樹間暮のきまぐれライフ

ゆったりと・・・残りの20年は過ごせそうにないけれど、きまぐれな日々の生活を少しだけでも記憶の底に残しておくきっかけに。

五竜岳~唐松岳縦走 その2 エピローグ

2009-10-07 00:45:02 | 日記
       5:35 朝日が雲の海原から顔を出す
       

2日目の朝、寒い!風が身を切るように吹き付ける。
それもそのはず、しっかりとした霜柱が立っている。さくっさくっ! 
道に残ったぬかるみにうっすらと氷が張っている。
標高2450m、山はもうそんな季節を迎えているわけだ。
しかし、キリッとした切れのあるここの空気は身体全体を目覚めさせてくれる。
なんていい朝なんだろう。

ここから約2時間半、唐松岳を目指して縦走路をゆく。
ほぼ平行道だと思っていたが、一度がくっと下だった後に2500mまで登り返す。
思った以上に岩稜で、やっぱり手足を使ってよじ登らなければならない。
冷たい風と切り立った岩を越える時の心臓バクバク・・・必要以上に口が渇く。
3箇所の結構きついクサリ場を写真を撮る余裕も無く過ぎてゆく。
振り返るとよくもまあ、越えてきたなあ~と思う尾根が五竜岳まで続いている。
そして昨日5時間かけて歩いた遠見尾根が見渡せる。やっぱり長~い。
あの遠見尾根を下りに使うコースがポピュラーなのもうなずける。
よく歩いたもんだ!

唐松岳山頂小屋到着。トイレを拝借
山の小屋のトイレは泊り客以外用では有料トイレが多いが、ここも200円
トイレットペーパー代、水洗ならその水代、汚物の輸送などの処理代などとなるのだろう。
だがしかし!ここのトイレは200円の価値が充分にあった!
まずは洋式便座、無臭、洗面台はぴっかぴか!ありがたや~。
こんなことで喜んでしまえる自分がおかしい。

この山荘、建て替えられたばかりらしく、この本館に泊まる場合は、別館利用より+800円支払わなければならないそうだが、その差はいかに。いつか800円の差額はどんなものか見てみたい!と仙人はおっしゃる。ここに宿泊してワインを飲んで・・・と頭の中に計画が出来上がりつつある仙人さんの顔がにやけて嬉しそうだった。

                
2696mの唐松岳山頂 立山連峰、剱岳、昨日見えなかった五竜岳、鹿島槍、そして杓子岳、360度のパノラマがひろがっていた
                
                 右端の一際高い頂を持つ山が剱岳

あの剱岳に足を踏み入れ、頂に立ってきたんだと改めて感慨にふけってしまった。それもスタート地点は750m。仙人さんは同じく剱岳の取り付いた岩を思い出しているようで、お互いにバリエーションルートの多い山のよさに暫し浸っていた。

さあ、ここからは一気に3時間で丸山ケルン、八方池を通過し第一ケルンの八方池山荘まで下るくだるくだるる・・・下へ行けばいくほど、人とすれ違い、人が多くなる。八方尾根は観光地!下界の匂いがしてきた。

どこからだろうか、風の温度まで変わり生暖かくなる。あの清々しい空気はどこへ行ってしまったのだろう。振り返り、歩いた山々を眺めると、思わず今来た道を山へ引き返したくなるのはどうも私だけではなかったようだ。

白馬三山が美しく映える八方池は多くの人でごったがえしていた。
八方池山荘まであと1時間というところで、1人の人が転んで倒れていた。つまずいて顔を打ってすりむいてしまった地元の方らしかったが一人での登山者らしく、別の地元の方が面倒をみていた。携帯電話で救助を要請していてた。簡単な化膿止めの塗り薬を要請していたので、持参してた薬と消毒用アルコールを提供。やっぱり持参しておくと何かの役に立つものだ。

12時に到着した山荘で、無事を祝って乾杯していると、救助ヘリが頭上を飛んでいく。えっ??あのおじさん急変したの??ヘリで搬送しなければならないくらいだったの?と心配していると、地元の救助隊の一人が横で、「携帯電話の電池が切れて・・・出動撤回の連絡が取れなくなってしまった・・・云々かんぬん」とホバリングしているヘリと話している様子。その横におじさんがちょこんとすわっていた。何よりなにより、自力でおりてこれたのだから。

最後の〆は、当然 ♪温泉♪
白馬にはたくさんの立ち寄り湯があるが、今回つれていってもらったのは「おびなたの湯」
白馬への登り口、猿倉へ行く途中にある露天だけの湯。
川のせせらぎを聞きながら浸かれる、山懐に抱かれた自然味ある温泉だった。
(婆くさいが)やっぱり 極楽極楽!!

お風呂からあがると、どんぐりこつんと音がする。
秋全開の10月が始まった。