無名会11月 2011年11月30日発行
マユミの木
二十韻「手のひらにメモ」
手のひらにメモ書き秋は終わります 玉木 祐
遠くの海に沈む弦月 おおた六魚
仏掌芋大すり鉢に擦り上げて 古賀 直子
ルームランナーひとり精出す 藤尾 薫
ウ
窓の外知らぬ顔しておしゃべりし 梅田 實
老いても彼女眼妖しく 峯田 政志
兵を追うグレタ・ガルボの恋でした 祐
つい飲みすぎてうたた寝の夢 直
枇杷の実を揺らしゆりかご昼下がり 薫
水しぶきあげ撒水車行く 實
ナオ
評判の茶店の団子ひと口に 志
見目麗しくエルメスの売り子 祐
ひげ混じり白粉たっぷりニューハーフ 薫
あなたに止まる冬の蝶です 直
月照らすおかめひょっとこ酉の市 志
三三三一手拍子の音 魚
ナウ
風を切り飛びゆく鳥を見送りて 實
震災の地に春の訪れ 實
花びらの色かがやきて花筏 薫
回転寿しの馬鹿貝が好き 執筆
平成23年11月5日 於関戸公民館創作室
マユミ
二十韻「イヴのお臍」
いちじくやイヴにお臍のある不思議 古賀直子
自転車こいで重陽の夕 藤尾 薫
藁塚を明るく望む月明に 梅田 實
しばし佇む猫の片影 おおた六魚
ウ
首すこし伸ばして背を揉まれおり 玉木 祐
エステの先生なぜかまぶしい 直子
カップルのダンスうっとり夢の中 薫
髪紫に染めているのよ 實
麦笛の時に響ける見えぬ径 六魚
木曽三川に風薫りくる 祐
ナオ
太公望逃げた魚を口惜しがり 直子
占星依頼諸葛亮さん 薫
恋人は今宵は何処旅すらん 實
ならぬ情にお神渡り越ゆ 六魚
寒月に掛かるかつよき間欠泉 祐
十年もののシャンパンをポン 直子
ナウ
おとうさん定年退職おめでとう 薫
よろこんでいるうららかな日々 實
曼陀羅の道は曲がりて花吹雪 六魚
お江戸日本橋巣籠りの鳩 祐
平成23年11月5日 於関戸公民館創作室