出張中、夜はひとりぽっちなので読書が進みます。今度の九州出張でも途中まで読んでいた大江健三郎さんの「取り替え子」を読み終え、藤原正彦さんの「国家の品格」を読み飛ばし、山崎正和さんの「柔らかい個人主義の誕生」に手をつけました。
その「国家の品格」。読みながら腹が立ってきました。藤原さんの主義主張がどうのこうのではなく、ずるい書き方に腹立ったのです。
のっけから、「いちばん身近で見ている女房に言わせると、私の話の半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷」と、伏線を張る。これが「学者に言わせると、・・・」の書き方なら分かります。こんなところで「女房」を出してくる。この本の中で度々引用されているアダム・スミスやマックス・ウエーバーを「女房」は読まれて、藤原さんと議論されたんでしょうか。
「夫婦喧嘩では女房にすら敵わない」と書いてあるので、冗談半分と思いながらも学者だから少しはひ弱なのかなと感じながら読み進むと、「私は体格がよく力も強かったので、必ずいじめている者たちを蹴散らしました」と続く。
こんな読者を馬鹿にした書き方はありません。こういう所で「女房(妻)」を持ち出すのは私のブログ「水呑地蔵日記」の手法です。この本には似合いません。これは禁じ手。つまりは純文学や社会派のノンフィクションに突如、ウルトラマンや怪獣を登場させるようなものです。
恐れ多くも「国家の品格」と論を張る以上、もっと真摯に書くべきです、茶化す必要はありません。
「論理より情緒」とも説いてあります。これはその通り。但し、それをこの本の中で「これからそれを証明したいと思います。理由は四つあります。・・・」とか、「天才を生む土壌には三つの共通点があることに気付いたのです。第一条件・・・」と、ここにいたって、数学者らしく「論理」を使って証明しようとする。この本によると、前提や途中の筋道が間違っていたり、あえて変えれば、論理は何とでもなるんじゃなかったんじゃないでしょうか。
ここまで来ると、腹が立つというより、あきれてしまう。
主張の中味も明治以前からずっと言われてきた「西洋と日本の対立と並存」の議論を超えるものはそんなになさそうです。少しのエピソードは別にして。
さらに、こういう本が100万部を超えるベストセラーになっている。それが信じられない。もちろん、私も買ったのですが。
この本は「論理は何とでもなる」と説く藤原さんの説(司元のこの本の解釈)をそのまま本の中で体現した本です。
「国家の品格」を論ずる前に「本の品格」を正してください。娯楽本にこんな高い要求を求めるから腹が立ってしまったのでしょう。
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その「国家の品格」。読みながら腹が立ってきました。藤原さんの主義主張がどうのこうのではなく、ずるい書き方に腹立ったのです。
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「夫婦喧嘩では女房にすら敵わない」と書いてあるので、冗談半分と思いながらも学者だから少しはひ弱なのかなと感じながら読み進むと、「私は体格がよく力も強かったので、必ずいじめている者たちを蹴散らしました」と続く。
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恐れ多くも「国家の品格」と論を張る以上、もっと真摯に書くべきです、茶化す必要はありません。
「論理より情緒」とも説いてあります。これはその通り。但し、それをこの本の中で「これからそれを証明したいと思います。理由は四つあります。・・・」とか、「天才を生む土壌には三つの共通点があることに気付いたのです。第一条件・・・」と、ここにいたって、数学者らしく「論理」を使って証明しようとする。この本によると、前提や途中の筋道が間違っていたり、あえて変えれば、論理は何とでもなるんじゃなかったんじゃないでしょうか。
ここまで来ると、腹が立つというより、あきれてしまう。
主張の中味も明治以前からずっと言われてきた「西洋と日本の対立と並存」の議論を超えるものはそんなになさそうです。少しのエピソードは別にして。
さらに、こういう本が100万部を超えるベストセラーになっている。それが信じられない。もちろん、私も買ったのですが。
この本は「論理は何とでもなる」と説く藤原さんの説(司元のこの本の解釈)をそのまま本の中で体現した本です。
「国家の品格」を論ずる前に「本の品格」を正してください。娯楽本にこんな高い要求を求めるから腹が立ってしまったのでしょう。
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