とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

粘土の親水性

2019年02月08日 | 日記
肥沃な土壌を形成する上で重要なのは、粘土と腐植であると言われる。

有機物および2mm以上の礫を除いた土壌構成物を、粒子の大きさ(粒径)別に見ると、砂・シルト・粘土の3つに区分され、最も小さい粒子が粘土である。
砂:0.02mm~2mm
シルト:0.002mm~0.02mm
粘土:0.002mm以下

粘土を構成する粘土鉱物は、岩石がいったん風化した後に再結晶化したもので二次鉱物に分類され、主成分はケイ酸。微粒子である点とケイ酸を多く含む点とが、粘土の高い親水性に繋がっている。アルカリ性条件下(ph7.0以上)で形成されるスメクタイトなどの2:1型粘土鉱物は特にケイ酸含有量が多く、親水性も高い。

水分を多く保持して粘りが現れる、粘土質土壌(粘土集積土) ※pH7.30


保水性が低く粘りがない、砂質土壌(黒ボク土) ※pH6.90 砂質に結合した腐植が、冬期の地下水を幾分か吸ってpHが高め


砂質土壌と粘土質土壌を、それぞれ水中で撹拌した後に静置して比較(左が砂質、右が粘土質)

撹拌後0分


撹拌後5分


撹拌後15分


撹拌後30分


撹拌後60分


撹拌後90分


撹拌後120分


左の砂質土壌では、時間経過と共に上部が澄んでいき、底に粒子が沈殿する様子が見てとれる。それに対して、右の粘土質土壌では、120分経過しても見た目にほとんど変化がなく、粒子が浮遊したコロイド状態を保っている。砂は、水をはじき浮力が働きにくい上に、粒子が大きく重いために沈む。対して、粘土は、水と親和して浮力を得やすい上に、粒子が小さく軽いので沈まずに水中に分散する。

粘土の親水性には、土壌保水力の向上効果があるが、同時に諸刃の剣的な側面もある。土壌が吸収し切れないほどの大雨に見舞われた場合、コロイド化した粘土粒子が雨水と共に流出してしまうリスクが容易に想像される。その対策としては、排水性を高めて余剰水分の蓄積を抑えることと、腐植などによる団粒化で粘土粒子を保護することなどが考えられる。
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