樹間暮のきまぐれライフ

ゆったりと・・・残りの20年は過ごせそうにないけれど、きまぐれな日々の生活を少しだけでも記憶の底に残しておくきっかけに。

喜色是人生

2012-11-27 22:09:22 | 日記


11月23日国立演芸場(千代田区の最高裁判所裏)で
林家正蔵の「正蔵を語る」の落語を聴いた。


「正蔵を語る」は今回で四回目
第一回は平成20年、毎年この時期に一回開いているようだが、昨年はお休み。
(これはたぶんNHK朝の連続テレビ小説「梅ちゃん先生」
のナレーションをしていたからだろうと、勝手に推測。)
毎回2つの古典落語を披露しているようだ。

今回は文化庁芸術祭協賛公演で正蔵の落語2つのほかに
林家たけ平、漫才、柳亭市馬、三味線漫談の三遊亭小円歌もあった。
なかなか楽しい取り合わせだった。

舞台はこれら専用のため、後ろの壁はふすまのようになっていて
鴨居にかかった横軸には「喜色是人生」と言う書がかけてある。



初めて聞いた三味線漫談で教えていただいた事だが、それぞれの噺家さんには
出囃子というものが決まっていて、その聞き比べ。
太鼓と三味線でそれぞれの噺家さんの雰囲気がわかるというもの。そうだったのか!



プログラムに
「噺家」への道
と称して某放送作家が以下の一文を呈していた。

*****
「噺家」といえば、先代の八代目正蔵師匠は、名刺の肩書きを
「噺家 俗に落語家という」とされていた。
落語、つまり落とし噺だけではなく、
人情噺、怪談噺、芝居噺、音曲噺、地噺と
「合わせて六種の噺を演じてこそ噺家だ」
という自負による肩書きだったようである。
*****


林家(元々は「林屋」)正蔵家は怪談噺の宗家だったそうだ。
果たして九代目正蔵師匠はどんな噺家たらんとするのか。


国立演芸場を訪れた記念にてぬぐいを購入



さて、なんと読むでしょうか?





正蔵の噺家本気度

2012-11-27 21:27:02 | 日記
いや~ 正蔵師匠の本気度 100%でした!
「やかんなめ」(初代正蔵師匠が演じた古風な江戸の洒落っ気ある落とし噺)と
「稽古屋」(七代目正蔵師匠の十八番)



特に「稽古屋」は、義太夫や小唄の稽古にも熱心な師匠の熱演。
仕舞のお稽古をつけるお師匠さん(女形)と無骨なはっつあんとの掛け合い、
踊りのお稽古場面では手や足さばき、鞠をつくしぐさをすべて座布団の上から
はみ出さず、にもかかわらず手のしなやかな動きや腰つき、「そうそう!」と
弟子を褒めながらのなめらかなお師匠さんの語り口。
すべてにキレを感じる「芸」でありました。
こんな言葉はないけれど「立体落語」と言うような見てよし聴いてよしのもの。
喬太郎のような派手の動きはないのだけれど、大きな動きがあっても決して
着物の端が乱れない美しさ。さすが九代目を襲名した師匠の技です。

襲名当時、脱税で世間を騒がしたりラジオのジャズ番組のDJをしたり、
タレント性の強い噺家と思っていましたが、
ここ4年、じっくり代々の芸筋を継承する努力を惜しまず重ねていた
ということだろうと思います。見直してしまいました。

落語が終わり、退場する際のお囃子が演奏されそのまま退場すると思いきや
大拍手のなか、そのお囃子をちょいちょいと手で止めさせて
突然座布団を脇へずらし床に正座し頭をさげ、
「今後とも研鑽を積むのでご贔屓に・・」とおっしゃる。
涙腺弱い私はついつられて、ホロリ。
そのまま幕が下りるのを待って頭を床につけていたけれど
幕が下りる気配もなく、あれ~?と羽織をもって笑いの中をいつもの退場。
これがこの夜の最大の「落ち」だったのでしょうか。

パンパチパンだった師匠が少々やつれ、ちょっと老成化した感じも
今後の大師匠への片鱗を垣間見る雰囲気で、今後に期待がもてるというもの。

聴けば聴くほど味が出る・・・
偏見を捨ててご贔屓にしてみようかな。