<イスラム国は29日深夜までにサジダの釈放を要求>
サジダ・リシャウィ 帯のように見えるのが爆弾
AP
イスラム国は死刑囚サジダ・リシャウィを、トルコ国境で引き渡すよう求めている。期限はイラクのモスル時間で、29日の日没までである。(日本時間では同日深夜)
ヨルダンでは、12月にイスラム国の捕虜となった空軍パイロットの父親が、人質交換に応じるよう、政府に懇願した。「息子が救われれば、政治の安定につながる。息子の死は国内の不安定を意味する。」と父親は語った。
日本国民は、ヨルダン政府が後藤氏の解放に尽力してくれることを期待しているが、ヨルダン政府は自分自身が国家崩壊の危機にあり、風前の灯で、余裕がない。戦々恐々としている。もともと貧しい小国であり、国家として自立するのは無理と考えられていた。おまけに多数のパレスチナ難民を受け入れた。国民の4割はパレスチナ難民である。最近では新たに80万人のシリア難民が流入している。国家として限界に近づいている。またインターネット民主主義の時代に、時代遅れの王政である。米国の援助という延命装置によってかろうじて生きているようなものである。それが、パイロットの父親の言葉にも表れている。
<ヨルダンのパイロットの救出が優先、後藤さんは二の次>
ヨルダンの世論は、自国の空軍パイロットを取り戻すことを優先するように求めている。2人の人質を開放する、というのではなく、まず空軍中尉ムアス・カサスベの解放を、ということである。
イスラム国が対空ミサイルで戦闘機を打ち落とし、そのあと落下傘が降下し、続いて逮捕されたパイロットが写される動画がある。そのパイロットがカサスべ中尉である。彼は12月、有志連合の空爆に参加したが、ラッカ上空でパラシュートで脱出した。イスラム国の首都に降下したので、捕虜になった。機体が故障したためという報道もある。
<カサスバ中尉の生存が確認されればよい結果に>
サジダさんの釈放を求めるビデオの中で、イスラム国は「ヨルダン政府が返事を引き延ばしている事が、交換の実現をさまたげている」と批判している。これは、ヨルダン政府が、カサスバ中尉がまだ生きていることの証明を求めたことを指しているようである。証明が得られれば、ヨルダン政府は人質交換に応じる方針である。国王アブドラ2世はカサスバ中尉の両親に対し「肯定的な方向に向かっているから、希望を持って持つように」と保証した。
国王の言葉を裏付けるように、ヨルダンの情報大臣は「カサスベ中尉が生きて帰るなら、要求されているイラク人女性を釈放する」と述べた。モマニ情報大臣は日本人の人質(後藤健二氏)については、何も語らなかった。大臣は「カサスベ中尉が生きていることの証明を求めたが、イスラム国からは返事がない」と語った。
ヨルダン議会の外務委員会議長によれば、イスラム国との仲介をしているのは、イラクの宗教指導者と部族長であるという。ヨルダンも日本もイスラム国との直接交渉には応じていない、という。米国はイスラム国との人質交換を拒否している。
<イスラム国の真の要求は、ヨルダンが有志連合から脱退すること>
中東情勢の専門家マジード・アスフールは、イスラム国の本当の要求は、ヨルダンが有志連合から脱退すると宣言することではないか、と考えている。
彼の指摘に関連して、私は思うのだが、安倍総理が中東訪問中に「イスラム国と戦う周辺諸国を支援する」と強い口調で演説したことは「日本はイスラム国と戦う」と宣言したに等しいのではないか。
パイロットの姉妹の胸に泣き崩れる妻
Reuters
パイロットの妻(中央)と姉妹(右後方)
AP
空軍中尉ムアズ・カサスベの人質交換を求める人々
Getty Images
(参考にしたサイト)MailOnline
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