ペロー自然科学博物館の外観
ダラスで行った博物館/美術館のうち最初に行ったのは、この博物館である。なぜなら私が泊まったホテルから見えて、外観がユニークで何だろうとおもっていたからである。特に外観で斜めのガラスの箱状の部分に興味があった。
中に入ったらそこは立ち入り禁止だった。たぶんエスカレータじゃないかな?
このビルは2012年にできたばっかりで、古色蒼然とした上野の国立科学博物館がかわいそうになる。中身のほうもたいしたもの。生物史、生体、宇宙、地球、ライフサイエンス、エネルギー、鉱物、科学技術開発等の展示場があるが、どれも立派である。
それらから、特に興味を持ったものについて下記に示す。なお本当は宇宙の展示について書きたかったが、だいぶ変わってしまったようなのでやめた。
1.生物史のうち恐竜展示
まっさらの大ホールに大型恐竜や小型恐竜の骨格が並んでいる。非常にうまく骨格が組んであり、大型草食恐竜をチラノザウルスが襲おうとするように組んである。翼竜や魚竜の展示もある。周辺に哺乳類の骨格も並んでいる。
大型草食恐竜とチラノザウルス (前からおよび後ろから)
魚竜 および 翼竜
アメリカはロッキード山脈の中に恐竜の化石の産地があるが、それでもこれだけ集めて展示しているのはすごいと思った。小さなころの内の息子なら、きっとここで一日いても飽きないだろう。
映画 ジュラシックワールドに出てくる恐竜、また最近の恐竜から鳥への進化を考察した展示もあった。
ジュラシックワールドにも出た恐竜
羽根をもつ恐竜 および ペリカンの骨格
2.エネルギー
石油掘削の本場だけに、エネルギーの中で石油掘削技術を丁寧に説明している。
3.鉱物
石油に絡んで地面を掘るということが多かったせいか、テキサスは鉱物の産地のようで、世界一のサイズのテキサス産の鉱物などが展示されている。ダイヤモンド産地のアーカンソー州は隣である。
テキサスで発見された子供大の晶洞石
4.科学技術開発
電子制御および医療機器について力を入れているようで、レベルの高い展示や実習をする体制が整っていた。ウィークデイの午前にも関わらず、電子制御では子供が大人と作業を実施していた。
電子制御実習エリア 医療機器展示
5.科学技術館の役割について
この科学技術館が立派だったので、こういった展示館の役割について考えてみた。(4)は、子供むけだが、(4)は大人向けである。
たぶん役割としては、下記が考えられる。
(1)知る喜びを伝え、驚きを演出する。
(2)知りたいという意欲を継続させる。
(3)自ら、新しいことを始めることを支援する。
(4)大人が自らの知識を子供たちに伝える、喜びの場を作る。
(1)、(2)、(3)は、展示する内容が異なる。 日本の場合、小さな子供たちに妥協しすぎて、すべてを簡単にして結局一過性になりがちであるが、ここの場合、易しいことから難しいことまで、うまくバランスをとっており、小学校から高校くらいまで年代が上がっても興味を持たせる展示になっていた。なんといっても(1)に関し、恐竜の充実した展示は素晴らしい。
それとともに技術開発のところの電子機器類とスタッフが充実しているようで、少年たちが手を出しやすい環境を作っていた。
大人にとっても、十分驚きの得られる展示があった。それだけでなく(4)に関わるが、テキサスという場所では石油、鉱物、宇宙、牧畜といった産業の人がいるが、その人たちが子供に自分の産業の話ができるしかけを作っていた。
アメリカの他の科学館も見ているが、青少年をひきつける場としては日本と大差がある。 刺激を受けて、伸びようとする子供はどんどん伸びていく環境があるなと思った。