キーボード「ヤマハSY85」です。20年前の機種ですが、音色が美しくて楽器としても高機能です。引っ越し後しばらくしてから再設置したところ、正常な音が出なくなっておりました。
起きていた現象と考えられる原因には、2つのモードがありました。
(1) ディスプレー画面の文字化け、音色が変更できない、正しい音色・エフェクトにならない
【予想原因】内部データ保持のバッテリー(ボタン電池)の消耗
(2) これらの復元用に「ファクトリー・フロッピーディスク」が付属しているが、本体FDDの読み取りエラー発生。モーターの回転音はするが、空回り(?)のような特異な音
【予想原因】FDDの駆動系故障
修理の順序として、まずFDDを生き返らせないことにはデータの復元ができません。ボタン電池を交換しても、もとの音色が復元できないのでは楽器として用をなさないため、FDDの機能回復を必須として、分解作業に着手しました。
1.外装外し
本体を裏返しにしてソファの上に置いて、締め付けねじを外していきます。電源コード部(2本)とメモリアクセス用の窓(6本)以外は、すべてのねじを外します。総数は、皿付きタッピングねじが11本、他のタッピングねじが27本あります。
ねじが外れれば、本体下部のケースは難なくリムーブできました。
2.FDDユニット外し
FDDユニットを共締めしているブラケットを外します。本体側と接続されているフラットケーブルを手で抜きます。これでFDDユニットはリムーブできました。その直後のユニットの状態が下の写真です。ベルトが無残に切れてしまっていますが、予想通りの状態だったので、ここからベルト交換を模索していきます。
3.FDD駆動ベルト交換
ネット上などで情報を収集していくと……
・FDDユニット本体の供給を終了している
・純正の交換用ベルトの入手は困難
・変換ケーブルを自作して、他のFDDユニットで代替えする
…など、先人の方からの有益な情報が得られました。
それらの情報の中に「100円ショップにあるヘアゴムで代用できる(かも)」というものがありました。オリジナルのベルトはちぎれて飛散してしまっていますが、材質やサイズなどはだいたい判断できましたので、お店に行って探してきました。
こちらが購入してきたものです。「からまないゴムLハード」。もちろん108円。100個入りです。「しっかりとまる・固めタイプ」というのも、FDDの代替えベルトには向いていそうな気がします。
さっそく、FDDユニットにセットしました。
あー、もともとはこうなっていたのですねえ。
サイズ感も文句なし。強度が少々心許ない気がしたので、2本かけることにしました。あくまでも直感です。だって、もともとの径もわかりませんし、なにせヘアゴムなのですから。
4.復元&動作テスト
リムーブしたものを仮固定して、動作をテストします。
フラットケーブルの表裏を逆にしてしまい、FDDまったく動作せず…(笑)
フラットケーブルの再結線からもう一度復元をやり直して、ファクトリーFDを読み込ませます。
問題なく読み込めました!
これで出荷状態に戻りましたので、各種動作をチェックして、元通りの音色で発音することを確認できました。
すべてのねじを再締め付けして、復元完了です。
5.課題
電源をOFFにしてしまうと、ディスプレー画面の文字化けと音色の異常が再発してしまいます。電源ONのたびにファクトリーFDを読み込ませれば正常になりますが、やはりボタン電池は交換する必要がありそうです。
特筆すべきは、修理にかかった部品代がわずか2円(!!)。
100円ショップのグッズで修理できたことに、我ながら驚きです!
作業に当たっては、同様の修理のブログ記事などをいくつか参考にさせてもらいました。先人の方々の記録が大いに助けとなりました。感謝申し上げます。
この次の記事に、内蔵電池の交換のことを書いています。
内蔵電池を交換して復旧できてます。
そちらもご覧くださいませ。