いわゆる「唐沢版」と呼ばれる、2003年・フジテレビ版の記憶もまだまだ風化しておらず、このバージョンと比較しての評価は避けられないことは承知で製作されたものであろう。
私の知る限りでは、映像化されるのは6回目ということらしい。
唐沢版は5回目ということになる。
ちなみに1回目と3回目は故田宮二郎氏の主演であり、これもハマり役と称された作品である(うっすらと記憶にはあるのだが、内容を理解できるほどきちんと見たわけではない。)
山崎豊子氏の原作が単行本化されたのが1965年(正編)と1969年(続編)というから、半世紀前の作品。1966年には初の映像化がされているという。
半世紀の間に6回も映像化されたことが示す通り、作品自体はまさに「不朽の名作」。
こうして十数年の間隔で新作が制作されることでワクワクさせてもらえます。
▼良かった点
・財前五郎(岡田准一さん);野心でギラギラした感じ。前への推進力が強い財前だった。いるよなあ、こういう人。
・里見修二(松山ケンイチさん);財前とは反対に飄々さが強調されたキャラづけ。ギラギラの財前に対しての安心感がバランス良かった。
・花森ケイ子(沢尻エリカさん);魔性っぷり全開でした。こういう役、よく似合うなあ、と感心。。。
・鵜飼医学部長(松重豊さん);あれっ?大河内先生とキャストが逆かと思ったけど…
・大河内教授(岸部一徳さん);実際に放送を見たら、なっとくのキャスティングでした。
・財前又一(小林薫さん);五郎をたきつける圧がすごい。財前のふるまいに説得を与えた怪演だった。
2003年版の放送当時は、自身の境遇と心境にもいろいろな変化があって、100%楽しめたわけではなかった。しかし、作品としての完成度の高さのおかげで、受け入れることができた。
また数十年後に、新たな意欲作に出会えることに期待したい。