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クリーニングの基礎知識(昭和48年5月発行) ウエットクリーニングについて

2025年01月25日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

先輩のクリーニング業者から52年前の昭和48年(1973年)発行の「クリーニングの基礎知識」の

本をお借りしました。ここ十数年で普及して来たウエットクリーニングですが、本を読んで

52年前にウエットクリーニングが有った事が分かり驚きました。

クリーニングの基礎知識

労働省認定教科書で発行元が全国クリーニング環境衛生同業組合連合会で

今から半世紀以上前の昭和48年(1973年)発行の教科書です。

クリーニング業者さんもクリーニング師の資格取得の為に必死で勉強していた教科書で、

どこのクリーニング屋さんにもあった本とお聞きしました。

この当時の札幌市の地下鉄の乗車料金が20円で現在は210円ですので10倍になっていますが

日銀のホームページによると物価は2,4倍となっていても、かなり高価な本です。

クリーニングの基礎知識 P272

9.その他クリーニング

(1) ウエットクリーニング

 ① ウエットクリーニングの目的

 ウエットクリーニングとは、ドライクリーニングをするために受託した衣料を、処理後も

 なお汚れがおちてない場合に、広範囲なしみ抜きとして行う水処理をいう。

 従って操作としては、低温ランドリーと類似する場合もあるが、その本旨はあくまで

 ランドリーではなく、水を用いた特殊処理であり、その上、ドライクリーニングに比べて

 見劣りのしない仕上がりとする責任があるから、これを行うか否かの決定も、衣料がその

 処理に耐えるか、あるいは型くずれがあっても復元可能の見通しがあるときにのみ、

 処理責任者の判断によって行うべきものである。このような高級特殊技術であるから、

 もしこの処理によって、品質低下の恐れがあるときには、あらかじめ、委託者の諒解を

 得る必要があることはいうまでもない。

 ② ウエットクリーニング実施上の注意

 ウエットクリーニングの主対象となる汚れは、汗や香粧品や飲料その他、水や石鹸水で

 除去しやすいものが多い。しかしこれがさらに古くなっておちにくくなった場合には、

 蛋白質除去、鉄分除去その他漂白などの処理を要することが少なく、その原理はしみ抜きに

 準じるわけである。これらの化学的処理方法は、「しみ抜き」を参照することとし、水処理に

 おける一般注意事項につき述べる。

 (a) 水処理の特徴としては、いきなりワッシャー中に投入することなく、原則としてブラッシ              

 ングにより、脱色や型くずれに注意しながら汚れの除去および部分的なすすぎを行う

 (このことは、「ブラシを見る」という特殊な技術用語によく表現されている)

 ブラシの使用方法は、対象物により臨機応変にする必要があり、絹のような微細繊維束から

 なる長繊維を使用した織物は、洗剤用液を含ませたシュロブラシ等でたて糸方向に軽く擦る

 ことにより繊維を毛羽たせること少なく、しかしもよこ糸の打ち込みが多いことを利用する

 ことにより、糸寄りを防ぎながら目的を達することができる場合が多い。

 このように、ブラッシングは、繊維束の間隙の汚れをしごき出すことおよび、表面の汚れを

 擦り取るのに効果がある方法であるが、紡績糸のように、短繊維の集合からなるもので、

 しかも甘燃の場合とか、ループなどのような立体構造の場合、その他、表面のつやがこのまれる

 朱子状組織などについては、軽くブラシの先で叩く必要のあるものも多くこの目的に沿った

 各種のブラシが製造されている。次に全体すすぎにネットに入れて、ワッシャー中で、短時間

 行うことが多いが、型くずれの危険のある物は、手押し洗い、または流水すすぎ(ワッシャー

 停止時のすすぎを含む)が必要となる場合もある。ただし流水すすぎの場合には、意外に多量

 の水が衣料に作用するので、水道水中の微量の塩素殺

クリーニングの基礎知識 P273

菌剤(0.3~1ppm 程度)や、井戸水中の鉄分、硬度分が原因して、退色や着色などの予期

しない事故となることがあるので注意を要する。

(b) 洗剤または助剤については、石けんが汚れの除去に効果的であるが絹練用マルセル石鹸で

     も弱アルカリ性であるので、これが使用できない不堅ろう染色品には、中性洗剤を使用する

  必要がある。ただし、家庭用合成洗剤のみならず、業務用の「ぬきもの用洗剤」にもアルカリ

  配合品が多く、また家庭用合成洗剤の大部分に蛍光増泊剤が、時には青味剤さえも、配合され

  いるのが現状であるのでこれを赤色系統の淡色染品に使用するときは、変色または退色と同様

  の結果を招かぬよう、予めこれを試験をようすることがある。さらに不堅ろうな染色品の中

 には、中性洗剤による常温処理によっても、脱色するものがあるので、単なる冷水によるすすぎ

 のみにとどめるか、あるいは、色止め剤を添加しながら洗浄しなければならない場合もある。

 酢酸などを色止め剤として加えて行う酸性洗浄には、非イオン洗剤を用いるのが効果的である。

 カチオン系界面図の活性剤や明礬(みょうばん)を用いて、色止めをすることもあるが、

 変色のおそれがないことをあらかじめ確認することが必要である。

(c)  脱液乾燥については、型くずれのおそれがあるものに対する注意が主体となる。そのためには

  軽い遠心脱液を行うか、さらに危険なものは、タオルに挟んで軽く手押ししぼりを行ない、

 自然乾燥をするが、伸びる危険のあるものは、網などの上で乾燥させる。また、脱色するもの

 は、脱液、乾燥時に染料が移染しないように注意し、タオルに挟んで脱液した上で迅速に乾燥

 させる。特に、糊付その他の加工剤処理により、乾燥に要するときには、模様の染料が滲み

 だして、いわゆるマイグレーション(色泣き)を起こすおそれのないように注意を要する。

 

ドライクリーニングで除去出来ない水溶性のしみや汚れを落とす事ができる

ウエットクリーニングがこの本に書いてあった事が有る意味驚きでしたが、

この時代はまだ現在の様な高性能な洗剤や仕上げ剤等が無かった為に水洗いを

行っても現在の様に仕上がらなかった事が分かります。

着物のお手入れもこの当時でも、水洗いしている洗い張りがある意味究極の

ウエットクリーニングになります。

両親が洗い張りで使用していた棒石鹸や粉末洗剤、液体洗剤と変化していった事を

思い出します。

先人の苦労が忍ばれますし、この50年でクリーニング業界も変わってきている事を実感しました。

現在は着物も洋服も、この様な問題を解決した非常に高性能なウエット用の洗剤や仕上げ剤が

メーカーの研究・開発のお陰で色泣きや収縮や風合いが悪くなる失敗等が少なくなりましたし、

更に過炭酸ナトリウムや過酸化水素水の助剤の登場で洋服全般の黄変除去出来る全体漂白も

可能になり、不可能が可能になるクリーニングの選択肢が増えました。

さらにアパレル仕上げ機の登場で、仕上がりもさらに良くなりました。

この本に書いている当時の技術とは雲泥の差となっています。

 

着物のお手入れと洋服のメンテナンスは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士と

クリーニング師のいる 

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-090

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

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