無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

連句通信133号

2009-07-28 22:48:52 | Weblog
連句通信133号2009年7月30日発行
ゴゼンタチバナ(秋田駒ヶ岳にて)

今号は謡がご趣味の一つでもある實さんに一文をお願いしました。
梅原猛といえば柿本人麻呂や聖徳太子のことが取り上げられている著作が
ありますが、ここでは太子の家来の河勝が出てきます。謡の中の怨霊物とは?
 能の起り  梅田 實
 お能は誰によりはじまったか?観阿弥世阿弥が能を確立した作者位の事は知っていたがその始まりは?
偶然梅原猛の「うつぼ舟」を図書館の返却棚に見つけて、そこらへんのことが世阿弥の風姿花伝に書いてあることを知った。
河勝の出自 欽明天皇の御代初瀬川に洪水があり川上から一壷が流れ着いた。三ノ輪明神の杉の鳥居の傍らで殿上人がこの壷を取り上げたところその中に玉の如き赤子がいた。 このことを天皇に奏上すると、天皇のその夜の夢に赤子が現れて、赤子は私は秦の始皇帝の生まれ変わりであり縁あって日本の国にやってきたと言ったというのである。 天皇は壺の中の赤子こそ夢に見た赤子であると思い殿上に召された。 成人すると才知優れ十五才で大臣の位に上り秦の姓を賜った(風姿花伝)
河勝の芸 聖徳太子の代に乱れることがあった。 そこで太子は河勝に命じて六十六番の[物まね]とその面を作って、橘の内裏の紫宸殿にて演ぜさせたところ、天下は治まり国は鎮まった。 これは神楽であったが神の偏を省いて旁を残して日暦の申なるゆえに[申楽]と名付けた(風姿花伝)
 能は川勝一族により大和に金春、宝生、観世、金剛の四座がたち徳川初期に喜多が加わり現在至る。
 うつぼ舟 秦河勝は、欽明、敏達、用明、祟峻、推古、聖徳太子に仕え、この芸をば子孫に伝え、うつぼ舟に乗って難波の港から西の海に漂い播磨の国坂越の浦についた。そこで諸人に憑き祟りをなしたので里人はこの変化のものを神と崇め祀ったので国は豊かになった。‘(風姿花伝)
うつぼ舟に乗って漂ったのは聖徳太子の一族が権力闘争の結果滅ぼされ、後ろ盾を失って河勝は放逐されたか逃げ出したかだろうと梅原猛はいう
うつぼ舟の漂着地の兵庫県赤穂市坂越生島の大避神社は河勝を祭るが河勝の祟りで生き島の動植物をとると必ず祟られるという
今も忠臣蔵の悲劇は城の普請のためと言ってお殿様の命令で生島の大木を切って河勝の怨霊に祟られたのだと土地の人は言っている由(梅原氏の現地で聞いた話)
 能の大成者世阿弥は複式夢幻能を多く作った。 複式夢幻能はこれを図式的にいえば、前段に怨念を残して成仏できないシテがこの世の人の姿で現われてワキの旅僧と言葉を交わし消える。後段にシテは成仏できないで苦しんでいる幽霊となって現れ、 ワキに恨み辛みを訴えるが最後は仏の力にすがって成仏するというものである。
 うつぼ舟は河勝が乗った様に怨念を残して死んだ変化妖怪が乗って現れる舟である。うつぼ舟のでてくる能に鵺がある。鵺は動物だが能では草木国土悉皆成仏といい怨念をもち成仏できないでいる者を救うことでは人間動植物の区別はない。
世阿弥は後継者元雅を殺されまた自身も足利義満により晩年佐渡に流される。世阿弥もうつぼ舟に乗った。 世阿弥の書いた複式夢幻能のシテは成仏できたがさて世阿弥は成仏したろうか?
(平成21年7月25日 記)

ハクサンチドリ(秋田駒ヶ岳にて)

  二句表「辣韮むく」
          直子 捌き

  マンションに勝手口なし辣韮むく       古賀直子
   ショートパンツもいまふうの丈       宮澤佳子

  新宿はそろそろSALE始まりて         玉木 祐
   <どん底>賑う七夕の酒          おおた六魚
  予兆とは思いたくない赤い月         山田藤子
   竈の隅にくつわ虫聴く           藤尾 薫
  この所友の訃報が相つぎて          梅田 實
   一途な性格示す顔立ち           峯田政志
ナオ
  惚れたのは美貌じゃないよハートだよ        薫
   寒月の中くどきくどかれ             實
  聖堂の壁画おごそか年の暮             祐
   警察犬の走る電光                佳
  駄々っ子の大泣きをして乗りそこね         藤
   いつか握る手夢と金銀              魚
ナウ
  悠然とカメラ構える花の門             志
   今たけなわに曲水の宴             執筆


