京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

日曜美術館『版画家・萩原英雄』

2013-10-24 06:21:02 | 美術・博物館


今回の日曜美術館は、 『生涯富士を彫る 版画家・萩原英雄』というタイトルです。
久しぶりに私の好きな版画に出会いました。私は若いときから木版画が好きで、特に徳力富太郎、井堂雅夫などが気に入り、作品を買い求めたりしてきました。
私はいわゆる現代版画と評せられる作品は、あまり好きではありません。古典的な従来の木版画が気に入ってます。
萩原英雄の富士三+六景は、非常に素晴らしい作品で気に入りました。











「萩原 英雄(1913 ~2007)は日本の画家。油彩画、現代木版画などを描く。油彩や木版画のほか、ガラス絵、パステルやグワッシュ、コラージュなどあらゆる平面の表現媒体に取り組んでおり、墨彩画や書、陶芸も行っている。「三十六富士」「ギリシャ神話」「イソップ物語」など木版画のシリーズ作品 もある。
萩原は「幻想」シリーズや「石の花」シリーズにより抽象版画家としての地位を築き、1960年には第二回東京国際版画ビエンナーレで「石の花」シリーズが神奈川県近代美術館賞、1962年にはルガノ国際版画ビエンナーレで「白の幻想」がグランプリを受賞した。1979年から1990年まで日本版画協会理事長を務める。1986年には野口賞を受賞。1988年にはノーベル文学賞を受賞した川端康成の記念品を製作する」。(Wikipedia)

「冨嶽三+六景」で有名な葛飾北斎から150年、もうひとつの「三+六景」が生まれました。富士山を36枚の木版画で描いた「三+六富士」です。
構図で富士山を表した北斎に対し、萩原は四季折々の富士山を独自の色合いで三+六富士に表現しました 。





萩原は40代で木版画の世界に飛び込みます。
版画をはじめて6年、アメリカのタイムズ誌で注目され、高い評価を得ます。




3年後にはスイスの 国際版画ビエンナーレでグランプリを受賞します。
従来の木版画の常識をくつがえし、版画界の新星と評価も得ます。






石の花シリーズ
冒頭でも書きましたが、個人的にはここまでの現代版画作品はあまり好きではありません。






そんななか、生涯をかけるモチーフ、富士山と出会います。完成まで25年、萩原は73歳(1986)で三+六富士を完成させます。
萩原の版画は独特の色彩で、「色彩の画家」と評せられるそうです。
萩原が富士山に執念を燃やしたのは、『父生れし、母生れし、亦 吾生れし 甲斐は山国 富士のある国』とあるように、自らのルーツをたどることでもあったようです。
また父母と望郷の思いが作品をつくる原動力になったとも言えます。
結核で死に直面し、母を亡くした萩原にとって、富士は自分を見守ってくれる存在になったのではとの指摘もあります。
萩原は「三+六富士は故郷を 父母を恋うる私の心の詩である」と書いています。「美の遍路より」

それでは、番組で紹介された作品を御覧ください。



































































































































最後の病床でも、富士を書く。