
哀願するかのように涙は雛(ひいな)の白いほほをつたうのに
わたしはにべなく別れを告げた
あの日は風もなく海は凪いでいた
小さな舟に乗せられて
ひとり沖へと流れてゆく
わたしは声も出ず滲んだ姿が見えなくなるまでじっとあなたをみまもる
どこへ行くのか行き先は誰も知らない
いつもそばにいてくれてありがとう
楽しい時も悲しい時もその微笑に慰められた
いつの日かわたしはひとり
あなたを追って補陀落の海へ漕ぎ出すだろう
その時どこかできっと会えそうな気がする
あなたはわたしを抱きしめてくれるだろうか

今日の海もまたあの時と同じく風もなくしずか
さざ波が足元を洗うたび雛の涙となって
私のこころを苛む
そして私は今日も懺悔の日をおくる teto
雛祭りによせてイメージのわくまま詩を綴った。