訪問日:2015年 7月24日
先日デンマーク国立博物館について書いたので、こちらも投稿します。
上の写真はコペンハーゲン国立美術館のアプローチです。この近辺はこういったクラシックな建物が多く大きな道路に自転車道が付設されています。そのためここにたくさん停車しているように、地域の人や観光客が自転車で走りまわっています。この自転車は日本に比べて重く頑丈にできています。中央の女性たちは金髪、そしてさわやかですが頼りない7月の青空、北欧って感じがしますよね。
この美術館は、15世紀の北欧ルネッサンス以降の美術品が展示されている。デンマークは美術的には、ネーデルランドおよびドイツの影響を強く受けているようで、それらの地域の人の作品が多い。そして国際的に著名なデンマーク人美術家はまだいず、近代から現代美術の展示を多くすることで、育てていこうとしているようだった。
特に印象が強く、また写真も準備できるものについてあげていく。
1.ルネサンス期
(1)ルーカス・クラナッハ
クラナッハは、この時期のドイツの画家である。この人はルネサンスの写実を通り過ぎて、現代イラストやアートにつながるようなポージングの絵画を描く。私の好きな画家のひとり。ここにはなんと数点が飾ってあった。
下図はそのうち一枚。天使の顔がイラストっぽく、また子供たちのロボットっぽく動きそうな感じが好き。

<メランコリー>
(2)フィリッポ・リッピ
この人は、イタリアルネサンスのフィレンツェの大物。以前どっかでこの人の絵のブルーを見て、どんな感じで描いているか興味を持った。
ここでそのブルーがこんなに大面積の絵を見て感動した。構図自体も素敵だが、鼻の先がくっつくくらい近づいて、なぜ浮き上がってみえるのか、タッチはどんな感じなのかなどじっくりと眺めた。日本にもし来ても、こんな見方は出来ない。

<ヨアヒムとアンの出会い>
2.20世紀初頭のフランスの画家
1から2の間に、当然ながらルーベンスなどのネーデルランドの画家たちの作品がかなりあったが、特にという印象がなく写真もいいものがないのでパスし、印象派も飛び越して、その後のマティス、ドラン、モディリアーニに進む。
(1)アンリ・マティス
海外で最初に行った美術館がボルチモア美術館で、世界最多のマティスのコレクションを持っている所だったので、この作家には縁を感じている。この美術館もマティスの蒐集で有名だった。ここにあるのが下図のマティス夫人の肖像。教科書によく取り入れられている代表作の一つである。
この絵も、鼻先の距離から部屋の端まで離れて鑑賞した。(部屋は独占状態だったので)
タッチの勢いが凄かった。室内を動いている間、この絵の視線が追っかけてきつつそちらを見ると、眼をそらしているような感じがした。右眼と左眼の視線がずれているからかもしれない。

<マティス夫人の肖像>
(2)アンドレ・ドラン
この作家は、マティスとともに野獣派として活動した画家。
この絵は、女性が生き生きとしている。アカンベをしているようで楽しい。

<シュミーズの女性>
(3)アメディオ・モディリアーニ
この作家の作品は、眼がぼんやりしているとか、口がふわっと開いてるとか、首をかしげているとか、どっか隙があるところがあって、それも魅力の一つかなと思っていた。ところがこの作品は、眼がパッチリ口元すっきり背筋きっちりの素敵な女性が描かれている。ただし、眼の違いで向かって右顔は少女左顔は成人の女性、もしくは優しさとクールの2面性を描いているようにも見える。

<アンヌ>
3.ドイツ表現主義から現代美術
2より少し後の時代からスカンジナビア中心の作品が多くなる。戦前の絵はナチスと関連もあり、なかなか暗いのは理解できるが、その後もやや陰鬱な気分になる作品が多い。スカンジナビアならノルウェーのムンクが暗いが、北欧にはそんな基調音が流れているのかとおもった。
(1)エミール・ノルデ
デンマーク出身で、ナチスの退廃芸術家展で最もやり玉に挙がった作家。(ただしナチス党員で案外うまく立ち回ったという話もある。) もう少しで国際的な作家になりそうな人。
この絵は童話のような雰囲気でベタッと塗ったタッチに迫力がある。でも色の選択からなかなか暗い印象。

