道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

ペットの嫉妬

2021年03月27日 | 人文考察
ペットと飼主の関係に共依存が存在することはごく普通にある。愛玩目的で作出されたペットは、人に依存するものである。依存してくるから可愛い。親愛が感じられ安らぎを覚える。

ペットは飼主への依存性と親愛性が極めて高く盲目的ですらある。それは飼主にとって甚だ心地よいものだろう。飼主はペットに強い愛着を感じ、そのペットなしでは暮らせなくなる。ペットが居なくなると、世の中から色彩が失われる。知らぬ間にペットへの強い依存心が芽生えてしまう。

双方の依存性が収斂すると、一種の共依存関係になると思われる。共依存は双方を幸福にしない。
ペットは飼主に依存する動物だ。飼主に可愛がられることを目的に生きている。これはペットがそうなるように作出されているからで、ペット自身には制御できない。
依存は愛でもなければ忠誠でもないから、飼主は醒めた心でペットに依存することなく、親愛と愛護の情をもって触れたい。そうでないと、ペットの心裡に不安が存在するようになる。

飼主への依存性・親愛性を弄び、ペットの嫉妬心を煽って愉しむ飼主の投稿映像を、YouTubeで時々観ることがあるが、あれは是非やめていただきたい。ペットが可哀想である。

ペットに似た縫いぐるみや別のペットを可愛がる様子を見せ、ペットがそれに反応し、対象に攻撃的になったり錯乱するのを飼主が愉しんでいる映像は見るに耐えない。視聴者はそのペットの姿を愛らしいと思うのだろうか?
しかし、明らかにあれは0度の虐待、ある意味ハラスメントである。ペットの心を弄ぶものである。
ペットに嫉妬の感情を呼び覚まさせてはいけない。ペットは深い傷を負って、それがトラウマになる可能性が高い。

高等動物の本能には、嫉妬の感情の根になる情動が存在する。多分自己保存本能に発しているものだろう。高等動物のペットは多分に嫉妬心を保有していると思う。

嫉妬心を刺激して愛を測るのは、人間の男女間ではよく見受けられるが、双方にとって好ましいことではない。嫉妬心という陰性な感情を刺激するのは、絶対に良い結果をもたらさない。嫉妬は動物的で原始的な感情である。

動物は異性を獲得する為に同性との闘争が避けられない。その闘争本能の名残りが嫉妬ではないか?と思う。動物的感情の名残りと言える原始的な情動である。高等動物では、普段脳の奥深い処に眠っている遠い過去の遺物である。それを呼び覚ましてはいけない。飼主の心ない振る舞いが、ペットを傷つけていることに気づかなければならない。ペットの情動は、飼主の想像を超えるものがあることを忘れてはいけない。
ペットは飼主とその家族にとってかけがえのない存在だから、飼主はペットの心を忖度して欲しい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 同調圧力 | トップ | 思考の泡 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