モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

ドクダミの花。侘び寂びが・・・

2008-07-27 05:37:23 | その他のハーブ

調べれば調べるほど
先人先達で行き着いた感がある“ドクダミ”を前に、
トライしては撃退され、またトライしてはあきらめ
花の時期がすっかり終わってしまった。

(写真)白十字にたたずむドクダミの花


写真を見ると、6月4日に撮っているのでだいぶ悩んでしまったようだが
あらためてみると、美しい花だと思った。

落ち着きがあり奥が深いインテリジェンスをかもし出している。
特に、雨にぬれたドクダミの渋さは、他には類を見ない渋さだと思う。
鉢物として一点だけドクダミの花が咲いている姿は様になりそうだ。
その鉢物が、茶室にあったりしたらどうだろう・・・

真っ白な4枚の花びらに見えるものが実は苞(ほう)で、
真ん中に突き立っている太く短い黄色の穂が、小さな花の集まりなのだ。

ハート型の葉は、赤紫色が入り、サツマイモの葉に似ているが、
全体から独特の臭気が漂い、手につくとなかなか消えない。
この匂いの成分は、乾燥或いは加熱させると消える。

古から毒下しの薬として活用されてきたが、生葉には、抗菌抗カビ作用が認められ、
乾燥した葉を煎じて飲むと生活習慣病予防作用が期待されている。

ドクダミは、ゲンノショウコ、センブリとともに日本の代表的なハーブであり、
玄人受けしているハーブの代表でもあろう。
ドクダミには科学の手法が入るとまだ隠された効能が発見できそうだ。
民間療法の水虫だけでなく、癌などの予防効果があるといいのだが???

仏教伝来とともに、中国の医学が日本に伝わり、薬草という考え方もこのときに伝わる。
江戸時代から江戸の方言として“ドクダミ”と呼ばれるようになったが、
それ以前は、“之布岐(シブキ)”と呼ばれていたそうで、
このドクダミ・シブキの歴史に関心のある方は、
これでも大分わかりやすく解説してあるすばらしい都立薬用植物園のサイトをご覧あれ。

(写真)ハート型のドクダミの葉と花


ドクダミ
・ドクダミ科ドクダミ属の-10℃までの耐寒性がある多年草。
・学名は、Houttuynia cordata。和名がドクダミ、別名ジュウヤク(十薬)、英名は、Heart-leaved houttuynia。
・原産地は、日本(本州から沖縄)、台湾、中国、ヒマラヤなどの東南アジア。
・草丈30cm程度で半日陰、日陰の湿った場所に生息する。
・地下茎で増殖し全草から独特の臭気がし、このニオイで嫌われる。
・乾燥させると成分が変化して無臭となる。
・繁殖力は旺盛。
・初夏~夏に茎の先に穂状の花序をつけ開花する。4枚の白い花びらのようなものは葉が変形した苞(ほう)。
・開花期に地上部を刈り取り乾燥させたものが十薬(ジュウヤク)。

学名の由来
・属名ホウツイニア(Houttuynia)は、オランダの医師ハウトインの名にちなみ、種小名のコルダータ(cordata)は、葉の形がハート型で心臓の形に似ているのでラテン語で心臓の形を意味する。
・命名者は、日本に来たことのあるスエーデンの植物学者ツンベルク(Thunberg, Carl Peter 1743-1828)

和名の由来(出典:都立薬用植物園
江戸時代中頃以前の古名を“之布岐(シブキ)”と呼ばれていて、この古名は“滞る(とどこおる)”という意味の古語で“渋く(しぶく)”に因み、ドクダミが林下の湿った窪地に群生して毒気(悪臭)が立ち込めることから“毒渋き(どくしぶき)”が短縮転訛して単に“しぶき”となった説があります。

本題の“ドクダミ”の由来は、漢字をどの字を充てるかで説が分かれていて、調べた範囲では四つの説があります。

江戸時代の方言集である“物類呼称(1775年)に依ると“しゅうさい、じゅうやく、しぶきは、江戸でどくだみ、武蔵にてじごくそばと云い、上野にてどく草、駿河沼津ではしびとばな、越前にてどくなべと云う”と有るように、薬草としての視点がないことを拠り所にして各説を評価すると
説一:毒溜(ドクダメ)説は、古名のシブキと同様に、林下の湿った窪地に群生して毒気(悪臭)が立ち込める場所を指していた言葉が植物を指す言葉となり”ドクダメ”が転訛して“ドクダミ”となった。

説二:毒痛(ドクイタミ)説は、化膿した腫物の膿を取る、利尿効果があるなど体内の毒素や痛みを取るので“ドクイタミ”が転訛した説は薬草の視点なので相応しくない説。

説三:毒矯(ドクタメ)説は、毒痛説と同様に、化膿した腫物の膿を取る、利尿効果があるなど体内の毒素や痛みを矯める(正しく直す)のでと云う説が有るが、毒を除く言葉は“毒消し”とか“毒下し”などで あって“毒矯め”とは決して云わないので、日本語の使い方に無理があり、薬草の視点で相応しくない説。

説四:輯菜(シュウサイ)、輯草(シュウソウ)はドクダミの漢名“輯(シュウ)”の字に菜とか草を加えて草の意を表し、説一か説二の読みを与えたもので、ドクダミの由来を説いたものではない。

この様に考えると、説一しか生き残れないのですが、如何でしょうか。
別名のジュウヤク(十薬)は、“大和本草(1709年:貝原益軒)”によれば“ワガ国ノ馬医コレヲ馬ニ用イルト、十種ノ薬ノ能アリトテ十薬ト号スト云”に因むとされています。
また、他の説に“名医別録(5~6世紀頃の中国の医師陶弘景)”には“輯(シュウ)”と集録されていて“シュウ”の音が転訛して“ジュウ”なり、多くの薬効が有る事から、“十薬(ジュウヤク)”と云うようになり、大和本草ではそれなりの理由が付けられた。

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