平成21年7月4日首尾  於 関戸公民館創作室
(ギンリョウソウ)

  二句表「帰りなん」
 膝おくり

  帰りなん蛍袋のともる里           藤尾 薫
   連子の窓に小さき風鈴           山田藤子

  相談に脳科学者を迎えいて          峯田政志
   顔爽やかにパソコンを開け         梅田 實
  ほかほかの芋ご飯盛り月の膳         宮澤佳子
   芸術祭に自画像が出て           玉木 祐
  まんまるの眼鏡ステッキパリ土産       古賀直子
   サイレントシネマ肩よせて観る      おおた六魚
ナオ
  叉の名を恋文横町代筆屋              藤
   餃子飯店酔える凍月               薫
  着ぶくれてお国訛りを声高に            實
   じょんがら節を唄う瞽女さん           政
  猫の名を天空(sky)と名づけマスコット        祐
   待ち受け画面自慢話で              佳
ナウ
  花霏々と小野小町の影に降り            六
   蜜蜂追ってくぐる山門              直

2009年7月4日 聖蹟桜ヶ丘関戸公民館







無名会6月

2009-07-14 21:42:26 | Weblog
無名会6月2009年7月15日発行
イワカガミ後ろにゴゼンタチバナ(秋田駒ヶ岳にて)


二句表「薔薇を切る」
膝送り

  薔薇を切る鋏の音や雨催          古谷禎子
   庭のアーチの蜘蛛の圍に粒        玉木 裕
ウラ
  図書館に新刊本を選びいて         古賀直子
   斜交に見る秋の峰々           宮澤佳子
  ゆっくりと顔のぞかせる赤い月       星 明子
   だらだら祭り集ふ群衆          峯田政志
  Gパンの女子学生がお茶席に          佳子
   実はお燗の尻もよく知り        おおた六魚
ナオ
  ゆるやかに老いてこのまま恋こがれ        祐
   凍て月を背に指輪手渡す           禎子
  片しぐれ一つ目小僧の長い舌          藤子
   ぎりしゃ神話の旅は大詰           直子
  莫逆の友は見えざりわびしかり         政志
   ユニフォーム良し記録達成          明子
ナウ
  鐘の音花を揺らして品川寺(ほんせんじ)    六魚
   子犬連れ出しはしゃぐ野遊び         佳子

         6月6日ベルブ永山公民館

ハンゲショウ、雨に濡れてる

二句表  「雨の夏至」
祐捌き
       
  ゆったりと今日のはじまる雨の夏至      玉木 祐
   窓より入りし早乙女の唄          宮澤佳子 

  白熱のライブ会場揺るがして         星 明子
   枡の新酒をちびちびと嘗め        おおた六魚
  早戸出の有明の月かたぶきぬ         藤尾 薫
   子規忌の寺に石は饒舌              魚
  大広間喪服いならぶ通夜の席            明
   きらり涙の横顔に惚れ              佳
ナオ
  ベッドには玩具もそっとしのばせて         魚
   猫の尻尾にふれる寒月              魚
  今流行る白い鯛焼き長い列             祐
   定額給付話題沸騰                明
  旭山動物園へ飛び立ちて              佳
   スニーカーでも痛む腰痛             佳
ナウ
  流麗に花びら受けて舞扇              薫
   太鼓の響く佐保姫の庭             執筆

     2009年6月21日 於 関戸公民館


ミヤマウスユキソウ
(ウスユキソウの中で一番エーデルワイズに似ているそうです。秋田駒ヶ岳にて)

二句表「桜桃忌」
膝送り

  恥をかき生きてこしかた桜桃忌        藤尾 薫
   人去りしあと鳴くほととぎす        玉木 祐

  遊園地めぐる木馬のきりもなし       おおた六魚
   鯖雲流る野の帰り道            星 明子
  香りよし松茸ご飯月見膳           宮澤佳子
   きちきち飛蝗追う子供たち         藤尾 薫
  油絵の朱ビュッフェの昆虫             祐
   額縁ショーの足のびやかに            六
ナオ
  入れあげて外八文字劫火燃ゆ            明
   凍月のもとしばし調弦              祐
  襟巻きをまいてバス待つロータリー         薫
   暇さえあれば連句指折り             佳
  解散の時期をにらんで名宰相            六
   お笑い界に拓く新境               明
ナウ
  チンドンも花吹雪うけ仲間入り           佳
   テニススコートひららのどらか         執筆

