獣脚類を中心とした恐竜イラストサイト
肉食の系譜
気に入っている様子
これは、少し歪んでいるからどうかなと思っていたのですが、実際に手にして見るとすごい迫力です。休みの日に1時間くらい眺めていても全然飽きませんね。なるほど涙骨がT字型だとか、方形頬骨と方形骨の関係とか観察する点がいろいろある。
左側の側頭部は少しつぶれていて、右側の方が立体構造が保たれているようなので右の側頭部を見ると、後眼窩骨の下に頬骨が入り込んで鱗状骨と接しそうになっているように見える。そうすると多分ツァーガンです。
ちなみにVAP社のヴェロキラプトル頭骨模型もあるのですが(こちらはパレオサイエンスから買いました)、こちらは明らかにヴェロキラプトルです。しかしこの頭骨も、左右で後眼窩骨の部分が異なるように見えて、一抹の疑問点が残る。同種内で変異がある特徴だったりしないのだろうか。市場に出回っている化石やレプリカの中にはヴェロキラプトルとツァーガンが混じっていて、混乱している状況なのかもしれない。(一番困るのは複数の標本を元にしてキャストを作製したりして、キメラができてしまうことだろう。)
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
シアッツ・ミーケロルム
CNN日本版はシアッチといい、AFP日本版はシアットと書いている。綴りはシアッツじゃないの?と思ったあなたは正しい。シアッツとは、ユタ州の先住民ユート族の神話に登場する人食い怪物の名であるが、しばしばSee-atchとも綴るとあるから、現地の発音は「シアッチ」に近いのかもしれない。しかし、日本人がこのローマ字綴りを見た時に、普通はシアッチとは読めないと思うので、ここではシアッツとする。
シアッツは、白亜紀後期の初めセノマン期(Cedar Mountain Formation)に、米国ユタ州に生息した大型のアロサウロイドで、北アメリカ初のネオヴェナトル類として2013年に記載された。完模式標本は部分骨格で、いくつかの脊椎骨、腰帯、後肢の骨からなる。ネオヴェナトル類は頭骨が見つからないというお約束でもあるかのように、シアッツも頭骨や前肢などは発見されていない。そのため残念ながら正確な復元は無理である。プレスリリースされた想像図のように、なんとなくアロサウルス風の姿をイメージするしかない。
シアッツに固有の形質は、近位の尾椎に前後に広がったcentrodiapophyseal laminaeをもつが、よく発達したinfradiapophyseal fossaeを欠いていること、前方の胴椎が前後に長いこと、胴椎の神経棘が短く幅広いこと、遠位の尾椎の腹側面が横方向に扁平で前後方向に凹んでおり、断面が亜三角形であること、腸骨の恥骨柄pubic peduncleの寛骨臼縁が横方向に凹んでいること、など非常に難しい。
おそらく5番目の胴椎は、ほとんど完全に保存されている。そこには、ネオヴェナトルやアエロステオンと同様に、低いが明瞭な腹側稜ventral ridgeがあり、関節面は幅よりも高さが大きく、後関節突起にはフランジ状の側方延長部がある。神経弓の基部は丈が高いが、アクロカントサウルスや他のカルカロドントサウルス科の胴椎と異なり、神経棘は短く幅が広い。(想像図を描く上で参考になるのはせいぜいこのくらいか。神経棘が低め、である。)
系統解析の結果、主に胴椎や仙椎の椎体の側腔pleurocoelや、camellate(蜂の巣状)内部構造などの含気性の発達程度や形状から、シアッツは広義のカルカロドントサウルス類(カルカロドントサウリア)とされた。
また1)胴椎の後関節突起のつまみ状tab-likeの延長部や、2)前関節突起の外側に貫通した含気腔、3)尾椎の神経弓の顕著なcentrodiapophyseal laminae、4)腸骨の前寛骨臼突起にcuppedicus shelfがあることなどから、シアッツはネオヴェナトル科Neovenatoridaeに位置づけられた。さらに、「尾椎の神経弓における深いinfradiapophyseal fossaに支えられた顕著なcentrodiapophyseal laminae」により、ネオヴェナトル科の中でもメガラプトル類Megaraptoraに属することが支持されるとある。(シアッツの固有形質には、よく発達したinfradiapophyseal fossaeはないとあるが、メガラプトル類の中ではアエロステオンやメガラプトルに比べてシアッツでは浅いという意味か。二次的に逆転という意味か。)
