押すことも引くことのできる扉は引いて開ける。
自分の中では普通のことだ。
扉に「押す」と書いてあったらどうするのか、なんて聞かれるまでもない。
「押す」と書かれている扉は押すに決まっている。
ただ最近そんな類のようなことを聞かれることがあまりにも多い気がする。
馬鹿馬鹿しくて答えなかったら、偽善者のように言われてしまう世の中。
別に自分は神様ではない。
信号が黄色に変わっても急いでいたら渡ってしまうし、欲しいものがあれば巧いことやって手に入れたいと思う。
ハサミを他人に渡す時は、刃先の方を持って柄の方を相手に向ける。
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それが常識だと思っているから。
ただ最近、それが通用しない世界だ。
確かにそんな事は、日本国憲法にも六法全書にも書いてはいない。
ルールに書いてなければ、正直者が馬鹿をみる。
何もわからない人には、こちらが痛い目に合う。
別に自分は神様ではない。
善人になろうとしているわけでもないし、ましてや何かを啓蒙しようとしているわけでもない。
それは多分、母から教わったこと。
ただ、それだけのことだ。
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