京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

「運命に、似た恋」のサガリバナ

2016-10-10 17:20:40 | 花めぐり2016

現在NHKで放送中のドラマ10「運命に、似た恋」が話題になっているそうです。
少女は幼い日、ひとりの少年と再会の誓いを立てた。
いま、45歳になった彼女はバツイチの母親(原田知世)、そんな彼女の前に現れた超一流デザイナーの男(斉藤工)。 まるで境遇の違うふたりが、恋に落ちてゆく。
男はなぜ、彼女の前に現れたのか。 もしかして彼は、あの時の少年なのか?
大人の純愛と、宿命と、救済の物語だそうです。



私はこのドラマは見たことはないのですが、読者のブログを拝見し、第二話のなかで 「一夜だけ咲く花、サガリバナ(下がり花)」が重要な設定になっているそうです。

サガリバナは高さ15mになる常緑低木で、東南アジアの熱帯・亜熱帯、日本では南西諸島(奄美大島以南)に分布しています。
花は夏から秋にかけて夜間に開き、朝には落花します。

サガリバナは今も咲いているはずと思い、植物園観覧温室に向かいました。
時間は10時過ぎですが、まだ花がいくつか咲いています。


















昼夜逆転室では開花真最中でした。




サガリバナいかがでしたでしょうか。



建仁寺 土佐尚子奉納作品公開

2016-10-10 05:30:52 | 美術・博物館

昨日日曜日朝は定例の建仁寺千光会(坐禅会)です。
まだ小雨が降るなか建仁寺に着いたのは7時半。
坐禅が始まるまでの間、朝の庭園を見て心を落ち着かせます。

方丈前庭







○△□の庭




潮音庭
晩秋の紅葉が格別にきれいです。




8時前、初心者向けに坐禅の仕方、驚策などの説明があります。
その後坐禅ですが、20分坐禅を休憩をはさんで2回です。
終了後般若心経と白隠坐禅和賛を読経し、茶礼になります。

小堀管長の提唱は「碧厳録七十一則」百丈問五峰
挙す。百丈復た五峰に問う、咽喉脣吻を伴却して、作麼生か道わん。
峰いわく、和尚也た須らく伴却すべし。
丈いわく、人無き処斫額して汝を望まん。

百丈禅師は五峰に質問します。喉、唇をふさいで(言葉を発しないで)禅をどのように表現する・伝えるのか。
五峰いわく、まず和尚が口、喉をふさいでください。
百丈禅師は五峰の禅機を褒め、認めながらも、禅問答はほどほどにしないと人がいなくなってしまう。
管長いわく、禅はお経のなかに出てこない。口で説明できない。
文章で書けない。教義別伝、不立文字、これが禅の真髄と。

参加者は今回も非常に多かったです。
大方丈には四つの畳部屋(各二十四畳)があり、一部屋40人坐禅します。
中に入りきらず、廊下にも坐布を敷きましたから200人ほどでしょうか。

書院で土佐尚子奉納作品が公開されています。
私は初めて聞くアーティストです。コンピューターを作品に利用したり、ビデオアートなど新しい分野の芸術家です。




土佐尚子プロフィール
メディアアーティスト、研究者、京都大学学術情報メディアセンター教授、シンガポール国立大学客員教授、工学博士(東京大学)。感情、記憶、意識の情報を扱ったコミュニケーションの可視化表現を研究する。フィルム、ビデオアート、CGを経てメディアアートからカルチュラル・コンピューティングの領域を開拓、システム構築を行なう。
作品はアメリカンフィルムアソシエイション、国立国際美術館、富山県立近代美術館、名古屋県立美術館、高松市立美術館などで収蔵されている。

今回建仁寺に奉納された作品

掛け軸「雲の上の山水」2012
『人々はどんなときに創発的になるのか。その一つが、自分の欠如を発見する時かもしれません。この山水は、私がスランプに陥り、今までの方法の欠如を発見し、次の段階を模索していたときに作ったものです。私は自分への修行として、飛行機に乗った時に窓から雲を撮影していました。その雲の写真が1000枚以上集まり、コンピューターを使って山水を作りました。東洋の遠近法である「三遠」の技法を取り入れています。建仁寺さんとのご縁で、このような立派な掛け軸にして頂き奉納することができました。』












作品 映像プロジェクション 床の間の「起源」
新作4k映像作品 Genesis;生成2016
『床の間はお客様を迎えるための亭主のメッセージです。この映像はアートとして作りだした物理現象を毎秒2000コマのハイスピードカメラで撮影した裸眼では見えない世界を写し出したものです。』












作品 デジタル写真 静寂 2012
『雲の上の山水と同じ時期に作られた作品です。創作研究のスランプを乗り越えるため、毎週末ひとつずつ京都のお寺に行き、作品として写真をとることを自分に課していました。その時に建仁寺を訪れ目に止まったのが、庭にあったこのとちの木です。200年もの間風雪に耐え、今にも地面に着きそうな状態で立派に立っているのです。その凛とした生命力に感動し、作品にしようと思いました。この木は2年前の雪で、この世を去ったとのことです。合掌』




以前も紹介しましたが、鳥羽美花の襖絵です。
鳥羽美花(1961年ー)は日本の染色作家、京都精華大学教授。








方丈の襖絵(重文 複製)は海北友松です。
海北友松は安土桃山時代から江戸時代初期にかけての絵師

































建仁寺言えば俵屋宗達「風神雷神図」(国宝 複製)




京都は昔から寺院が芸術家活動を支援する良好な環境が続いてきました。
そのことによって京都の文化が発展し、そこにさらに芸術家が集うことになりました。
今回の奉納も寺院と芸術家の良好な関係が続いていることを示しています。
江戸時代の絵師と現代美術作品が同時に楽しめる、実に面白いです。