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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

中学・高校(津波)講座(9)河川堤防

2016年05月01日 | 中学・高校講座

GW講座

津波が河川堤防を打つ力 B は?

 

津波の力のベクトル図(θ≒33°)

 

● 津波の力のベクトル(A)が閉伊川河口に入ってきて、侵入角度( θ =シータ= theta)で堤防にぶつかると、ベクトル(A)は、堤防を打つ力ベクトル(B)と、堤防に沿って上流に逃げていく力ベクトル(C)に分かれる。上流に逃げていく力は堤防を打つ力にはならずただ上流に逃げていく力になる、遡上のエネルギーといえる。堤防に直角に当たって堤防を打つ力(B)は、見てわかる通り、河口に入ってきた力のほとんど半分の力に減少している。(後段で説明する三角関数表で図の θ ≒33° の場合を見ると B = 0.5446 で A のほぼ半分に力が減っている事が分かる)

 

説明1)「ベクトル」とは力を示す矢印のついた直線で、物理学では力の向かう方向を矢印の向きで示し、線の長さで力の大きさを示す事にしている(長ければ大きく、短ければ小さい)。太さは関係ない

 

● 津波の侵入角度(θ)が小さいと堤防に働く打つ力は小さく、侵入角度(θ)が大きいと打つ力は大きい。θが0(ゼロ=力が堤防と平行)だと打つ力はゼロ、θが90°(直角)だと打つ力の最大が堤防にかかる。閉伊川の宮古市役所の辺りの侵入角度(θ)は45°くらいではなかろうか? 津波を受け入れる河川は、だから、なるべく蛇行がゆるやかな方がいい。洪水の時もそうだが蛇行が急だと堤防決壊もおきやすい。一般に蛇行がないと急流になるが…

 

説明2)侵入角度(θ)は、堤防の曲がりの直線と津波の侵入方向で出来る角度のことである。曲がりの直線は上図の左上から右下に引いた線のことで、堤防の湾曲具合を示す曲線への「接線」という事になる。なお二つのθは「対頂角」となります。 接線のつくりかたは数学で習う(?)が当分は大体のセンで…

 

説明3)ベクトル(B)と(C)のつくりかたは、ベクトル(A)をまっすぐ同じ長さで延ばして、それ(a)が「対角線」になるような長方形を作る。ベクトル(C)は堤防の曲がりの直線に沿って線を引き、ベクトル(B)は曲がりの直線に直角に線を引く。矢印を付けて完成です。より理解するように侵入角度(θ)をいろいろ変えた図を自分で作ってみよう。 

 

●河川堤防を津波が打つ力、破壊力 ──

B(=b)=(a×sinθ=)A×sinθ  すなわち B=A×sinθ です。

津波が河川堤防を打つ力 B は津波の力 A の sinθ であると言えます。A×sinθ

 

説明4)リンクに sinθ の実数表を示しました。津波の侵入角度で破壊力がどのように変化するのか実感しましょう。ただし、Aの値は「1」です。「1」はとりあえずという事で、経験や体験や比較・推量に頼るしかありませんが、その例えばの経験知です。経験知とこの表からいろいろ仮想実感は出来ると思います。Aの値は比較ではない津波の本当の力・本当の破壊力でなければならないのですが科学的にはまだまだ単位も定義も、実態はつかめていません。これからの課題だと思います。

 左図リンクは<三角関数表>=<sin>の値

 

 

 

 

★ 

 

こちら ↓ の方が分かりやすい図面かもしれない…

「津波が堤防を打つ力」のもう一つの理解

 

 

● これは津波の閉伊川への侵入角度によって堤防が受ける衝撃力を防潮堤・水門の場合(侵入角90°)を100%としてそれぞれの角度の%を単純に衝撃力としたものである。三角関数がない分こちらの方が単純で理解しやすいのではないか。津波の侵入角度と堤防を打つ力の関係を直感的に理解するには便利であるが、しかし、90°、0°以外は正しくなく、これがもし学力テストならよくて5点のアバウトの数値である。角度が大きければ力が大きく小さければ小さいの理解としては80点。正しいか正しくないかと言えばこの数値は誤り。最上図ののベクトル計算式が正しく、したがって計算値も正しい。

 

注意1)図の正しい衝撃力は、左から、直角は100%、45°は70.71%、15°は25.88%、0°は0%である。これは上の<三角関数表>の数値を当てはめた正解です。 33°、30°の場合も両図、<三角関数表>で確かめてみよう

 

注意2)数学や物理としてはどうなのか分からないが、沿岸に住む大人の人はこの事をすでに経験則として理解している。津波の衝撃力の一連の理解は沿岸の人なら直接被災者でなくても経験的に知っていて誰でも正しい判断をもっている。津波を水門で受け止めるより閉伊川堤防のかさ上げで上流へ逃がしたほうがよい、と…。

 

注意3)実はこの図をブログに引用するのは四度目。その記事を下に引用しておくので参考にしてほしい。同じ図が使われている

 

[関連記事] 目を覚ませ宮古人!しっかり閉伊川を見よ(1)        2014.1.3

 

[関連記事] 鍬ヶ崎「防潮堤」(14)説明会=まとめ          2013.12.3

 

[関連記事] 鍬ヶ崎「防潮堤」(7)閉伊川水門の見直し         213.11.12

 

 

 

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