今回お届けする徳力富吉郎「版画京都百景」は「京の料亭大市」です。
すっぽん料理で有名な「大市」は江戸中期元禄年間に創業した老舗の料理店です。
約330年もの間すっぽん一筋に17代続き、現在の店舗も当時のままです。
志賀直哉『暗夜行路』、川端康成『古都』、開高健『新しい天体』などでも取り上げられています。
作品 「京の料亭大市」 昭和45年
夕刻の雪景色の景色です。
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作品解説文
すっぽん専門の店である。幕末の建築らしく、新撰組荘子たちの刀痕もある。
六番町にあるが、建物は北の五番町で以前は有名な花街があった。
京の町独特の家の形をよく残し、一見の価値がある。
古い老舗である時、客が人気のない店を訪問すると、衝立の後ろにうたたねをしていた仲居が、ヒョイと顔を上げたが、すっぽんの顔をしていたとかの怪談も残っている。
終戦時の首相、近衛文麿公が大好物でよくお出かけになられた。
本日の大市
今も当時と変わっていない建物です。
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大市のある六番町の近くはかつては有名な花街で、水上勉の代表作「五番町夕霧楼」の舞台でもあります。
売春防止法施行(1958)まで存在していた五番町遊廓を舞台に家族を養うために、
丹後から出てきた少女とその幼馴染の学僧との悲恋の作品です。
また以前は千中ミュージックというストリップ劇場も近くにありました。
明治末に芝居小屋から始まり、大正時代には寄席になり、戦後ストリップ劇場になったところです。
1987年に火災焼失し、現在はありません。
大市のメニューは○鍋のすっぽんコースのみです。
料金は一名24,000円(税込)となっています。