大地震で津波、雄武最大10メートル オホーツク海沿岸、北海道が初の想定
道は1日、オホーツク海沿岸の津波浸水想定を策定する道防災会議作業部会で、最大クラスの地震が起きた場合の津波の高さ(最大津波高)と、地震後に最大津波が到達する時間の想定を初めて公表した。最大津波高はオホーツク管内雄武町の10メートルが最も高く、到達時間は網走市と同管内斜里町が13分と最も早かった。道は今回の結果に加え、沿岸13市町村の浸水区域や水深をまとめた地図を月内にも公表する。
オホーツク海沖や太平洋沖、日本海沖を震源とするマグニチュード(M)7~9クラスの複数のモデルを元に算出した。
各市町村の最大津波高はオホーツク管内興部町9・3メートル、宗谷管内枝幸町9・2メートルと続いた。最大津波の到達時間は北見市が14分、オホーツク管内湧別町と同管内小清水町で20分だった。市町村別の最大浸水面積は最も広い宗谷管内猿払村が697ヘクタール、続いて紋別市が594ヘクタール、同管内枝幸町が590ヘクタールだった。
2011年3月の東日本大震災発生を受け、政府の中央防災会議は最大クラスの津波を想定した対策が必要だとした。道は17年に日本海沿岸、21年に太平洋沿岸の浸水想定を公表。今回のオホーツク海沿岸を公表すると、道内全ての浸水想定が完成する。
座長の谷岡勇市郎北大大学院教授は「太平洋沿岸地域などこれまでの想定を踏まえた新しい手法や最新の知見に基づいて想定できた」と話した。
道は作業部会の意見を踏まえて、月内にも地震専門委員会を開いて津波浸水想定を決定、公表する。その後、各市町村は津波ハザードマップの策定や防災計画の改定に取り組み、道は津波災害警戒区域の指定も市町村と検討する。
最大津波高が今回最も高い10メートルとされた雄武町は「冷静に受け止め、町民への啓発により一層取り組みたい」(住民生活課)と話した。
(伊藤友佳子、仲沢大夢)