無名会6月~ 7月 2012年7月22日発行
高幡不動のあじさい
二十韻「子の声の」
子の声の三階あたり梅雨晴間 古賀直子
窓いっぱいに湧く夏の雲 玉木 祐
リバイバル西部活劇映画観に 坂本統一
私の趣味は乗馬と射撃 藤尾 薫
ウ
月照らす女王陛下の船下り 直子
ロンドン橋を歌い梶の葉 祐
七夕の踊りに逢いしが初めにて 統一
宇宙のどこか火の鳥の棲む 薫
大好きなラピュタの城の冒険を 祐
飲み過ぎ注意法螺を吹く癖 直子
ナオ
郷里の母息子に送る寒卵 薫
祖父の戒名冬の月居士 統一
デジカメの猫の絵葉書好評で 祐
方位占い南東が吉 直子
勝負する桐生お召でいざ見合い 薫
筋肉隆々スマートな彼 統一
ナウ
たっぷりの雲呑麺でボランティア 祐
耕す人に交じり勢出す 直子
花びらを受けて嬉しき花万朶 薫
蛍烏賊漁いま最盛期 統一
平成二十四年六月十七日首尾
於関戸公民館ワークショップルーム
二十韻 『声のころがる』
オ 梅雨晴れの声のころがるねんころろ 玉木 祐
雄蕊軽やか咲く未央柳 藤尾 薫
絵手紙のいろうすうすと書き上げて 古賀 直子
筆圧のなき母のメモ帳 祐
ウ 退院せしベッドを照らす軒の月 坂本 統一
あなた好みの栗飯を炊く 直
蔦紅葉林の奥へ二人連れ 薫
妖怪変化の集う道祖神(さいの神) 一
発見の理解は不能ヒッグス粒子 祐
科学館には列なす児童 薫
ナオ
顔見世の切符売り場の先頭に 直
火の見櫓に月登りくる 祐
擦半を猿が戯れて打ち続け 一
飲みすぎですと部下が眼くばせ 直
ほつれ毛を何気にあげるクラブママ 薫
別れ惜しみて誘う後朝 一
ナウ
空港へ急ぐ外車の標識灯(テールランプ) 祐
巴里のモードの春コート着て 薫
釣り逃がす鯉が揺らした花筏 直
お玉杓子も群れて遊べリ 一
平成二十四年七月七日首尾
於関戸ワークショップルーム