朝6時半のバスを降りると、労働者の群れの中。
昇ったばかりの朝陽を浴びて、一斉に横断歩道を歩きだす。
電車を降りると、ホワイトカラーの群れの中。
できたばかりの靴擦れの足で、いつかホームでおいてけぼり。
仕事が終わると、空は真っ暗ひとりきり。
まちはずれのローカル駅で、やっと間に合った終電のひとつ前。
街中は静まり返り、遠くに聞こえる歓楽街。
あのテレビ塔のライトアップが消えたら、きっと誰もが夢から醒める。
食べる、眠る、起きる、働く。
食べる、眠る、起きる、働く。
食べる、眠る、起きる、働く。
朝陽、靴擦れ、ひとり、テレビ塔の光。
朝陽、靴擦れ、ひとり、テレビ塔の光。
朝陽、靴擦れ、ひとり、テレビ塔の光。
今日も、明日も。
帰りの時間はバスがない。
ふらつき歩いて、ようやく家にたどり着く。
風呂に入って眠るだけだ。
ベルがなったら起きるだけだ。
いつの間にか、朝のバス停に立っている。
ありふれた労働者の、ありふれた一日。
今や、そんな労働者になることが羨ましがられる時代。
何もない。
お金があっても何もない。