<ままちゃんさんのご指摘により、一部修正させていただきます。
ままちゃんさん どうもありがとうございました。この仮面のところ、いろんな種類の人が集まったというのを主張したいと思ったのですが、写真を撮った並びがおかしくなっていました。 それで そこだけ派手な服のアフリカの人の近くにあったので、まとめてそこにいれてしまいました。 自信がなかったので、そこだけ(たぶん)といれていました。>
訪問日:2014.06.05
シアトル美術館(通称:SAM)はこの時以外に30年前に行ったことがある。その時は会議の隙間の時間つぶしに、ホストのお気に入りの作品が展示されている部屋を見せてもらった。それらは、いわゆるハドソン・リバー派と呼ばれるアメリカの理想化された自然の具象画で、それが部屋いっぱいに並んでいた。 精密な描写と独特な光が籠っていて、部屋全体がシュールな感じだった。オフィスの近くで無料かつ人が少ないから、そこで打合せをすることもあるとのことだった。贅沢なものと思った。
今回行ったら、場所も雰囲気も全然違っていた。
場所はダウンタウン、目印は大きなハンマリングマン。この小型版は名古屋市美術館にもあるが、外にあるとやはり自由。
ここの内容は、アメリカの大型美術館に見られるように、東京で言うと国立博物館と国立近代美術館をくっつけたようなもの。それに加えて民俗学博物館に相当するものが充実していた。そしてこの美術館のコンセプト「Bridging cultures」にとてもかなっていると思った。
日本の場合は、ほぼ単一民族だから自分たちのルーツを見るのに日本列島の過去の文物を並べればいい。そして将来も列島内である。
しかしアメリカは違う。世界中から人が集まっているのでそれらのルーツを見る必要がある。そして現在のアメリカ国民の統合の姿を感じる必要がある。その役割をアメリカの美術館は担っている。すなわち世界各地域の文化を示すとともに、現代の統合の象徴として、世界を支配している現代美術の展示を派手にやっているのだと思った。
全般的な展示内容は、以下のもの。
・紀元前からの東洋、西洋、歴史的な展示物
・近世になってからのアフリカやオセアニア各地も含む米国に入ってきた世界各地の展示物
・インディアン、中米等のアメリカの歴史の展示物
・近代および現代美術
上記の中で、世界各地の民俗学的展示物、日本の展示、陶磁器近代および現代美術について述べます。
以前見たアメリカの風景画、ヨーロッパの絵画等もあるが今回はパス。
1.世界各地の民俗的展示物
前述のように、美術館としては各民族とアメリカとブリッジをかけること、そしてアメリカの過去と現在のブリッジをかけることでアメリカの統合を図ることである。
各民族のルーツを見るということで、いわゆる美術品の他、その姿を現す彫刻、マスク、衣装などを収集している。人間の姿を連想させる。特に衣装が面白い。
(1)中南米、およびインディアン
アメリカの土着民族に敬意を表したものが展示されている。またアメリカ独立後の繁栄を示すものが展示されている。
ここでは土着民族の歴史的な姿。1枚目 紀元前、2枚目 7世紀、3枚目 15世紀。ここまでは中米。そして19世紀のインディアン。
(2)ヨーロッパ
ヨーロッパ代表として、船乗りと少女を載せておく。
(3)アフリカ およびアメリカ北西部太平洋岸
<ままちゃんさんのご指摘により修正>
上段右はアフリカ、その他の4枚は、地元の北西部太平洋岸。 アフリカは各地の違いを展示していて撮っているはずだけど、写真に自信がないので追加しません。
(4)オセアニア
太平洋進出の過程で、米国は信託統治などで支配して交流し、米国内にも人が入っている。
(5)アジア、イスラム
この方面からもアメリカに流入している。当然作品があったが、写真を撮っていないので省略。
2.日本の展示
日本展示の部屋のエリアは広かった。そしてわび、さびの丁寧な説明があった。日本人も頑張らねば。立派な茶室があり、そこで茶をたてるとのことだった。また生け花が飾ってあったがとても現代的なものだった。
3.磁器の部屋
中国および日本から始まった磁器の生産は、憧れられて世界各地でそれを作り始めた。その世界各地の磁器が、この部屋に集い周囲の壁を埋めた。部屋をやや暗くしうまく照明することで、それらがキラキラと輝き、至高の場所となっている。
磁器を例にとり、世界の知をアメリカに集めて素晴らしい場所にしたいとの意味付けだろうか。
4.現代美術
(1)ガラス
シアトルならば「これ」ということだろうか。チフーリとその周辺のガラス作家の作品が展示されている。下記に書かれたチフーリ単独の美術館と違い、一般の美術館に展示されることを前提とした小品である。それでも彼独特の曲線と輝きを持っている。
https://blog.goo.ne.jp/tenchan-ganbare/d/20180208
(2)グラフィック
グラフィックの展示が充実していた。その中での私のお気に入りは、下記の顔がテレビモニタとなっている女性。ちょっとエロチック。ハーシュマン・リーソンの作品。これは現在作ったらスマホのモニタになっただろう。
(3)絵画および彫刻
現代美術の部屋のど真ん中で、大きなネズミが周りを睥睨していた。ベッドの上にドスンと載っている。このベッドで寝る人は悪夢の塊に押しつぶされるだろう。 そして背景も、いかにもアメリカらしい悪夢の絵。
気分転換に、ジャクソン・ポロックの作品。 天井からのロープにぶら下がり、ゆらゆらとチューブから絵具垂らして描いた作品。
(4)衣装?
もうこれは、金星人と銀星人の出会いでしょうか。
(5)大型インスタレーション
広いエリアを使って、数台の自動車を空中できりきり舞いさせるインスタレーション。バック・ツー・ザ・フューチャーをぱっとイメージしたが、きりきり舞いという点で、あの映画よりすごい。でも、この映画も遠くなった。
現在は、自動車はこんな形で機能は共通認識されているが、例えばドローンがもっと進展してそれが運輸機関となった場合、これはどうなるのか考えた。そして前述のテレビモニタの例も含めて、現代美術が記号として用いているもののある部分は、今後の時代の変化に耐えられない可能性もあるなと思った。
また現代美術のビッグネームは米国人が多く、米国人にとって誇りにできるだろうが、その表現についていけるかどうかはまた別の話で、それなりに大変だ。