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コンプソグナトゥス類



「あなたの番です」とか見てると恐竜が進まない。ドラマって時間とられますね。
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フアシャグナトゥス1


コンプソグナトゥス類は、コエルロサウルス類の中で最も基盤的なグループという意見と、マニラプトル類の最も基盤的なグループという意見がある。いずれにしてもコエルロサウルス類の基本形に近い姿を求めるとすれば、このあたりの恐竜が適していると思われる。コンプソグナトゥス類は基本的に小型の肉食恐竜であるが、最近この仲間としては大型の種類が発見されてきたので、コンプソグナトゥス類が大型化するとどんな姿になるのか、興味を引かれる。

フアシャグナトゥスは、白亜紀前期に中国遼寧省に生息したやや大型(全長1.6 m)のコンプソグナトゥス類で、2004年に記載された。比較的大きな頭部、短めの前肢、長い尾、後肢の先端部が比較的短いなど、コンプソグナトゥス類に共通したプロポーションを示すという。フアシャグナトゥスは、胴椎の神経棘突起が扇形である、手の第1指の第1指骨が太いなどの形質からコンプソグナトゥス類に含まれる。

他のコンプソグナトゥス類と異なるフアシャグナトゥスの特徴は、前上顎骨の上顎骨突起が長く、前眼窩窩の位置まで達すること、前肢の手(中手骨と指骨)の長さが上腕骨と撓骨を合わせた長さとほぼ等しいこと、手の第1指、第2指の末節骨(カギ爪)が大きくほぼ同じ長さで、第3指の末節骨の167%である、尺骨の肘頭突起が小さいことなどである。

コンプソグナトゥス類の化石は全体としては非常に保存のよいものが多いが、「繊細な顎」というだけあって、頭骨はことごとくグシャッとつぶれて断片化しており、本当はどういう顔だったのか想像するほかない。失われた骨もあるだろうし、破損したり変形したりした骨が多いと思うが、そのような場合に形態学的には何をどのように論じるのだろうか。
 実際にフアシャグナトゥスの場合にも、頭骨全体としては保存されているが、つぶれているので、多くの骨の詳細な形態や骨と骨の間の縫合線などは判別できないと記されている。前上顎骨の上顎骨突起が長く延びて鼻骨と接するので、ドロマエオサウルス類やオルニトミムス類と同様に鼻孔の縁から上顎骨が排除されている。鼻孔はかなり大きい。上顎骨には小さな円形のMaxillary fenestraがあるように見えるが、アーティファクトかもしれないという。鼻骨は横向きに外れて、涙骨の背方部に重なっているので、涙骨がT字型かL字型かもわからないという。同様に前頭骨がずれて後眼窩骨と重なっているため、後眼窩骨は腹側部分(頬骨突起)しかみえていない。頬骨はひっくり返って内側がみえている。眼窩の後縁部分には、後眼窩骨の頬骨突起と頬骨の後眼窩骨突起が同じくらい寄与している。下顎の歯骨は細く、コンプソグナトゥスと同様に外側下顎窓がないようである。
 歯が全部で何本あるのかはわかっていない。前上顎骨には3本または4本の細長い歯がある。上顎骨には8本の歯が保存されており、そのうち6本は成長中の小さい歯と萌出した大きい歯が隣接したペアで生えている。上顎骨歯は側扁し、強く後方に反っている。上顎骨歯と後方の歯骨歯では、シノサウロプテリクスやコンプソグナトゥスと同様に、歯の後縁だけに細かい鋸歯がある。前方の歯(前上顎骨歯と前方の歯骨歯)に鋸歯が全くなかったかどうかは判別できないとしている。

フアシャグナトゥスは、他の小型のコンプソグナトゥス類よりも前肢が長い。後肢に対する前肢の比率は、シノサウロプテリクスが36%、コンプソグナトゥスが39%であるのに対して、フアシャグナトゥスでは48%である。また前肢の中でも特に手が長い。上腕骨と撓骨の長さに対する手の長さの比率は、シノサウロプテリクスの84%、コンプソグナトゥスの74%に対して、フアシャグナトゥスでは103%である。
 第1中手骨は短く太く、第2中手骨の1/2弱の長さである。第2中手骨は最も長く、また最も太い。一方シノサウロプテリクスでは、第1中手骨が最も太い。第3中手骨は非常に細く、直径が第2中手骨の1/2くらいであり、側方にやや曲がっている。
 第1指の第1指骨の近位部が撓骨よりも太いことは、コンプソグナトゥス類の特徴である。中手骨を除いて指骨の長さの合計を比較すると、シノサウロプテリクスでは第1指の方が第2指よりも長いが、フアシャグナトゥスでは第2指の方が長い。末節骨は第1指のが最も大きいが、フアシャグナトゥスでは第2指の末節骨もほとんど同じくらい大きい。全体としてフアシャグナトゥスの前肢はシノサウロプテリクスやコンプソグナトゥスほど派生的ではなく、原始的なマニラプトル類の状態により近いという。

参考文献

Hwang, S. H., M. A. Norell, J. Qiang, and G. Keqin. 2004. A large compsognathid from the Early Cretaceous Yixian Formation of China. Journal of Systematic Paleontology 2: 13-39.


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シノサウロプテリクス1

 背中を反らせ、頭と尾を上に向けた「踊る妖精」のような可憐なポーズが有名である。もちろんこれは、恐竜の死後、脊椎に沿った靭帯や腱が収縮するために背中が反り返るのであるが、このポーズがあまりにも印象的でアーティスティックなためか、この姿勢のまま生体復元した作品も多い。
 最初に発見された羽毛恐竜として有名なシノサウロプテリクスは、1996年に発見された際は原始的な鳥と思われていたが、1998年に基盤的なコエルロサウルス類であるコンプソグナトゥス科の獣脚類として記載された。大小2個体のほとんど完全な全身骨格標本があり、小さい方(完模式標本)は正中面できれいに二つに割れた片側(GMV2123)と反対側(NIGP127586)が別々の施設に所蔵されている。大きい方(NIGP127587)は尾の先半分が失われている。
 尾は獣脚類の中でも最も長く、64個もの尾椎からなる。コンプソグナトゥスに比べてシノサウロプテリクスは、少し頭骨が大きく前肢が短い。大腿骨に対する頭骨の長さの比率は、コンプソグナトゥスが99-100%、シノサウロプテリクスが113-117%であるという。また前肢の長さ(上腕骨と撓骨)と後肢の長さ(大腿骨と脛骨)の比率はコンプソグナトゥスの40%に対して、シノサウロプテリクスでは30%である。コンプソグナトゥスもシノサウロプテリクスも、前肢の第1指の第一指骨が大きく太い。また胴椎の神経棘が前後に長く扇型になっている。
 体表を覆う繊維状の構造が保存されており、全身が単純な毛状の原始的な羽毛(原羽毛)で覆われていたと考えられている。コンプソグナトゥス科のシノサウロプテリクスやティラノサウルス上科のディロングに原羽毛がみられることは、コエルロサウルス類全体が羽毛をもっていたことの根拠とされてきたが、最近ドイツで発見されたコンプソグナトゥス科のジュラベナトールの件で論議を呼んでいる。
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