      2009年6月21日 於 関戸公民館



二句表「「仔猫の歯」」
膝送り

  抜け落ちてすでに仔猫の獣の歯    玉木  祐
   皆で囲む皿の独活和        星  明子
 ウ
  草野球夕刊配達見もせずに      おおた六魚
   夏シャツの背ちょっといからせ   古賀 直子
  その椅子は空きしままなり旱梅雨   山田 藤子
   躁鬱病で躁の只中         藤尾  薫
  鍵盤を優しくたたき月今宵      宮澤 佳子
   愛の羽根つけ佳人悠揚       峯田 政志
 ナオ
  そぞろ寒同じ電車に乗り合わせ        明
   ひょんなことからついに子をなし      祐
  なにもかも寝酒のせいよ俺のせい       直
   冬の月見る片あぐらして          藤
  バチカンの厨に鍋を振る爺          六
   紫煙一筋風に吹かれて           佳
 ナウ
  ゆったりと潮入り川に花の帯         政
   春雨の中櫂を操る             明


 2009年5月2日 於 関戸公民館



連句通信132号残り

2009-07-06 15:11:59 | Weblog
連句通信132号(続き)2009年7月6日発行



今号は前回の続きから始めます。
 
「二句表紹介」
現在、無名会では「二句表」なる連句作品を、しばしば巻いています。
理由は単純です。二句表が連句の原点だと考えられるからです。
もともと連句(連歌)は短連歌から起こりました。
そうして連歌(句)隆盛の時代には、俳諧(短連句)が盛んに行われたようです。
そこで無名会では短連句から発想して「二句表」を考案致しました。(坂本)
独自の形式ですが、次の巻でご参照ください。


* 表が2句だけなので制約が少なく短時間で巻終えられて便利ですよ~。
 もっとも歌仙をされておられる方々には物足りないようで....。


二句表「赤い傘」
膝送り

  紫陽花の坂はゆるやか赤い傘      山田藤子(夏)
   葉陰に眠る純情な蝦蟇       おおた六魚(夏)

  玉のある占い部屋に客もなし      古谷禎子
   今年の絹をしこしこと縫う      古賀直子(秋)
  しっかりと鰯雲より月の出る      玉木 祐(秋月)
   踊り疲れる京洛の橋           六魚(秋)
  別れきて甘いローヤルミルクティ      藤子
   劇団クイーン噂流れて        峯田政志
ナオ
  年下の抱かれ上手にだまされる       禎子
   月の寝酒に媚薬たっぷり         直子(冬月)
  みどり児が笑顔ふりまく冬日向     宮澤佳子(冬)
   ねころんで見る韓流ドラマ        藤子
  次々と核打ちあげる独裁者       星 明子
   夜中の兵隊錻力のおもちゃ         祐
ナウ
  咲く花の命を明日の糧にせん        明子(春花)
   しゃくりに脅え飛んだ春蝉        佳子(春)

    2009年6月6日 於ベルブ永山公民館
 
梅雨の晴れ間に咲く花愛し百日草は三月(みつき)持つかな?


二句表「二匹の鯉」
膝送り

 六月や二匹の鯉の濁川         玉木 祐(夏)
  枝もたわわに揺れる枇杷の実     古賀 直子(夏)

 手土産に旧姓小さく書き添えて     山田 藤子
  祝杯挙げる浅茅生の宿        星  明子(秋)
 名月に謡の声の流れ来る        峯田 政志(秋月)
  肌寒に披らくゲーテの詩集      宮澤 佳子(秋) 
 サーカスの終りて黒き小屋の影    おおた 六魚
  河口の水なめるひまびと       古谷 禎子 
ナオ
 ちょっとだけからくちだけど男伊達       直
  ホテルに彼と除夜の月みる          祐(冬月)
 次々と孫現れてお年玉             明(冬)
  覗き見をする胴長の猫            藤
 三男の写真出回る後継者            佳
  落着やばい勝負師の賭け           志
ナウ
 京の寺花の園にも柵立てて           禎(春花)
  田はひろがりて遠蛙鳴く           魚(春)

    2009年6月6日 於ベルブ永山公民館


二句表のご感想はいかがですか?
コメントお待ちしてまーす。それではね