北アメリカの恐竜相では、白亜紀前期ごろに頂上捕食者top predatorである大型肉食恐竜の構成が大規模に変化したことはよく知られている。ジュラ紀後期にはメガロサウルス類、アロサウルス類、ケラトサウルス類など様々な系統の中型から大型の獣脚類が共存していたが、白亜紀末(カンパニア期以後)になるともっぱら大型のティラノサウルス類で占められるようになる。しかしその間の大型捕食者の化石記録は乏しく、7000万年近いギャップがあるために、この大変化の時期や様相は不明のままであった。例えば白亜紀前期の大型肉食恐竜としては、アクロカントサウルスが知られているくらいであった。
大型のネオヴェナトル類シアッツの発見により、白亜紀中頃の生態系はジュラ紀後期とも白亜紀末とも異なる、ユニークなものであることが示唆された。つまり、白亜紀中頃の頂上捕食者(大型肉食恐竜相)は派生的なカルカロドントサウリアン(カルカロドントサウリアのメンバー)で占められていたと考えられる。よって北アメリカの頂上捕食者は、少なくとも3段階の変遷を経ていたと思われる。
アジアではシャオチーロンの研究により、白亜紀後期に入ってもカルカロドントサウリアンが優勢で、そのためにティラノサウルス類の台頭は遅かったという考えが既に提唱されている。シアッツの発見により、北アメリカでも同様にカルカロドントサウリアンが頂上捕食者の地位を占め続けており、おそらくそのためにティラノサウルス類は大型化できなかったことが推測される。さらに、シアッツの発見された地層からは小型のティラノサウロイドと推定される化石が見つかっており、大型のアロサウロイドと小型のティラノサウロイドが同じ地域に共存していた証拠となることが期待される。
ちなみにネットニュースなどの小見出しで「ティラノと共存?」のようなものが見られたが、よく知らない人には誤解を招くのでよろしくない。「ティラノサウルス」と「ティラノサウルス類」は全く意味が異なるのに、書き手自身が深く理解していないのか、読者の目を引くためなのか。最初から適切な書き方をすべきである。
参考文献
Zanno, L. E. and Makovicky, P. J. (2013) Neovenatorid theropods are apex predators in the Late Cretaceous of North America. Nat. Commun. 4:2827 doi: 10.1038/ncomms3827.
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
JAEMI TOY ジオラマパズル
ルルララ社という韓国企業の3D模型JAEMI TOY恐竜シリーズということです。ジオラマパズルとも書いてあります。ティラノサウルス、トロサウルス、「ブロントサウルス」、プテラノドンがあるようです。ティラノとプテラノが良いと思いました。もう少し安いといいのですが。
3Dプリンター風で、翼の曲面がいいです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
2013池袋ミネラルショー
今年は金曜日まで仕事だったため、土曜日に行きました。Georgeさんの所は相変わらず、買えるものはありませんが、ユーステノプテロンの化石等がありました。エリオプスの歯とか、ずっと売れ残っているようにみえますが。
Zoic Srlは今回買いたいものはなく、一部は他の業者に卸したとみた。翼竜の足とか、エラスモサウルスの顎はありました。
Eldoniaは掘り出し物もあるのですが、今回は買いませんでした。写真はオルニトミムス類の手と、隣はディクラエオサウルスの顎。恐竜としてはタルボサウルスの歯、オヴィラプトル類の爪、ドロマエオサウルス類の爪、オピストコエリカウディアの足など。一つ気になったのは、前期白亜紀フランス産のNuthetesという小さい歯があり、これは獣脚類でkind of Allosaurusといっていたので、ネオヴェナトル類か何かでしょうか。歯しか見つかっていないそうです。当然ながらまだまだ謎の古生物がいるもので、奥が深いです。
Treasure of the Earthはやはり、買うものがない。所先生は素通りするそうです(笑)。このタルボ頭骨は、頭骨の形は良いので気に入っているのですが、歯の塗装がチョコバナナのようで‥‥もっとちゃんと仕上げれば、相当価値があるものと思いますが。
