
千葉ロッテマリーンズが、2010年のパリーグのクライマックスシリーズを勝ち残った。
3位からの日本シリーズ出場は、史上初。
レギュラーシーズン最後の3連勝からの、このチームの勝負強さは驚異的なものがある。
その要因にあるのは、どんなことがあっても決してシラけないチームカラーにある。
それは「熱」だ。

その中心にいるのが、キャプテン西岡剛。
彼には、かつてジョニーに感じたような「熱」がある。
まわりをも引き込んでしまうあの力は、数字以上に彼の才能だ。

いまだ賛否両論のクライマックスシリーズを盛り上げたのは、まぎれもなくマリーンズ。
そして、マリーンズを取り巻くオーディエンス。
2005年もそうだった。
シラけたら負け。
目の前にあるものを必死で獲りにいく姿勢は、ものの理屈よりも人を惹き付ける。
ただ、大混戦のパリーグを制したホークスにとっては、いかにも無念な結果に違いない。
ホークスがプレーオフ時代からを含め、レギュラーシーズン1位からクライマックスシリーズで敗れるたび、ホークスファンの心中を察するところだ。
ただ2005年シーズンと違い、レギュラーシーズンの1位がリーグの優勝チームであることがホークスファンにとって救いにはなるだろう。

クライマックスシリーズは、毎年、理屈抜きで盛り上がり大成功を収めている。
これからクライマックスシリーズ以降は、完全なポストシーズンの「チャンピオンズリーグ戦」的な位置付けになっていくのかも知れない。
それはそれで、いつしかリーグ優勝の価値も、日本シリーズ制覇以上にファンの中で認知されていくようにも思う。
そしてそういったファンの意識の改革を、マスコミがもっと手助けしなくてはならないのではなかろうか。
ファンが成熟しなければ、このシステムはいつか崩れる。
もしかしたら、今年は「3位対3位」の日本シリーズになる可能性も出てきた。
はたしてそれで、これまでマスコミがずっと流布してきた「日本一」であると言えるだろうか。
これからは、「日本シリーズ制覇」で良いではないか。
事はそんな悠長なことを言ってはいられない。
野球ファンが、まだこのシステムに「熱」を持っている間に。
観客動員、盛り上がり、注目度を考えれば、日本野球にとって素晴らしいシステムなのだから。
ここで、ファンをシラけさせてはならないように思う。
選手だって、3位からでは気恥ずかしさから思い切って戦えないこともありうる。
そうなっては面白さも半減だ。

今年のマリーンズの「熱」は、それに大いに貢献している。
マリーンズのこのクライマックスシリーズまでのギリギリの戦いは、マリーンズファンのみならず、パリーグファンを確実に増やしているに違いない。
自分も少なからず、連日の熱戦に久しぶりに興奮してしまった。
たとえ3位からでも、堂々と「日本シリーズ制覇」して欲しい。