霧の深さに迷う路地裏 直子
宗匠の尺八の音に月も澄み 實
船が頼りの島の地芝居 政志
濡れごとの急所は此処と口伝する 六魚
駆け落ち婚は親譲りにて 薫
ナオ
酒飲んでぶすと拗ねてるお嬢さん 祐
十二単衣にかくす凍月 明
犯人はうちの三毛猫障子穴 直
読経の声は本堂に満ち 實
卒寿の父米寿の母を従えて 志
表の紋は殿の拝領 魚
ナウ
黒楽にお薄いただく花の下 祐
雲雀名乗りて空へとあがる 執筆
平成二十年 七月二十日 於関戸公民館
二句表『藪の中』の巻
白百合のすっくと立てる藪の中 星 明子
麦稈帽を飛ばす強風 古賀直子
ウ
扁額に七言絶句揮毫して 梅田 實
舟下りする秋の長江 峯田政志
添乗員ケータイ連絡済ます月 おおた六魚
湯殿の奥は紅葉色づき 藤尾 薫
団体戦勝って庭球決勝戦 玉木 祐
薫りに惑いいらずことのは 明子
ナオ
ジンフィズの匂う口づけ熱々と 直子
犬の遠吠え冴える繊月 實
剣道の寒中稽古きりもなし 政志
テレビゲームはいつも楽々 六魚
相続の争いシビア魑魅魍魎 薫
騙し絵のごと人が来る原 祐
ナウ
園児らのさよなら三角花吹雪 直子
棚の蚕の餌を食む音 執筆
平成二十年 七月二十日 於関戸公民館
二句表 「地球の一点」の巻
病んでいる地球の一点猛暑かな 玉木 祐
氷あずきの匙は銀色 古賀 直子
ウラ
来客に藏の濃絵(だみえ)取り出した 峯田 政志
車座になり邯鄲をきく 藤尾 薫
空澄みて湖渡る月に酔う 星 明子
今年こそゆく金毘羅祭 祐
石段にミユール片っぽ落ちている 直
すらりと伸びた脚にどきどき 實
ナオ
よろけ縞ぽっと脱ぎ捨てしなだれて 志
器ふたつに悩む冬月 六
クリスマスヅリー黒々五番街 六
断続してるピストルの音 實
認知症かなりきついと噂され 志
通帳札束抱えて寝いる 薫
ナウ
山門の花散るままに掃きもせず 明
千鳥足にて歌ううららか 實
平成二十年 七月二十日 於 関戸ワークショップにて
十二調「一筆添える」
礼状に添える一筆蝉時雨 古賀直子
そっと薫らす香水の色 おおた六魚
こんなにも元気な妣が夢に出て 玉木 祐
あねさんかぶり蕪の種蒔く 藤尾 薫
月の庭子役並んだ村芝居 直子
仙台萩の声の悲しき 六魚
キオスクの笹かまぼこが好きだった 祐
コートのポケットコニャック潜ませ 薫
時々は落語聴いてた李太白 六魚
五輪勝利を願う柏手 直
狛犬の阿吽と浴びる花吹雪 祐
遙か野原にゆれる陽炎 薫
二〇〇八年八月二日 ベルブ会議室