パレオサイエンスでは、前から注文してあった商品を受け取りました。アロサウルスの尾椎や、レプトメリクスの化石などがありました。テラトフォネウスの成体頭骨はいいですね。
第2会場の入り口にはエオシノプテリクスとアウロルニスのレプリカが展示されています。
グリフォンのマスターフォッシルには、スピノサウルスの尾椎などがありました。カルカロの歯が大量にあったのは、ミュージアムインポートから仕入れたのでしょうね。写真はカルカロの顎の断片で、残念ながら歯のついた状態で見つかったのではないそうです。よくあるパターンです。
マスターフォッシルで見つけた巨大アルマジロの皮甲板。肉食でも恐竜でもないが、感動して衝動買いしました(3500円)。見事な六角形で縫合面に指状の突起があります。この黒枠の紙箱は、ベルギーかフランスの業者から仕入れたのでは?ベルギーのRoland Juvynsからはサウロルニトレステスの歯を買いました。
しかし今回の「買ったった」は、なんといってもこれです。ゼネラルサイエンスから、Gaston社のヴェロキラプトル頭骨レプリカを、5万2500円のところ特別価格で購入しました。Gastonのサイトのカタログでは、右側の写真しかなかったので、左側を確認して予想より良かったので買いました。
デスクの上に飾ると、自分用のクリスマスプレゼントとして十分な満足度です。
ちなみにこれは「実はツァーガンではないか」といわれた頭骨のようですね。maxillary fenestraが前端にあり、長楕円形なのは明らかにツァーガンです。しかし頬骨、後眼窩骨、鱗状骨の関係はヴェロキラプトル型のような。。その辺りを比較観察する楽しみもあるわけです。
Zoic Srlは今回買いたいものはなく、一部は他の業者に卸したとみた。翼竜の足とか、エラスモサウルスの顎はありました。
Eldoniaは掘り出し物もあるのですが、今回は買いませんでした。写真はオルニトミムス類の手と、隣はディクラエオサウルスの顎。恐竜としてはタルボサウルスの歯、オヴィラプトル類の爪、ドロマエオサウルス類の爪、オピストコエリカウディアの足など。一つ気になったのは、前期白亜紀フランス産のNuthetesという小さい歯があり、これは獣脚類でkind of Allosaurusといっていたので、ネオヴェナトル類か何かでしょうか。歯しか見つかっていないそうです。当然ながらまだまだ謎の古生物がいるもので、奥が深いです。
Treasure of the Earthはやはり、買うものがない。所先生は素通りするそうです(笑)。このタルボ頭骨は、頭骨の形は良いので気に入っているのですが、歯の塗装がチョコバナナのようで‥‥もっとちゃんと仕上げれば、相当価値があるものと思いますが。
パレオサイエンスでは、前から注文してあった商品を受け取りました。アロサウルスの尾椎や、レプトメリクスの化石などがありました。テラトフォネウスの成体頭骨はいいですね。
第2会場の入り口にはエオシノプテリクスとアウロルニスのレプリカが展示されています。
グリフォンのマスターフォッシルには、スピノサウルスの尾椎などがありました。カルカロの歯が大量にあったのは、ミュージアムインポートから仕入れたのでしょうね。写真はカルカロの顎の断片で、残念ながら歯のついた状態で見つかったのではないそうです。よくあるパターンです。
マスターフォッシルで見つけた巨大アルマジロの皮甲板。肉食でも恐竜でもないが、感動して衝動買いしました(3500円)。見事な六角形で縫合面に指状の突起があります。この黒枠の紙箱は、ベルギーかフランスの業者から仕入れたのでは?ベルギーのRoland Juvynsからはサウロルニトレステスの歯を買いました。
しかし今回の「買ったった」は、なんといってもこれです。ゼネラルサイエンスから、Gaston社のヴェロキラプトル頭骨レプリカを、5万2500円のところ特別価格で購入しました。Gastonのサイトのカタログでは、右側の写真しかなかったので、左側を確認して予想より良かったので買いました。
デスクの上に飾ると、自分用のクリスマスプレゼントとして十分な満足度です。
ちなみにこれは「実はツァーガンではないか」といわれた頭骨のようですね。maxillary fenestraが前端にあり、長楕円形なのは明らかにツァーガンです。しかし頬骨、後眼窩骨、鱗状骨の関係はヴェロキラプトル型のような。。その辺りを比較観察する楽しみもあるわけです。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )