道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

高齢者は腰を労わろう

2024年07月14日 | 随想
高齢者は大変だ。老化は鵜の目鷹の目で老体を狙っているから、おちおち眠ってもいられない。

眠っている間にハムストリングスが著しく縮むとみえて、朝目覚めた時、ストレッチをしてからでないと、身体の屈伸が殊の外難しい。身体を横たえている間の、血液循環の低下によるものだろうから、うっかり横になって昼寝することもできない。

ストレッチ・筋トレ・ウォーキング、この3種のアクティビティに追われ、本を読んだり、絵を描いたり、園芸に勤しむ暇もない。
30分に1回、椅子から立ち上がらないと、血液が停滞すると整体ユーチューバーは言う。座布団に胡座座りなどもっての外だとか。ソファ・カウチも骨盤を後傾させ、老化を加速させるという。どうやら老人は、楽をしていては健康を維持できないらしい。

年齢のせいか、ちょっと無理な作業をすると、腰に疲労が集中する。腰を痛めやすくなっているようだ。加齢による筋肉の衰えは、放置していると予想を上まって進むと聞いている。放置したことは一度もないのだが・・・

腰は身体の要、上半身と下半身の結節点で、骨盤周りには、深層筋が密集している。それらの深層筋は、身体動作の初動と支点の役割を担っている。人の全ての動作は、腰を基点にしていると言っても過言でないだろう。

筋肉というものは、個々の〇〇筋が独立して力を発揮するものでなく、筋肉連鎖系とでもいうようなものとして、ひと繋がりで相互に連動しているものらしい。
例えば上半身の右腕を使って手鋸で木の幹や枝を伐る作業をすると、右腕右肩の筋肉ばかりでなく、背・腰・脚と連続する筋肉群が活動し、それはさらに左腰から左脚・左足にまで及ぶ。
その際の作動の支点は腰(骨盤周り)の左側寄りの筋肉群になるだろう。右腕を動かす度に、動作支点の左腰の筋肉が緊張と弛緩を繰り返す。右利きの人なら、常に左腰に負担が大きいはずだ。その結果、筋疲労は左腰により多く蓄積する。

筋肉の疲労は直接働く腕や肩よりも、応力が集中する腰に強く顕れるようだ。腰周りの筋肉は、四肢の筋肉のように大きく動く筋肉では無いが、数多くが連繫して脚・骨盤・脊柱と連結している。あらゆる動作が腰に集中するのなら、腰は常に疲れているはずである。腰のストレッチが大切な所以である。

高齢者の身体を健常に保つ重要ポイントをひと言で云うと、腰の筋肉を弱らせないことに尽きる。
筋トレは勿論、日常の軽作業でも、腰を支点とする運動には注意しなければならない。熱中症に気を奪われていると、筋肉の方が疲労し、腰周りのあちこちが痛くなる。生死に関わらないが、QOLが下がるのは間違いない。

腰は全身の筋肉系の要である。四肢のあらゆる動作や作業・労働に伴う力の作動基部である。脚や腕・肩の動作だからと、その部分のストレッチに留意してるだけでは足りない。

四肢の動作の応力が腰に集中していることだけは忘れてはいけない。四肢の筋肉を無理に働かせると、疲労は腰周りの筋肉に集中し蓄積する。
腕・脚などの疲労は比較的早く消えても、集積した腰の疲労はなかなか除れない。腰の筋肉は休む暇がなく、坐っていても座していても働いている。稼働量の大きさの違いに気を配らないと、ある日突然疲労が限界に達し、腰痛に見舞われることになる。いったん腰を痛めると、身体に力が入らず、全身の筋力低下を招く。痛みを発する前に、腰を正常に戻すよう心がけたい。







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