京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

『 竹内栖鳳 美の巨人展』 京都市美術館

2013-10-31 06:55:54 | 美術・博物館


京都市美術館で開館80周年記念展示会、『竹内栖鳳展 近代日本画の巨人』が開催されていましたので、行って来ました。平日にも関わらず大勢の人で、竹内栖鳳の人気ぶりがよくわかります。
実はこの企画展はNHK日曜美術館で放送され、その内容は私の9月16日のブログで書きました。東京国立近代美術館の展示会が終了し、今回京都での開催となり、やっと実物に出会えた次第です。非常に楽しみにしていた展示会でしたので、美術館へ向かう足どりも早めです。








竹内栖鳳という画家と展示会概要を若干紹介します。

「竹内栖鳳は戦前の日本画家。近代日本画の先駆者で、 画歴は半世紀に及び、戦前の京都画壇を代表する大家で ある。帝室技芸員。第1回文化勲章受章者。 本名は恒 吉。最初は棲鳳と号した。霞中庵の号もある。動物を描 けば、その匂いまで描くといわれた達人であった。」(Wikipedia)

美術館の展示案内には、「京都に生まれた竹内栖鳳(1864-1942)は,日本画の近代化に大きな役割を果たした画家。明治期の西欧遊学体験を踏まえ,写生,写意の重視という四条派の作画理念に徹底した実物観察を盛り込んで,京都画壇に新風を巻 き起こした。栖鳳のもとには多数の後進が集い,その影響は極めて大きい。当館設立に尽力した大家であり,代表的 な収蔵作家でもある。本展は各地に所蔵される代表作約110点,資料約60点を一堂に会し,その芸術を味わい,意義を 見直す得難い機会」とあります。


竹内栖鳳の若い頃から年代順に展示され、画風の変遷もよくわかる構成です。晩年の円熟した作品もいいですが、私は30代の野心的な作品が気に入っています。特に栖鳳は36歳のとき渡欧しますが、帰国後のライオンや巨象を描いた作品、風景が特に好きです。従来の日本画には見られない、西洋絵画の技法も取り入れられ、それでいて日本画だなあと思える作品です。近代日本画と言われる所以だと思います。

展示作品のいくつか紹介します。

「ベニスの月」




「羅馬の図」





重要文化財の「班猫」
猫の目を見るとハットする絵です。猫の毛並み描き方が素晴らしいです。




「池塘浪静」
若い頃の作品ですが、跳び跳ねた魚の一瞬を切り取った絵です。




「金獅子」
今回の展示でも数点の獅子の絵がでています。それぞれ素晴らしい作品です。それまでの日本画の獅子は、実物を見ずに想像で画かれていたため、どこか滑稽な獅子が多かったのですが、栖鳳のライオンはリアリティーにあふれ、当時の人たちを驚かせたと思います。




「大獅子」



「虎獅子図」





「象図」





「散華」
栖鳳は人物画が少ない画家です。栖鳳は東京からモデルを呼び、天女のポーズをとらせました。




「絵になる最初」
モデルになるために着物をぬぐときのはじらい、いまにも泣き出しそうな表情の一瞬を切り取った名品だと思います。私の好きな絵のひとつです。




中国旅行時の絵





「驟雨一過」
栖鳳晩年の円熟した作品です。





同じ美術館の別室で、竹内栖鳳の下絵と素描展も開催されています。これも行って来ました。栖鳳がいかに写生を重視したかよくわかります。









見終わって満足感でいっぱいです。会期中もう一度足を運ぶ予定です。