るり玉アザミは、手を刺すとげがついた歯状の切れ込みがある葉で
アザミそのもののように見えるがアザミではない。
といっても、アザミと同じキク科ではあるが、アザミ属ではなく違った属に所属するので
アザミという名がついているがアザミではない。
るり玉アザミには二回驚かされた。
一回目は、緑色をしたトゲトゲの玉が出現した時で、“玉(タマ)”の意味がわかった。
まるで、ヤマアラシのようでもあり、緑色をしたウニのようでもある。
(写真)トゲトゲの緑の“玉”が出現
(写真)進化の不思議な光景
二回目の驚きは、緑から青紫になり開花したときだ。
“熟成した”という感じが出てきており、この色合いが“瑠璃色”なのだろう。
“るり玉アザミ”とは良く考えたいい名前だ。
“瑠璃(るり)”は、アフガニスタン産のラピスラズリのことであり
深い紫色の青色をさす。
熟して開花するまでわからなかったが、まさにアザミのような深い青色をしている。
この球の形態は、
草食動物からの捕食を逃れるために進化したのだろうか?
(確かに緑色の時期はトゲトゲしている。)
或いは、多くの昆虫をひきつけるためにアザミ以上に蜜を吸う面積を拡大したのだろうか?
雄しべと雌しべの形態もアザミとは違うようであり、興味が尽きない。
学名での属名のエキノプスは、ハリネズミを意味しるり玉あざみの形状から来ている。
和名にしろ学名にしろ特徴を良くとらえたネーミングになっている。
(写真)るり玉アザミの立ち姿
るり玉あざみ エキノプス・リトロ(Echinops ritro)
・キク科エキノプス属の耐寒性がある2年生か多年草。
・学名はEchinops ritro(エキノプス・リトロ)、英名はsmall globe thistle 和名がルリタマアザミ。
・原産地は、東ヨーロッパおよび西アジア
・草丈1m以上になり茎にアザミ同様に白色の綿毛が生える。
・葉は、濃緑色で羽状全裂し鋸歯縁でとげを持つ
・開花期は7~8月で頭状に鮮やかな青色の頭花をつける。
・切花、ドライフラワーとして利用する。
・夏の暑さは苦手だが、日陰では育たないという気難しさがある。
・多湿も苦手で、水をやりすぎたりすると立ち枯れ病にかかりやすくなる。
・株分けで殖やす。
・2年に1回は植え替えを行い、その際に株分けする。3~4月が適期。
・現在は観賞用だが、根は抗炎剤として使われていたようだ。
名前の由来と伝播
・属名のエキノプス(Echinops)は、ギリシャ語のechinos(ハリネズミ)ops(似る)からなり、頭状の球状の花からくる。
・イギリスには1570年に伝わったというから、チューリップがオスマントルコからヨーロッパに伝わった時期にるり玉アザミも入ってきた。日本には昭和初期に伝わる。