道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

麦秋

2019年05月27日 | 随想
九州は二毛作地帯が多いのだろうか?佐賀平野を走る列車の窓から見る麦秋が珍しく、幾度となくカメラを取りだした。静岡県では見ることができない。
 
かつて東北へ行く列車の窓から関東平野の麦秋を見た時も、日頃見慣れない光景に感動した。
 
麦畑を驀進する列車は、なぜか水田
のそれよりも絵になる。乾いた大地を連想するからだろう。そう言えば、水田地帯を走るSLの写真にはあまり感動を覚えたことがない。湿地帯と鉄道とは、本来そぐわないものだったのだろうか。もっぱら沖積平野に鉄路を敷いて来た日本、地盤改良の技術的蓄積は世界に冠たるものがあるだろう。

話は変わるが、SLと言うと思い出すことがある。昔会社に勤めていた時、某公企業に製品を初納入するに先立ち、その企業の品質調査を受けたことがあった。担当者が1人、泊まりがけで出張して来た。
 
この人がSLマニアであることを耳にした社長は、検査の始まる前から、SL映画に関心があるから是非観せてもらいたいと心にもない熱意を示した。それではと検査もそこそこに、彼は上映の準備にかかった。ちゃんと映写機と8ミリフィルムを沢山用意して来ているのだ。まだビデオの無い時代だった。
 
手の空いている社員が暗幕の引かれた室に集められ、8ミリのSL映画会が始まった。全編が北海道狩勝峠のロケ映像で、煙と蒸気を吐いて雪原を驀進するシーンの連続。観客一同はすぐに飽きてしまったが、感嘆や感心の声が室内に満ち、撮影者は気を好くして上映は延々と続いた。

接待という名の阿諛追従は日本人のお家芸だが、相手の歓心を得ようと限度を超えて歓待を尽くすのはどうかと思う。特殊な趣味の持主をもてなそうとすると、担当者が苦労する。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 近江の歴史探索行 太尾山城(... | トップ | 桑の実(mulberry) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