<少年と大きな鳥>
(2)ペル・クローグ
この人はノルウェーの画家で、マティスの弟子。国連安全保障理事会会議室の壁画を描いた人。ただしパリのモンパルナスにいたころ、彼の奥さんと画家のパスキンが不倫した結果、パスキンが自殺したということのほうが、どうも有名なようだ。
でもこの絵画、とてもおしゃれで現代的で、おっと思った。

<姉妹>
(3)ウィルヘルム・フレディ
ドイツ表現主義の影響を受けたデンマークの作家で、国際的なシュールレアリズムの旗手。この人をデンマークは押しているようで、部屋の半分くらい彼の絵画や彫刻が並んでいいた。
下図はナチス支配に抵抗していた頃描いていた作品。一目見た時ぞっとした。このように身体にパイプなどを通した作品が、いくつか並べられていた。

<サボタージュ>
次の彫刻もフレディの作品だが、シュールの世界では著名なものらしい。

(4)現代のインスタレーション 2件
① エミグレン
「静かにしてください」という表題で、小さな部屋一つが病室となりそこに寝ている3人が、再現されていた。彼らは起きることも、そこから出ていくこともできない。
下図は3体のうちの2体。

② ピーターランド(たぶん) 表題も不明
俯いている同一の服装の像が2体あり、一方は足が普通の長さだったが、もう一方は引き延ばされたものだった。 ??・・・わからない、でも暗そう。ちょっと心に重かった。

通常は、現代美術を見たときは、!?!?!という感じで、意外性と謎を楽しく考えるのだが、この時はダークなインパクトが後を引いた。
先日デンマーク国立博物館について書いたので、こちらも投稿します。

上の写真はコペンハーゲン国立美術館のアプローチです。この近辺はこういったクラシックな建物が多く大きな道路に自転車道が付設されています。そのためここにたくさん停車しているように、地域の人や観光客が自転車で走りまわっています。この自転車は日本に比べて重く頑丈にできています。中央の女性たちは金髪、そしてさわやかですが頼りない7月の青空、北欧って感じがしますよね。
この美術館は、15世紀の北欧ルネッサンス以降の美術品が展示されている。デンマークは美術的には、ネーデルランドおよびドイツの影響を強く受けているようで、それらの地域の人の作品が多い。そして国際的に著名なデンマーク人美術家はまだいず、近代から現代美術の展示を多くすることで、育てていこうとしているようだった。
特に印象が強く、また写真も準備できるものについてあげていく。
1.ルネサンス期
(1)ルーカス・クラナッハ
クラナッハは、この時期のドイツの画家である。この人はルネサンスの写実を通り過ぎて、現代イラストやアートにつながるようなポージングの絵画を描く。私の好きな画家のひとり。ここにはなんと数点が飾ってあった。
下図はそのうち一枚。天使の顔がイラストっぽく、また子供たちのロボットっぽく動きそうな感じが好き。

<メランコリー>
(2)フィリッポ・リッピ
この人は、イタリアルネサンスのフィレンツェの大物。以前どっかでこの人の絵のブルーを見て、どんな感じで描いているか興味を持った。
ここでそのブルーがこんなに大面積の絵を見て感動した。構図自体も素敵だが、鼻の先がくっつくくらい近づいて、なぜ浮き上がってみえるのか、タッチはどんな感じなのかなどじっくりと眺めた。日本にもし来ても、こんな見方は出来ない。

