赤い水性の部屋

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Fanfare Rhythmic

2010年03月07日 | Weblog
 今回のバンド維新で演奏させていただけることになった『Fanfare Rhythmic(ファンファーレリズミック)』は、前回に引き続き、北爪道夫先生の曲である。曲についてはHPバンド維新にジャンプして作曲者紹介をごらん頂きたい。バンド維新2010

 さて、バンド維新に出るからには、たとえ21名中15名が1年生という、まさに4人のうち3人が初心者の現在の江南中でも、最高の演奏をしたい。上手くないのはわかっているので、作曲の意図をできるだけ理解し、江南中らしさにあふれた、全ての音に意味を持った、思いやりいっぱいの演奏をしたい。

 この曲で今、みんなで頑張っていること、目指していることを整理してみよう。

 ①冒頭の打楽器の動機
  この曲のテーマであるといってよい。8分音符単位での連続した8回の5拍子(途中7拍子と3拍子が入る)を4フレーズ繰り返す。楽譜は4分の4拍子で書かれているが、この小節バーから抜け出した変拍子を感じること。

 ②冒頭からの管楽器郡のファンファーレ
  (おそらく)4分の7拍子と4分の3拍子のフレーズを、もう一つのポイントである連続した4分音符で進めていく。やはり4分の4の小節バーから抜け出したい。

 ③4分の4なのに変拍子
  上記①と②が並行して行われるため、4分の4で書くしかないと北爪先生はおっしゃっていたが、実際に指揮を4分の4で振ると、それぞれの変拍子感やフレーズ感が出なく面白くなくなってしまう。指揮の振りようのない曲である。

 ④リズミック
  8分音符の5拍子フレーズとは別に3連符単位の5拍子(+6拍子)も存在し、ティンパニは3連符単位の4拍子を刻む。最後は③と④の打楽器の動機が全て現われ、ちょうど電子メトロノームの8分音符と3連符を同時に全て鳴らす「ポコピキカキコポコピキカキコ♯♭●※▼×!♪」というか、3台の異なったメトロノームを同時に鳴らすという感覚の中で、管楽器の華やかな響きが進んでいる。まさに、ファンファーレがリズミックに進んでいくのである。

 ⑤雅楽(練習番号E)
  上記の①~④だけを読むと、複雑なリズムの曲のように感じるが、実は雅楽の響きがするのである。この曲、実は調号がない。リズム郡には調性がないのはわかる。管楽器はC音の連発であるが、つねに、調性が変動しているので、現在の12平均律による音階ではない気がする。雅楽の和音というか、響きをもう一度勉強してみるのもよいだろう。たしか、音楽準備室の棚の奥底に昔、授業で活用されたと思われる雅楽の観賞用のレーザーディスクがあった気がするな。見てみよう。

 ⑥和風?洋風?
  北爪作品に多く見られる、日本的な響きやメロディーであるが。36小節目ト長調(G-dur)や63小節目変イ長調(As-dur)、最終はヘ長調(F-dur)の完全な長三和音のロングトーンのように、西洋音楽の響きも随所に見られる。音程合わせに必死である。
 また、E~G(特にサックスセクション)のステンドグラスのように七色に偏光する響きも、前作の『雲の上の散歩道』や『並びゆく友』、『風の国』のほか、オーケストラ作品『管弦楽のための照映』をしっかりと感じさせてくれる。

 ⑦歌(G~H)
  このように書くと、響きと複雑なリズムだけという、いかにも現代曲のように感じるかもしれないが、やはり北爪節ともいえる、歌が大切である。
 五拍子が枝垂れ柳のように、下降しながら増幅し、5連符の連続した強奏の後、今までの迷いや悩み、葛藤を一気に断固とした決意ともいえる歌を高らかにテュッティ(全員)で歌う。楽譜では「Pochissimo Piu mosso(非常に少し動きを持って速く)」とあるので、参考演奏は速めに演奏しているが、やっぱり朗々と情熱的に歌い上げたい。「piu mosso」を「速く」と理解するよりも、動きと推進力をもつととらえ、その前の5連符を遅くなってもハッキリと打ち込み、Gの打楽器の一発とともに前に向かって歌っていく感じで演奏しようと考えている。

 これ以外にも、すばらしいところ、表現したいところがたくさんある曲を演奏できる幸せに感謝である。これらのことが全てできたら今回の演奏は成功だと江南中は考えている。
 かなり高度なことではあるが、コレができたら絶対に感動的な演奏になるはずだ。もしも失敗したら、途中でどこをやっているかわからず、演奏が止まってしまうだろう。ミスなく、4分の4でまとまった演奏をする気はまったくない。コレはチャレンジである。勝負である。誰が相手かって、もちろん自分たちさ。