『英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄』(祥伝社)
元ニューヨークタイムズ東京支社長 ヘンリー・S・ストークス著
日本時事新聞社 デスク
古賀 剛大 様
昨年12月に刊行された本書は、大きな反響を呼んでおり、すでに5万部を突破しているという。今日のAmazonの書籍ランキングでは、11位である。この種のもので、全書籍の中でこういうランクにでてくるのはかなり珍しいことである。以下本書について紹介させていただくことにしたい。
「来日当初は東京裁判が裁いた「日本=戦争犯罪国家論」「南京大虐殺」についても事実であると単純に信じていて、何ら疑っていなかった。だが、日本に滞在する間に、連合国からの視点でもなく、日本からの視点でもない第三者的視点で、二十世紀の日本とアジアの歴史を俯瞰したとき、そうした見方が大きな誤りであることに気付いた。」
1964年フィナンシャル・タイムス東京支社長として赴任して以来滞日五十年を超えるストークス氏はもともと経済記者であるがニュー・ヨークタイムズ東京支社長を務めるなどスケールの大きい活動をしてきた。スカルノ、金大中、金日成、シアヌークにも直接インタビューをしており、そのエビソードが語られている。
おそらく、欧米の一流記者で日本悪者史観を根底から批判する論に到達し、それを本にしたのはストークス氏が初めてであろう。では彼はなぜこのような考えに至ったのだろうか?
冒頭の引用文に続いて、「三島由紀夫氏と親交を得たことが大きかった」と述べているように三島の影響が決定的な役割をはたしていることは間違いなかろう。
しかし、来日以来ずっと親密な関係を結んでいた加瀬英明氏(本書のあとがきを書いている)の影響が見逃せない。日本の文化、歴史に関する膨大な知識なくして、ストークス氏の現在の歴史観はとても形成することができないだろう。その知識・見解の多くを加瀬英明氏に負っているとふたりの近くにいる筆者はみている。
さらに、南京虐殺、慰安婦などの問題に関しては「史実を世界に発信する会」の私の英訳された論文の影響もかなりあることを文中で触れている。
そして、ストークス氏がユダヤ人や日本人と波長が合うのはクエーカーだからだろうと述べているのも興味深い。形式や教義がなく、神道と通ずるところがあるという。
それもあるだろうが、根本的には氏の人間的な資質として公平性を重んずる考え方こそが最大要因ではないかと考える。日本人全員の必読書である。
「史実を世界に発信する会」事務局長 茂木 弘道
全国消費者国民運動連絡協議会
日本時事新聞社
史実を世界に発信する会
日本人も黙している場合ではない。沈黙は、美徳ではないのだ。