ただひとつ、最大の間違いがあったとすれば、あの時せっかく映画に誘うことができた彼女に、怖じけづいてその後、自らキャンセルしてしまったことだ。
誘った映画は、恥ずかしながらアニメ映画だった。
彼女が好きだったから。
安彦監督の「アリオン」。
懐かしい。
もう２５年も前の話。
初めての告白。
初めての約束。
初めてのデート。
今思えば、そのとき踏み違えてしまった自分の生き方の階段を、未だに修正できていない気がする。
あの日から、ずっと。
あの日までは真っ直ぐで、あの日からはどんどん遠くなっていくばかりの気がしてる。
あの時、ちゃんと彼女とデートしていたら・・・。
今の自分は、どうだったのだろう。
自分がアニメオタクになっていたかもとか、そんな話ではなく・・・。
それは、生き方の話。
一番初めで、一番真面目で、一番大切だった、あの最初の選択が、その後の自分の生き方に少なからず関わっているように思えて。。。
時間は絶え間なく進み続け、もうすでに遥か彼方。
これは後悔ではない。
無意味な、それでいて楽しい想像だ。
もう一度人生をやり直せるのだとしても、きっと自分はどこかで同じ間違いをしていただろう。
それがただ、あの時だったということだけ。
今の自分も、けっこう悪くない。
少しだけ、今は休んでいるだけだ。
年老いた少年のつまらないひとりごと。