<ヨアヒムとアンの出会い>
2.20世紀初頭のフランスの画家
1から2の間に、当然ながらルーベンスなどのネーデルランドの画家たちの作品がかなりあったが、特にという印象がなく写真もいいものがないのでパスし、印象派も飛び越して、その後のマティス、ドラン、モディリアーニに進む。
(1)アンリ・マティス
海外で最初に行った美術館がボルチモア美術館で、世界最多のマティスのコレクションを持っている所だったので、この作家には縁を感じている。この美術館もマティスの蒐集で有名だった。ここにあるのが下図のマティス夫人の肖像。教科書によく取り入れられている代表作の一つである。
この絵も、鼻先の距離から部屋の端まで離れて鑑賞した。(部屋は独占状態だったので)
タッチの勢いが凄かった。室内を動いている間、この絵の視線が追っかけてきつつそちらを見ると、眼をそらしているような感じがした。右眼と左眼の視線がずれているからかもしれない。

<マティス夫人の肖像>
(2)アンドレ・ドラン
この作家は、マティスとともに野獣派として活動した画家。
この絵は、女性が生き生きとしている。アカンベをしているようで楽しい。

<シュミーズの女性>
(3)アメディオ・モディリアーニ
この作家の作品は、眼がぼんやりしているとか、口がふわっと開いてるとか、首をかしげているとか、どっか隙があるところがあって、それも魅力の一つかなと思っていた。ところがこの作品は、眼がパッチリ口元すっきり背筋きっちりの素敵な女性が描かれている。ただし、眼の違いで向かって右顔は少女左顔は成人の女性、もしくは優しさとクールの2面性を描いているようにも見える。

<アンヌ>
3.ドイツ表現主義から現代美術
2より少し後の時代からスカンジナビア中心の作品が多くなる。戦前の絵はナチスと関連もあり、なかなか暗いのは理解できるが、その後もやや陰鬱な気分になる作品が多い。スカンジナビアならノルウェーのムンクが暗いが、北欧にはそんな基調音が流れているのかとおもった。
(1)エミール・ノルデ
デンマーク出身で、ナチスの退廃芸術家展で最もやり玉に挙がった作家。(ただしナチス党員で案外うまく立ち回ったという話もある。) もう少しで国際的な作家になりそうな人。
この絵は童話のような雰囲気でベタッと塗ったタッチに迫力がある。でも色の選択からなかなか暗い印象。

<少年と大きな鳥>
(2)ペル・クローグ
この人はノルウェーの画家で、マティスの弟子。国連安全保障理事会会議室の壁画を描いた人。ただしパリのモンパルナスにいたころ、彼の奥さんと画家のパスキンが不倫した結果、パスキンが自殺したということのほうが、どうも有名なようだ。
でもこの絵画、とてもおしゃれで現代的で、おっと思った。

<姉妹>
(3)ウィルヘルム・フレディ
ドイツ表現主義の影響を受けたデンマークの作家で、国際的なシュールレアリズムの旗手。この人をデンマークは押しているようで、部屋の半分くらい彼の絵画や彫刻が並んでいいた。
下図はナチス支配に抵抗していた頃描いていた作品。一目見た時ぞっとした。このように身体にパイプなどを通した作品が、いくつか並べられていた。

<サボタージュ>
次の彫刻もフレディの作品だが、シュールの世界では著名なものらしい。

(4)現代のインスタレーション 2件
① エミグレン
「静かにしてください」という表題で、小さな部屋一つが病室となりそこに寝ている3人が、再現されていた。彼らは起きることも、そこから出ていくこともできない。
下図は3体のうちの2体。


② ピーターランド(たぶん) 表題も不明
俯いている同一の服装の像が2体あり、一方は足が普通の長さだったが、もう一方は引き延ばされたものだった。 ??・・・わからない、でも暗そう。ちょっと心に重かった。


通常は、現代美術を見たときは、!?!?!という感じで、意外性と謎を楽しく考えるのだが、この時はダークなインパクトが後を引いた。