当地に架かる線状降水帯。この日8日は終日強い雨が降った。時には突風も吹き荒れた。北遠から南信の山岳地帯では、脅威的な量の雨が降っている。梅雨明けが近づくと、この気象現象が現れる。私たちは既に3・4年に亘って毎年この耳慣れない気象用語を聴いてきた。
気象予報士がこの言葉を発する度に、日本の何処かで氾濫が発生してきた。それなのに、国土強靭化を謳ってきた政府は、河川の氾濫を防ぐ具体的対策をとらず、無為に過ごしてきたとしか思えない。水位モニターを増やしても、洪水は防げない。その結果が、この激甚災害である。国土強靭化はお題目でしかなかったのか?
そもそも日本列島は、海洋プレートが大陸プレートに潜り込む際に海底の堆積物がこそげ取られて大陸端に積み重なった、極めて脆弱な地質で出来上がっている。そして中央構造線やフォッサマグナの大断層と全土を迷走する断層群。岩盤の強固な大陸とくらべて、地質的にはどうしようもないくらい脆弱な国なのだ。国土強靭化など、言うは易く行うは難しい。コンクリートをどれだけ打ち込もうと、列島は強固にはならない。先端土木技術を産む叡智は、治水にこそ集中されて然るべきだ。近い将来日本人は、リニア新幹線よりも河川氾濫の防止対策が焦眉の急であったことを思い知らされるかもしれない。
今月の九州洪水被害は想定外の天災で片付けられるものではない。自然はこれまでに何度も洪水多発を警告していた。福岡県・長野県・岡山県・千葉県と連続発生した水害は、予告であったと受け止めるべきではなかったか?
温暖化に起因するインド洋の高水温がもたらす、梅雨末期の豪雨激甚化を、気象専門家が予想できないはずがない。
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